【第5巻…かわいそうなサエコ】
言いたい放題記事もやっと半分。
単行本第5巻です~。
この巻はね~本当にサエコがかわいそうでね~。
モラハラ描写がここから続きますから…。
サエコのダンナ、職場でストレスためまくって帰ってくる→とにかくサエコに説教じみた暴言を吐く理由を探す→サエコに怒鳴る→サエコ、言葉を返す→その返しが罵りの材料を与え、さらにダンナ暴言吐きまくる。
地獄。
これは田房永子さんのコミックエッセイ『しんどい母から逃げる!』でノノシラーについて描かれていたのと全く同じですなぁ。
毒母は暴言タイプが多いので、それを思い出す人も多いかもしれません。
いずれにせよ地獄。
もうさー、
「むしゃくしゃするから妻のこと貶めて怒鳴って憂さ晴らししてやるぜ!!」
ってサエコのダンナは決心してやってるんだよね。
サエコが殴りかかってきたり親に話して援軍読んだりと反撃してこないタイプだってわかっててやってんの。
地獄。
しかしこれはなかなか考察しがいのあるストーリー展開で、サエコがママに教えられ体現してきた
「ふわふわ優しく可愛く、でも賢くて~バカな男を手の平でころがしちゃう愛され女子」
(ここで言ってる「バカな男」とは男性全体を悪く書いているのではなく、免罪符として男性権力者が使いがちな「男はバカ、女は子ども時代からすでに賢い女」ロジックに使われる意味での「バカ」です)
って、モラハラ・DVといった女を虐げたくて仕方ない人にターゲットにされやすいキャラ作りなんですよね。
愛され女子道を突き進み、稼ぎのいいダンナをゲットして愛され妻道まっしぐらのはずが…という皮肉な描写なのです。
今回はケガまでさせられちゃってね。
ドラマ版と同じで、ダンナに少しクールに対応したらふっとばされて目の上を切ってしまうという。
老若男女関係なく自分の顔に傷が残るのは辛いこと…。
(カッコいい~って思える人もいるけど、辛い人の方がやっぱり多いんじゃないのかな)
サエコもめちゃくちゃ幼いキャラなのですが、そのサエコ以上にダンナは幼くて、保身と言い訳の嵐。
「跡が残ったらどうしよう」
というサエコに
「嫁入り前でもないし、顔の真ん中でもないからいいじゃん」
と。
これ本当に50代以上の御夫婦に多い気がするんだが、奥さんを
「社会の一部、俺と言う男の妻という社会の一部」
みたいに言ってしまうのね。
人間は社会の一部、特に女は男の付属品だと刷り込まれた成果なのかもしれませんが、もちろんこんなこと言われたサエコは自分の心をまるっと無視されたまったもんじゃない。
「あたしは気にするよ」
と返せば
「まだモテたいとか思ってんの?!誰に!!」
とブチ切れるダンナ。
このダンナおそらく前妻か元彼女に浮気されたことがトラウマなのでしょうが、そういう人って浮気されやすい人ってわけではなく浮気性、つまり承認欲求や性欲が強くモラルが低い人を選びがちなのが問題。
サエコもたしかにそういうキャラではあったけど、この時点では
「ダンナの奥さんという仕事を頑張ろう」
とゆがんだ形ではあるものの決意し頑張ってくれていたわけで…とても切ないですね。
サエコね~悪いキャラじゃないんだよなぁ。
ドラマ版では女友達=婚活サークルの仲間。みたいな描写だったし、本音で女友達と語り合う場面も少なかった。
ダンナの愚痴は女同士で嫌われないために…という雰囲気ぷんぷんのドラマ版サエコでしたが、この原作版だと大親友は一人ですし、女友達を大切にする普通の女性なんですよね。
(友達の男を盗む悪癖はなさそう)
本当にサエコがかわいそうで、なんとかこの八方塞がりな状態から幸せになってほしいと私は思った。
まあ、これから先ある事件ゆえにサエコは大暴走しますが、この巻は本当にかわいそうな女性です。
【薫子・えれな・ソータ】
クリスマスという心躍るイベントを舞台に、この三人の恋愛関係が急展開。
