怒りのブログ

憤りを言葉にせずになんとしようか。

ネット王子とケータイ姫(中公新書ラクレ)香山リカ+森健

2005-01-08 14:51:09 | 教育書
正直期待はしていなかった。タイトルのセンスを疑って、買うのに躊躇した。
佐世保事件に関しては前出の「「個性」を煽られる子どもたち(岩波ブックレット)」の方が、
より真理をついた視点を示している気がするし、
この書の第2章のテーマであり、私の主張でもあるが、
「書物を含めたマスコミを通じた情報は疑わなければ真理は見えない」でもあって、
ナンパそうな(というより、いやらしい)タイトルや帯を冷めた目で見ていた。
実際、第1章2章の香山さんの文には御意見番的な印象を受け、
さほど感心する(というか当然過ぎる意見なので)ものも無かった。
この書物はどちらかというと森さんの方の文章が気になった。
あとでブログに記述する予定だが、「教育再生」(同社刊)の情報を補足したような、
電脳世界とそれに対応する教育界の詳細な実状を知らせることで、問題点を浮き彫りにしたような、
そんなジャーナルエッセイになっている。
「王子」「姫」と揶揄したかのような取り上げ方はバカにした印象を最後まで拭えなかったが、
個人的な第一の所感は、システムとしての学校教育の貧相な有り様であり、
そこに関わる人たちの無理解と思い込みによる無法な言動である。
日本の教育の縮図はここ実もあったかと改めて確認した。
この本の第4章はその点への解消方法を示唆しているようだが、
提言と題された章におけるドメスティックというか、
少なくとも社会再生的でない対応は対処療法的であり、
正直、失望した。
我々は抗えない流れに身を置くドリフターズではない。
少なくとも現場はそんな気はさらさらない。
やはり、人の汗を感じないタイトルは醜悪だ。