怒りのブログ

憤りを言葉にせずになんとしようか。

オレ様化する子どもたち(中公新書ラクレ)諏訪哲二著

2005-04-30 00:05:26 | 教育書
久々の書評(?)
最近は、結構、技術本やハウツーにまみれていたが、数冊併読しての読了。
ちょっと通読時間が長かった。(別に他意はないが、自分の読書力に反省。)

さて、いつもの通り、かなり端折った感想。
諏訪さんの本は以前にも読んだ経験があるが、一番読みやすかったかも。
(元)現場教員の視点・立場(立ち位置)を大切にしながらの論述になっており、そこが彼の誠実かつ実直さを感じさせる。
彼の参加したシンポジウム(だったっけかな?)を観にいったことがある。
誤解のないように言葉を選び、丁寧に論を積み上げ説明する点は著書と変わらないのだなと思ったことがある。
この本は二部に分かれており、前半は近代の学校教育とその周囲の状況や教育に対する認知の様子を説明しつつ、著者の今までの主張を別の言葉で表現している。
特に、「子どもが変わった」はプロ教師の会の根幹をなす主張であり、今度の教育・指導の方法や理念のあり方をどのように変えていくべきかを示す道標としていると感じた。
後半の教育論者の子ども観を検証している段では、前半を受け、主立った教育論者の論点を踏み台に自己の主張を際立たせることに成功している。
特筆すべきは尾木直樹批判であろう。
私は尾木さんの主張は好きであるが、どうしても最終的に踏み込みばのない論になる点に違和感を持っていた。
しかし、ここではそんな抽象論でなく、ざっくりと、尾木の立脚点を革命前提と断じ、背景には尾木独自のユートピアがあると批判することで、著書を通した持論の対比を鮮やかにしている。
せっかくここに書いたので、私はあえて感覚的に反ばくしてみたい。
諏訪氏の主張は現場主義的であり、学校保守であるから、単純には現在の子どもには厳しい。
今回の氏の著書には、そんな現状に対応しながら前へ進むべく活動する教師のための具体的な手立て、手当の主張がうまく汲み取れない気がする。
そこが弱いが、それは別著に譲るのか・・・。
なんちゃって挑戦になりそうだが、現場教師をある意味勇気づける書であることは確かで、一読の価値は絶対ある。