淀(京都)で歓喜と悲劇の両方を味わったライスシャワーの物語。
4回にわたり更新ししてきましたが、今回がいよいよ最後です。
「孤高の天才ステイヤー」① → コチラから
「孤高の天才ステイヤー」② → コチラから
「孤高の天才ステイヤー」③ → コチラから
日経賞でわずかな復活の手応えを掴み、天皇賞(春)に向けての調整中に骨折。
春~夏にかけて治療と休養にあて、傷が癒えた秋から暮れのグランプリ有馬記念に向けて調教。
この年の有馬記念。
京都記念で完膚なきまでに叩きのめされたビワハヤヒデは天皇賞(秋)で屈腱炎発症により引退。
しかしそのビワハヤヒデの半弟、
圧倒的強さでシンボリルドルフ以来の3冠を達成したナリタブライアン。
外国産のためクラシックレースには出走できなかったが、その強烈な末脚と
エリザベス女王杯でオークス馬を撃破して名実ともに世代牝馬最強の称号を手に入れたヒシアマゾン。
世代交代を思わせる今までとは違う新しいライバルの出現でした。
ライスシャワーは、それまでの実績が考慮されてか4番人気(17.7倍)。
レースは予想通りツインターボの大逃げから始まりました。

2番手を引っ張るのはナリタブライアン。ライスも含めて他馬は、当然ブラインをマークしてスローペースに。
その間に、ペース無視のツインターボはどんどん差を広げる。
4角に向かう前にはバテたツインターボを横目に一気にブライアンが抜いていく。
ライスはぴったりブラインの後ろを追走。外にはヒシアマゾン。

直線勝負になったが、ブライアンとの差は縮まらず3着。
4歳の2頭には敗れたものの、故障明けを考慮すればかなりの健闘でした。
やはり、ライスは復活しつつあると思いました。
しかし、年明け初戦の京都記念では好位追走も斤量(60kg)が響いてか6着。
続く日経賞でも不良馬場と位置取りの失敗なのか6着。
有馬記念で復活とおもいきや、格下相手に完敗は少し心配ではありました。
そして、天皇賞を迎える。
第111回 天皇賞
このレース、出れば確勝級だったナリタブライアンが阪神大賞典圧勝後、股間節炎で春全休という
ライスにとって、これ以上ない追い風が吹いていた。
しかも、2年前メジロマックイーンを破った時と同じ2枠3番。
復活勝利への舞台は整っていた。
レース序盤は5番手で1番人気のエアダブリンをマーク。
しかし、エアダブリンはスタンド前の歓声で少しカカリ気味に2~3番手に上がっていきました。
レースも半分を過ぎて、上り坂に突入し始めると的場騎手は賭けに出ました。
「この番手にいて追い勝負になって勝ち目があるのか」
一瞬悩んだ末、掟破りの超ロングスパートを敢行。一気に先頭に立つとそのまま後続と差を広げる。

直線に入ると、大外からステージチャンプがもの凄い勢いで追い込んでくるが、ハナ差で逃げ粘りました。
実に、マックイーンを下した2年前の天皇賞(春)以来の勝ち星を同じ舞台で成し遂げました。
このレース実況・杉本アナの「マックイーンもブルボンも喜んでいることでしょう」の言葉は今でも印象に残っています。
なんとかしてこの馬に勝利をもたらしたいという陣営の必死の思いが、ライスに伝わった勝利だと思います。
この時点で、ライスを引退・種牡馬入りさせても良かったのですが
時代はすでに長距離馬の血を必要としていなかった。
なんとかライスに中距離の実績を作りたかった陣営は、激走疲れもあったが春のグランプリに出走決定。
この年の宝塚記念は、阪神大震災(私も被災)による阪神競馬場の改修工事により京都競馬場で開催されました。
しかし京都競馬場は、予定に無かった阪神競馬場の改修工事で急遽代役が決まったこともあり
1月から5月まで使用された上に、ひと月おいて6月の宝塚から再び使用されたので馬場は限界に達していました。
宝塚記念の前日、京都競馬場では3頭の競争中止馬が出ていて嫌な雰囲気はしていました。
そして、第36回 宝塚記念。
異変はすぐ訪れました。
いつも好位追走のライスシャワーが後方から上がって来れない。
なにか異様な雰囲気を醸し出して、3コーナーを過ぎ4コーナーへ入るあたりに
先頭から順番にカメラで写されていきライスが映った瞬間、ライスの波乱の人生は幕を閉じました。
ライスの予後不良が決まった時、的場騎手は「ライスは俺をかばって、こちらに倒れてこなかった」と
ひざから泣き崩れたそうです。
私の頭の中も真っ白になり、しばらく競馬から遠ざかっていく分岐点となりました。
ビッグタイトルは全て淀の長距離。しかも、ファンの夢を打ち砕く活躍から当初はヒールの目で見られていましたが
そのひたむきな走りから、いつしかファンに愛される馬へと変わったライスシャワー。
関東馬であるにも関わらず、京都競馬場に記念碑が設けられたのはその証拠でしょう。
今週は、あの宝塚記念以来の京都開催。
ライスがそこに眠っている限り、もう2度とあんな悲劇はおこらないと信じています。
-終-
4回にわたり更新ししてきましたが、今回がいよいよ最後です。
「孤高の天才ステイヤー」① → コチラから
「孤高の天才ステイヤー」② → コチラから
「孤高の天才ステイヤー」③ → コチラから
日経賞でわずかな復活の手応えを掴み、天皇賞(春)に向けての調整中に骨折。
春~夏にかけて治療と休養にあて、傷が癒えた秋から暮れのグランプリ有馬記念に向けて調教。
この年の有馬記念。
京都記念で完膚なきまでに叩きのめされたビワハヤヒデは天皇賞(秋)で屈腱炎発症により引退。
しかしそのビワハヤヒデの半弟、
圧倒的強さでシンボリルドルフ以来の3冠を達成したナリタブライアン。
外国産のためクラシックレースには出走できなかったが、その強烈な末脚と
エリザベス女王杯でオークス馬を撃破して名実ともに世代牝馬最強の称号を手に入れたヒシアマゾン。
世代交代を思わせる今までとは違う新しいライバルの出現でした。
ライスシャワーは、それまでの実績が考慮されてか4番人気(17.7倍)。
レースは予想通りツインターボの大逃げから始まりました。

