僕と猫のブルーズ

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とくべつなうた~七尾旅人「「Stray Dogsの冒険」@恵比寿ガーデンホール

2019年05月05日 | 七尾旅人
4/29は百段階段の後、恵比寿に七尾旅人のLIVEを観に行く。
昨年末に出たアルバム「Stray Dogs」は珠玉の傑作。発売以来ずーっと聴いてる。
あのアルバムの曲がライブでどう歌われるか、楽しみにしていた。
しかも今回のライブはバンドで!七尾クンがバンドを率いてのツアーはデビュー以来初めて。
しかも、オールスタンディング!期待せざるを得ません。

場所は恵比寿ガーデンホール。恵比寿ガーデンはGWで賑わっていた。


入場。連休中の開催の所為か、会場入り口にも場内にもポスターが貼ってないのが残念。
七尾クンが犬と並んでるあのポスター見たかったなぁ。

予定通りスタート。七尾クンは満員の場内を見て嬉しそう。毒づきながら満面の笑顔。
最初は「星に願いを」を七尾クンとKeybpardカンサノと2人で開始。
間奏で他のバンドメンバーを呼び入れ、演奏がノイジーに展開。
このバンドのオトを聴いた時、笑顔になる自分が居た。力強く優しい歌と演奏。
「Stray Dogs」の歌にピッタリ。今日のライブ、絶対よくなる!


以下セットリスト。
1.星に願いを、2.はぐれ犬 そら(未発表曲)、3.Leaving Heaven、4.迷子犬を探して、
5.スロウ・スロウ・トレイン、6.DAVID BOWIE ON THE MOON、7.Almost Blue、
8.崖の家、9.Across Africa、10.きみはうつくしい、11.蒼い魚、12.Memory Lane、
13.どんどん季節は流れて、14.Rollin' Rollin' 、15.サーカスナイト(客席突入!)、
16.Confused baby、17.天まで飛ばそ、18.いつか、
(アンコール)
19.虹(電気グルーヴcover)、20.バスドライバー・ブルース(未発表曲)、
21.この素晴らしき世界(サッチモカバー:七尾旅人訳)

メンバー:七尾旅人(Vo、Guitar)、Shingo Suzuki(Bass)、小川翔(Guitar)、
     Kan Sano(Key)、山本達久(Drums)


先ずは未発表曲から。七尾クンの実家で飼ってた犬についての歌。
ポエトリーリーディング風の語りから「そら、そら、そら」と歌う。
アルバム「Stray Dogs」の作品に通じる優しい肌触りの歌。
この日のライブは全編通じて「優しい感じ」が貫かれていた。

七尾クンが「フツーNewアルバム出した後のLIVEってアルバム収録曲演るんだな。
そうすればお客さんも皆で一緒に歌えるし。20年続けてて去年ようやくわかった(笑)」
と言ったのには笑った。確かに七尾クンのライブって新曲・未発表曲を歌うのが多くて
その時の最新アルバムの曲を歌うって殆ど無い。
「このアルバムには皆で一緒に歌える歌も入れました。一緒に歌ってください!」と
「迷子犬探して」「スロウ・スロウ・トレイン」ではお客さんを煽って歌わせる。
2曲ともユーミンや桑田さんの曲に通じるポップでメロウなメロディ。
客席から自然に歌声が上がる。ボクも歌ってた。七尾クン満面の笑顔。
ま・さ・か、七尾旅人のライブでお客さんが一斉に歌う光景が見れるなんて!なんか感動。
そして、何度も書くがバンドの演奏がサイコーだった。
ただ巧いだけでなく七尾クンの歌世界をチャンと描きながら個性的プレイを見せる。
カンサノ君は時々Keyを弾き倒し小川クンのエレキギターの変幻自在の音色に目が眩む。
バンド演奏があるため、独り弾語りの時の様な収集つかない展開も無く(笑)
ライブをスムーズに楽しめた。

「DAVID BOWIE…」「崖の家」はアルバムでは打ち込みを多用したEDMナンバー。
でも、LIVEではバンドの生演奏でチャンと・・いやアルバム以上に力強い演奏だった。
「崖の家」では故郷でずっと暮らしていた主人公が最後、家を飛び出て旅に出る。
故郷から遠く離れて・・・別の場所で暮らした自分には、この歌は刺さる。

「Across Africa」は元春の「約束の橋」に通じる疾走感溢れるロックナンバー。
中盤のコーラス部分では、お客さんも一緒に叫ぶ。
それは、あたかも元春のライブで「約束の橋」が鳴ったときの一体感を思わせる。
ボクも叫ぶ!この歌、アルバムで聴いて以来一緒に歌いたかった!叫びたかった!
続いての「きみはうつくしい」。力強く響く歌とメロディ。聴き手を鼓舞する歌。
インタビューで七尾クンはこの歌は実は2012~2013年ごろに出来ていたけど、
震災直後の復興ままならない東北でこのパワフルな曲を歌えなかったと言ってた。
東北のライブで歌わなくてもCDに収録して他の場所で歌ってもイイだろうに。
七尾クンのこの歌に込めた想いの強さ、歌に向かう真摯な姿勢がライブでも感じた。