ここもドラマ版が原作通り(放送日時があわずクリスマスをサエコの誕生日、と変えてはいましたが)だったところ。
ショコラヴィ(ソータのお店)のメンバーで閉店後に皆で飲みにいくはずが、失恋したえれながどうしても心配でえれなの元へかけだしたいソータ。
ソータに熱く片想いしている薫子は悲しみと嫉妬で
「お前(ソータ)の選ぶのは尻軽なメス犬ばっかり!」
…と、打ってても
「ひどい…」
と思う辛い言葉をあびせやがります。
これにはソータも怒るよね。
(私の友人は「だって本当のことなんだから、言われたって仕方ないじゃん」と言っていましたが…私は本当だろうとやっぱりこんな悪意ある言葉は口に出してはいけないと思う。
心の中ではどれだけ言ってもいいよ、でも口に出すのはとんでもないこと。
縁切りされるくらいの覚悟で言わなければいけないよ。
報復もくるだろうし…)
でも明らかにサエコを悪く言われたことよりえれなを悪く言われたことに怒ることからも、ソータの本心が見える。
えれなはイイコだ、綺麗なだけじゃない、心だって美しい。
自分はそこが大好きなんだと怒るのはいいんだが、
「薫子さんはいつも人の悪口ばっかり。
俺は女の悪口言う女は大嫌いだよ!」
といた~いところをつきます。
ここもサエコの結婚生活描写と同じで、本当にこの漫画のキャラは典型的なジェンダー観がゴリゴリだな~。
異性への失礼な蔑みとファンタジーな理想化は表裏一体。
ソータが
「俺は人の悪口をいう人は嫌いだ」
と言えずにこの言葉が出るのはねじれたジェンダー教育のたまものでございます。
うーん漫画って時代をうつすなぁ。
そんなこんなで薫子さんは
「私だってこんな私は好きじゃない」
と涙。
えれなが失恋したことでえれなもソータも
「自分たちがしていた片想いはファンタジーだった」
と気づき、お互いの大切さに気付きます。
…でもここで
「じゃあ付き合いましょう」
となれないのがソータが妄想をパッションにして芸術に消化するアーティストだからこそ。
ここで
「今日から彼氏彼女でーす!」
となれたらこの巻で『失恋ショコラティエ』は完結してしまうわけで、それではつまらない。
ドロドロの前の美しい時間といえるかな。
この巻の最後の方、ソータはますますサエコを妖精さんとして都合よく脳内ストーリーに利用し、自己完結。
でも家庭が苦しいサエコはそんなソータにますます心癒やされ、ときめき、大好きになってしまう…。
帽子かぶって来店する場面めちゃくちゃ切ないよ~。
サエコがママや社会の押し付ける「良い彼氏」にしばられず「私が楽しい彼氏」を選べていたら、この切ないすれ違いはなかったのよね~…。
まあ悲しい失恋とひきかえに素晴らしいショコラヴィが生まれたんだよってのが漫画家さんのテーマだから、仕方ないか。
美しいのう。
【オリヴィエという被害者】
この巻で私がもう一つ際立って感じるのが、オリヴィエというキャラクターの不憫さね。
とにかく優しくて人の気持ちがわかる彼に、誰もが本心をもらします。
全てを知ってしまうオリヴィエ…辛いよなぁ。
まつりちゃんとか純真ゆえにバカなので、
「そんなのぜったい嫌だ!」
ってことを悪気なくオリヴィエにやるのよ。
優しい彼は言えないし…辛いねぇ。
誰より清らかで天使のようなオリヴィエ。
私は
「そんなに苦労せんでもいいのよ…」
と泣けてくるぜ。
【この巻で食べてみたいお菓子】
クリスマスケーキは驚くほど
「かわいい」
とも
「食べたい」
とも思わないな。
ロールケーキのビジュアルがそんなに好きではないせいかも。
というわけで蝶のブッシュドノエルではない。
私が食べたいのは最後の方でソータが考案してるボンボンショコラたちですね。
エクレアをイメージしたサクサクショコラ、ガトーショコラをマジパンで再現したショコラ…。
全部食べたい~
要するに次の巻で出てくるスペシャルボックスが食べたいのです。
5千円までなら出します。(しょぼい!)
