はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

『安井かずみがいた時代』島崎今日子著

2024年06月25日 | 
2024/06/25


安井かずみといえば70~80年代
多くの流行歌を作詞していて
その数は4000曲にものぼるといいます。

題名をいえば
ああ、この曲も安井が作詞していたのか
と思うほどヒット曲を書いています。

小柳ルミ子『私の城下町』
沢田研二『危険なふたり』
郷ひろみ『よろしく哀愁』
浅田美代子『赤い風船』
竹内まりや『不思議なピーチパイ』…


加藤和彦のドキュメンタリー映画
『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』
を見た頃から
『安井かずみがいた時代』を読んでいました。




映画の記事 ↓

380ページもあり
それぞれの話は大変に興味深くて
読むのに時間がかかりました。

 

〈彼女を知る26人の人々のインタビューから
安井の華やかでスキャンダラスな私生活に迫り
数々の伝説で彩られた55年の人生を追うドキュメント。〉

本の冒頭にはこんな一文があります。

〈数々の伝説に彩られたその人生は
戦後からバブル崩壊までの日本を
体現するかのようで
同時代の日本女性に最も影響を与えた
女性の一人である。〉


林真理子にとっても最高に眩しい
ロールモデルであったといいます。

そんな安井かずみが
1939年生まれと知ったときは
少し意外な気がしました。
戦前の生まれだったんだと。

生きていれば、現在85歳。
デザイナーのコシノジュンコと同い年。

55歳で肺がんにより亡くなりました。

読んでみて、確かに
安井かずみは時代の申し子というか
あの時代を象徴するような
キャラクターだったなと思うのです。

高度成長期、バブル期の日本の
華やかな部分を生きた安井かずみの人生を
あらためてなぞってみます。


イタリアンレストラン「キャンティ」。
1960年に飯倉片町にオープンした有名な店。
三島由紀夫、川端康成、黛敏郎といった
名だたる人たちが集った東京カルチャーの発信地だった。

キャンティで安井は
加賀まりこやコシノジュンコと毎夜
遊んでいた。 


加瀬邦彦の話
「ジュリー(沢田研二)にずっと片思いしてたからね。一緒になれないとわかっていて、一緒にご飯を食べたり買い物できたらそれでいいと思っていたんじゃない?
パリやロンドンでレコーディングする時も、プロモーションでヨーロッパを回る時も、彼女は『私も行く~』 って追っかけて来たよ。渡邊美佐さんと一緒に来た時は、グレース・ケリーやシルヴイ・ヴァルタン、ジョニー・アリディが来るようなパーティに一緒に出た。そんな中でもZUZU(安井の愛称)は颯爽としていて、カッコいいんだ。ドレスの上に、ボロボロのデニムのジャケットをはおったりして、で、フランス語がペラペラ。海外に行くと、彼女のよさが際立って、僕もジュリーも加賀まりこもZUZUにくっついて歩いた」(P.163)


村井邦彦の話
(自分の生き方について)
「フランソワーズ・サガンをモデルにしていたんじゃないかと思う。」


大宅映子の話
「ジュエリーはどこのメゾンのものかによるのよ」
「例えば私が2、3万の指輪をしていると『くだらない』っていうの。彼女は厳選するから数はそう多くは持っていないけれど、つけている指輪は二千万の指輪とかですからね」
「ある雑誌の鼎談でシャネルが好きという話になったとき、『一着や二着シャネルを買って、シャネル好きなんて言わないでちょうだい。ラックの端から端までバーッとシャネルを買ってから、シャネルが好きだっていうのよ。』」
(p.202)


引用すればきりがないほど
豪奢な逸話に事欠かない安井かずみ。


1966年、27歳のとき富豪の息子で
実業家、新田ジョージとローマで結婚式を挙げ
ニューヨークに居を構える。
しかし2年後、パリに服を買いに行くといって
ニューヨークの家を出て離婚。

「何をしても、何か少しづつ変だった。どうしても何か、満たされなかった。それをなしたら、そこに行ったら、それを読んだら、見たら、それを買ったら、それを着たら、その人と恋をしたら、満たされるだろうと思ったことは即実行した。もちろん金に糸目はつけないつもりだった。私は狂気の沙汰で仕事をしていたので、その分だけ収入もあった。気前よく浪費した。いやらしいほど、金を費やした。その陰(著者注:心の陰り)に怯える自分を救うために」
(安井かずみ著『女は今、華麗に生きたい』大和出版)(p.36)


写真家・斉藤亢の話
(恋多き女で)
「一人で家の中にいられず、男性を救急車代わりにしていたわけで次々と数だけは増えましたが、じっくり付き合う恋人もできるはずなかった。」


かまやつひろしの話
「恋人が替わるのがあまりにも早くてね」
「ZUZUは自分が翻弄できる男が好きなんだよ」


1977年、8歳年下でミュージシャンの加藤和彦と
安井は再婚します。

この2人の生活は幸せだったのか…

長くなりましたので
また次回に書きたいと思います。







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