はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

『窓ぎわのトットちゃん』に描かれているリトミック

2023年12月23日 | リトミック
2023/12/23


『窓ぎわのトットちゃん』には
「リトミック」という項目があって
トモエ学園で行われていた
リトミックについて書かれています。

この本に書かれている
リトミックについて
まとめてみたいと思います。




〈 〉内は本書より引用

〈トモエは音楽の時間がとても多かった。
中でも「リトミック」の時間は毎日あった。〉

〈リトミックというのはダルクローズという人が考えた、特別のリズム教育で、この研究が発表されると、1905年(明治38年)ごろのことなんだけど、全ヨーロッパ、アメリカなどがいち早く注目して、各国にその養成所とか、研究所ができたくらいだった。〉

〈校長の小林宗作先生は、トモエ学園を始める前に、外国では、子どもの教育を、どんなふうにやっているかを見るために、ヨーロッパへ出発した。
そんなとき、パリで、すばらしい作曲家でもあり、教育者でもあるダルクローズという人に出会う。〉

・・・・・・・・・



小林宗作は小学校教員を経て
東京音楽学校(今の東京芸術大学)で学び
1923年 にスイス・フランス・ドイツ・イタリア・イギリスに留学。
そのときにダルクローズ音楽学院で
リトミックをエミール・ジャック=ダルクローズ
(リトミックの創始者)に学んでいます。

    1930年に再び渡欧して
パリ・ミラノ・ベルリンに留学しました。

1937年より自分の理想をもとに
リトミックを教育基盤に置いた学校として
幼小一貫校のトモエ学園を設立、運営しました。

「リトミックは毎日あった」
とトットちゃんに書かかれているので
小林先生がどれくらいリトミックに
力を入れていたかがわかりますね。


リトミックがどんなふうに
行われたかについて
描写している部分は長いので
概略をまとめてながら引用します。

・・・・・・・・・


〈小林先生のピアノに合わせて、思い思いの場所から自由に歩き始める。どう歩いてもいいけれど、人の流れと逆流して歩くと、ぶつかって気持ちが悪いから、なんとなく同じ方向に、つまり輪になる形で、でも一列とかじゃなく自由に流れるように歩くのだった。〉

〈音楽を聴いて二拍子だと思ったら、指揮者のように腕を上下して二拍子をふる。〉

〈歩き方は「足の親指をひきずるように、身体を楽に、自由にゆすれる形で、歩くのがいい」と先生は言った。〉
〈自然が第一だったから、その生徒の感じる歩き方でよかった。〉

〈リズムが三拍子になったら両腕は、三拍子を大きくとり、歩き方も、テンポに合わせて、早くなったり、遅くなったりさせなきゃあ、いけなかった。
両腕の指揮ふうあげおろしも、六拍子まであった。〉

〈拍子がどんどん変わると難しかった。
「ピアノが変わっても、すぐには変わるな!」と大きい声で言う。三拍子を聴きながら、二拍子のままで歩くのは苦しい。こういうときに、子どもの集中力とか、自分のしっかりした意志なども養うことができる、と校長先生は考えたようだった。〉

〈リトミックは、こんなふうに、体と心にリズムを理解させることから始まり、これが精神と肉体の調和を助け、やがては想像力を醒まし、創造力を発達させるようになればいいという考えのものだった。〉

〈トットちゃんは、イサドラ=ダンカンふうに、はだしで走りまわり、とびまわって、それが、授業だなんて、すごくうれしいと思っていた〉
(p.135~137)


トットちゃんがやっているリトミックは
私が大人になってから習った
リトミックと変わらないのです。

年月を経るうちに
あるいは教師の解釈によって
メソッドが変えられていくことは
ありがちだと思いますが
リトミックの基本のやり方部分は
ちゃんと踏襲されています。

きちんと受け継がれているのだと感じました。



小林宗作先生がヨーロッパの教育法を
学んだのは、大正自由教育運動の影響が
あったと思われます。

大正自由教育運動とは
19世紀末期から20世紀初期にかけて
欧米で活発化していた新教育運動(新教育)が
日本にも輸入され
1920年代から1930年代前半にかけて
起こった運動です。


それまでの画一的で
型にはめたような教育のスタイルから
子どもの関心や感動を中心に
より自由で生き生きとした教育体験の
創造を目指そうとする運動が
大正時代に折からの大正デモクラシーの風潮を
追い風にして広まったのです。(Wikiより)

ですから小林宗作先生ひとりが
このような自由な教育法を
実践していたわけではなく
日本の教育界でも先進的な一部の人々により
自由に子どもの能力を伸ばそうとする
流れはあったのですね。





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