言いたい放題記事もやっと半分。
単行本第5巻です~。
この巻はね~本当にサエコがかわいそうでね~。
モラハラ描写がここから続きますから…。
サエコのダンナ、職場でストレスためまくって帰ってくる→とにかくサエコに説教じみた暴言を吐く理由を探す→サエコに怒鳴る→サエコ、言葉を返す→その返しが罵りの材料を与え、さらにダンナ暴言吐きまくる。
地獄。
これは田房永子さんのコミックエッセイ『しんどい母から逃げる!』でノノシラーについて描かれていたのと全く同じですなぁ。
毒母は暴言タイプが多いので、それを思い出す人も多いかもしれません。
いずれにせよ地獄。
もうさー、
「むしゃくしゃするから妻のこと貶めて怒鳴って憂さ晴らししてやるぜ!!」
ってサエコのダンナは決心してやってるんだよね。
サエコが殴りかかってきたり親に話して援軍読んだりと反撃してこないタイプだってわかっててやってんの。
地獄。
しかしこれはなかなか考察しがいのあるストーリー展開で、サエコがママに教えられ体現してきた
「ふわふわ優しく可愛く、でも賢くて~バカな男を手の平でころがしちゃう愛され女子」
(ここで言ってる「バカな男」とは男性全体を悪く書いているのではなく、免罪符として男性権力者が使いがちな「男はバカ、女は子ども時代からすでに賢い女」ロジックに使われる意味での「バカ」です)
って、モラハラ・DVといった女を虐げたくて仕方ない人にターゲットにされやすいキャラ作りなんですよね。
愛され女子道を突き進み、稼ぎのいいダンナをゲットして愛され妻道まっしぐらのはずが…という皮肉な描写なのです。
今回はケガまでさせられちゃってね。
ドラマ版と同じで、ダンナに少しクールに対応したらふっとばされて目の上を切ってしまうという。
老若男女関係なく自分の顔に傷が残るのは辛いこと…。
(カッコいい~って思える人もいるけど、辛い人の方がやっぱり多いんじゃないのかな)
サエコもめちゃくちゃ幼いキャラなのですが、そのサエコ以上にダンナは幼くて、保身と言い訳の嵐。
「跡が残ったらどうしよう」
というサエコに
「嫁入り前でもないし、顔の真ん中でもないからいいじゃん」
と。
これ本当に50代以上の御夫婦に多い気がするんだが、奥さんを
「社会の一部、俺と言う男の妻という社会の一部」
みたいに言ってしまうのね。
人間は社会の一部、特に女は男の付属品だと刷り込まれた成果なのかもしれませんが、もちろんこんなこと言われたサエコは自分の心をまるっと無視されたまったもんじゃない。
「あたしは気にするよ」
と返せば
「まだモテたいとか思ってんの?!誰に!!」
とブチ切れるダンナ。
このダンナおそらく前妻か元彼女に浮気されたことがトラウマなのでしょうが、そういう人って浮気されやすい人ってわけではなく浮気性、つまり承認欲求や性欲が強くモラルが低い人を選びがちなのが問題。
サエコもたしかにそういうキャラではあったけど、この時点では
「ダンナの奥さんという仕事を頑張ろう」
とゆがんだ形ではあるものの決意し頑張ってくれていたわけで…とても切ないですね。
サエコね~悪いキャラじゃないんだよなぁ。
ドラマ版では女友達=婚活サークルの仲間。みたいな描写だったし、本音で女友達と語り合う場面も少なかった。
ダンナの愚痴は女同士で嫌われないために…という雰囲気ぷんぷんのドラマ版サエコでしたが、この原作版だと大親友は一人ですし、女友達を大切にする普通の女性なんですよね。
(友達の男を盗む悪癖はなさそう)
本当にサエコがかわいそうで、なんとかこの八方塞がりな状態から幸せになってほしいと私は思った。
まあ、これから先ある事件ゆえにサエコは大暴走しますが、この巻は本当にかわいそうな女性です。
【薫子・えれな・ソータ】
クリスマスという心躍るイベントを舞台に、この三人の恋愛関係が急展開。