その後の「蒼い魚」「Memory Lane」で一旦クールダウン。
「蒼い魚」は七尾クンが沖縄高江で見た光景を元に歌っている。
「Memory Lane」は七尾クンが震災で傷ついた東北で出逢った少女について歌ってる。
どちらも傷ついた魂(ソウル)に寄り添う歌。
単純なイデオロギーやアタマでっかちの政治観からは、遥か遠くに或る歌。
正しい、とか間違ってるとかどうでもイイ。
目の前に傷ついた人が居るから寄り添う。歌う。ソレダケ、だ。
七尾クンは「明日また」「いつかまた」と歌う。
彼は歌うだけでなく・・・絶対彼の地を訪れるだろう。その覚悟を歌から感じた。
「Memory Lane」のラスト、七尾クンは叫びオレも叫んだ。
この叫びを聴きたかった・・・・ここに来て良かった。来た甲斐があった。

クライマックス「Rollin' Rollin' 」「サーカスナイト」が鳴った。
いつもの打ち込みで無くバンドの生演奏で。
「Rollin' Rollin' 」のイントロが生ピアノで鳴った瞬間、オレ泣いてた(^_^;
客席は当然大声で歌う。延々続くコール&レスポンス。
「サーカスナイト」では七尾クンが客席突入!お客さんに担がれて場内練り歩く。
客席はヒートアップ!七尾クンは担がれながらメンバー紹介。
熱いエネルギーが渦巻いてる。毎回、このヒトが創る熱い場には圧倒される。

本編最後。七尾クンはバンドの楽しさを何度も話す。
ソロで演るときは客席のウケが悪く独り孤独に打上げをした話。
今回でバンドは一旦解散、次のLIVEからはまたソロに戻る。名残惜しそうだった。
カン君が「またバンドでやろうよ」と言って七尾クン「フジロック、バンドで参加する!」
この瞬間、場内拍手喝采。
勿論、七尾クンの独り弾語りも素晴らしい。
でも、この日のバンドでのLIVEの素晴らしさを見ると・・またバンドで観たい。

アンコール。楽しいバンドメンバー紹介。メンバー間のツッコミ合いが楽しい。
電気グルーヴの「虹」のcoverに客席は湧き上がる。
そう「イイ歌」はどんどん歌えばイイ。鳴らせばイイ。
自粛とか制限するなんて悲しすぎる(勿論、血を流す覚悟での「自粛」も有ってイイ)。
「虹」が鳴った瞬間、客席を包んだ安心感・温かいムード。あれはサイコーだった。
最後はサッチモ「この素晴らしき世界」のcoverで終わった。
終演後、バンドメンバーと一列に並んで手を繋いで挨拶する七尾クン。
「これ1度やりたかったんだ」とホントに嬉しそうだった。
客席は大きな拍手で応える。素晴らしい眺めだった。


愉しい・・・ホント愉しいLIVEだったな。
ボクが彼の作品に触れLIVEに行き出したのは311以降。元春のTV番組が切っ掛けだった。
彼のアルバムは毎回、色あいが違う。「911Fantasia」は正直難解で聴いた当時引いた。
ライブも新曲・未発表曲ばかりで難解だったりヘヴィーだったり。
でも、難解と思った作品群もチャンと聴けば奥にある優しさや熱に気付くことが出来る。
七尾クンの歌は簡単に答えを出さない。コトバにならない感情を歌いあげる。
素晴らしいと想う。現在(いま)ではオレは、すっかり七尾ジャンキーだV(^^)

そして・・・七尾クンのLIVEに行って毎回思うのはお客さんの素晴らしさ。
上に書いた通り、彼の作品やライブは難解だったりヘヴィーだったりする。
でも、若いお客さんは彼の歌を軽々と受け止め楽しんでる。
場内に子供の泣き声や叫び声が響こうが気にせず七尾クンの歌を楽しんでる。
その若いお客さんの柔らかい感性・・・ホントに素晴らしいと思う。


七尾クンライブ。終わったばかりなのに、また行きたくなったな(笑)。
年内にまたライブやらんかな?
今回はバンド形式だったので普段弾語りで歌ってる曲は演奏されなかった。
今度は弾語りライブ見てみたい。
「兵士Åくん」「ストリッパーのおねえさん」「誰も知らない」また聴いてみたいな。
贅沢な悩みですね(^_^;

こんな歌うたい、他にはいない。また「とくべつ」なライブ期待してるぜ☆
次回ソロライブがあったら絶対行こう。

(↑ 我が家の「とくべつ」。ヨモちゃん☆)

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