2番手を引っ張るのはナリタブライアン。ライスも含めて他馬は、当然ブラインをマークしてスローペースに。
その間に、ペース無視のツインターボはどんどん差を広げる。
4角に向かう前にはバテたツインターボを横目に一気にブライアンが抜いていく。
ライスはぴったりブラインの後ろを追走。外にはヒシアマゾン。

直線勝負になったが、ブライアンとの差は縮まらず3着。
4歳の2頭には敗れたものの、故障明けを考慮すればかなりの健闘でした。
やはり、ライスは復活しつつあると思いました。
しかし、年明け初戦の京都記念では好位追走も斤量(60kg)が響いてか6着。
続く日経賞でも不良馬場と位置取りの失敗なのか6着。
有馬記念で復活とおもいきや、格下相手に完敗は少し心配ではありました。
そして、天皇賞を迎える。
第111回 天皇賞
このレース、出れば確勝級だったナリタブライアンが阪神大賞典圧勝後、股間節炎で春全休という
ライスにとって、これ以上ない追い風が吹いていた。
しかも、2年前メジロマックイーンを破った時と同じ2枠3番。
復活勝利への舞台は整っていた。
レース序盤は5番手で1番人気のエアダブリンをマーク。
しかし、エアダブリンはスタンド前の歓声で少しカカリ気味に2~3番手に上がっていきました。
レースも半分を過ぎて、上り坂に突入し始めると的場騎手は賭けに出ました。
「この番手にいて追い勝負になって勝ち目があるのか」
一瞬悩んだ末、掟破りの超ロングスパートを敢行。一気に先頭に立つとそのまま後続と差を広げる。

直線に入ると、大外からステージチャンプがもの凄い勢いで追い込んでくるが、ハナ差で逃げ粘りました。
実に、マックイーンを下した2年前の天皇賞(春)以来の勝ち星を同じ舞台で成し遂げました。
このレース実況・杉本アナの「マックイーンもブルボンも喜んでいることでしょう」の言葉は今でも印象に残っています。
なんとかしてこの馬に勝利をもたらしたいという陣営の必死の思いが、ライスに伝わった勝利だと思います。
この時点で、ライスを引退・種牡馬入りさせても良かったのですが
時代はすでに長距離馬の血を必要としていなかった。
なんとかライスに中距離の実績を作りたかった陣営は、激走疲れもあったが春のグランプリに出走決定。
この年の宝塚記念は、阪神大震災(私も被災)による阪神競馬場の改修工事により京都競馬場で開催されました。
しかし京都競馬場は、予定に無かった阪神競馬場の改修工事で急遽代役が決まったこともあり
1月から5月まで使用された上に、ひと月おいて6月の宝塚から再び使用されたので馬場は限界に達していました。
宝塚記念の前日、京都競馬場では3頭の競争中止馬が出ていて嫌な雰囲気はしていました。
そして、第36回 宝塚記念。
異変はすぐ訪れました。
いつも好位追走のライスシャワーが後方から上がって来れない。
なにか異様な雰囲気を醸し出して、3コーナーを過ぎ4コーナーへ入るあたりに
先頭から順番にカメラで写されていきライスが映った瞬間、ライスの波乱の人生は幕を閉じました。
ライスの予後不良が決まった時、的場騎手は「ライスは俺をかばって、こちらに倒れてこなかった」と
ひざから泣き崩れたそうです。
私の頭の中も真っ白になり、しばらく競馬から遠ざかっていく分岐点となりました。
ビッグタイトルは全て淀の長距離。しかも、ファンの夢を打ち砕く活躍から当初はヒールの目で見られていましたが
そのひたむきな走りから、いつしかファンに愛される馬へと変わったライスシャワー。
関東馬であるにも関わらず、京都競馬場に記念碑が設けられたのはその証拠でしょう。
今週は、あの宝塚記念以来の京都開催。
ライスがそこに眠っている限り、もう2度とあんな悲劇はおこらないと信じています。
-終-
さすがにこの頃は、競馬の「ケ」の字も知らない歳でしたので
覚えていないのですが、調べてみると
「サクラスターオー」のことでしょうか。
どうやら、相当強かった馬みたいですね。
皐月賞制した後に故障でダービー回避。
半年の休養後、菊花賞で復活勝利。
本来は休養させたかった陣営の思いと裏腹に
JRAとファンが許さずに有馬出走。
無理がたたったか、競争中止。
ファンの嘆願とオーナーの意思から闘病生活に入るも
翌5月に安楽死。
テンポイントやライスシャワーも含め、
出なくても良いレースに無理やりでることによる故障は、
我々ファンにもわずかながら責任があるのでツライですね。
宝塚では、本当に無事に回ってきてもらいたいですね。
日欧ステイヤー決定戦になるけど。
栗林の純和風ステイヤーとサクラの欧州ステイヤーの長距離世界一決定戦になるかも。
かなり盛り上がりそうなレースになりそうですね。
先に抜け出したライスシャワーをサクラローレルを捉える事が出来るかどうか。