ここもドラマ版が原作通り(放送日時があわずクリスマスをサエコの誕生日、と変えてはいましたが)だったところ。
ショコラヴィ(ソータのお店)のメンバーで閉店後に皆で飲みにいくはずが、失恋したえれながどうしても心配でえれなの元へかけだしたいソータ。
ソータに熱く片想いしている薫子は悲しみと嫉妬で
「お前(ソータ)の選ぶのは尻軽なメス犬ばっかり!」
…と、打ってても
「ひどい…」
と思う辛い言葉をあびせやがります。
これにはソータも怒るよね。
(私の友人は「だって本当のことなんだから、言われたって仕方ないじゃん」と言っていましたが…私は本当だろうとやっぱりこんな悪意ある言葉は口に出してはいけないと思う。
心の中ではどれだけ言ってもいいよ、でも口に出すのはとんでもないこと。
縁切りされるくらいの覚悟で言わなければいけないよ。
報復もくるだろうし…)
でも明らかにサエコを悪く言われたことよりえれなを悪く言われたことに怒ることからも、ソータの本心が見える。
えれなはイイコだ、綺麗なだけじゃない、心だって美しい。
自分はそこが大好きなんだと怒るのはいいんだが、
「薫子さんはいつも人の悪口ばっかり。
俺は女の悪口言う女は大嫌いだよ!」
といた~いところをつきます。
ここもサエコの結婚生活描写と同じで、本当にこの漫画のキャラは典型的なジェンダー観がゴリゴリだな~。
異性への失礼な蔑みとファンタジーな理想化は表裏一体。
ソータが
「俺は人の悪口をいう人は嫌いだ」
と言えずにこの言葉が出るのはねじれたジェンダー教育のたまものでございます。
うーん漫画って時代をうつすなぁ。
そんなこんなで薫子さんは
「私だってこんな私は好きじゃない」
と涙。
えれなが失恋したことでえれなもソータも
「自分たちがしていた片想いはファンタジーだった」
と気づき、お互いの大切さに気付きます。
…でもここで
「じゃあ付き合いましょう」
となれないのがソータが妄想をパッションにして芸術に消化するアーティストだからこそ。
ここで
「今日から彼氏彼女でーす!」
となれたらこの巻で『失恋ショコラティエ』は完結してしまうわけで、それではつまらない。
ドロドロの前の美しい時間といえるかな。
この巻の最後の方、ソータはますますサエコを妖精さんとして都合よく脳内ストーリーに利用し、自己完結。
でも家庭が苦しいサエコはそんなソータにますます心癒やされ、ときめき、大好きになってしまう…。
帽子かぶって来店する場面めちゃくちゃ切ないよ~。
サエコがママや社会の押し付ける「良い彼氏」にしばられず「私が楽しい彼氏」を選べていたら、この切ないすれ違いはなかったのよね~…。
まあ悲しい失恋とひきかえに素晴らしいショコラヴィが生まれたんだよってのが漫画家さんのテーマだから、仕方ないか。
美しいのう。
【オリヴィエという被害者】
この巻で私がもう一つ際立って感じるのが、オリヴィエというキャラクターの不憫さね。
とにかく優しくて人の気持ちがわかる彼に、誰もが本心をもらします。
全てを知ってしまうオリヴィエ…辛いよなぁ。
まつりちゃんとか純真ゆえにバカなので、
「そんなのぜったい嫌だ!」
ってことを悪気なくオリヴィエにやるのよ。
優しい彼は言えないし…辛いねぇ。
誰より清らかで天使のようなオリヴィエ。
私は
「そんなに苦労せんでもいいのよ…」
と泣けてくるぜ。
【この巻で食べてみたいお菓子】
クリスマスケーキは驚くほど
「かわいい」
とも
「食べたい」
とも思わないな。
ロールケーキのビジュアルがそんなに好きではないせいかも。
というわけで蝶のブッシュドノエルではない。
私が食べたいのは最後の方でソータが考案してるボンボンショコラたちですね。
エクレアをイメージしたサクサクショコラ、ガトーショコラをマジパンで再現したショコラ…。
全部食べたい~
要するに次の巻で出てくるスペシャルボックスが食べたいのです。
5千円までなら出します。(しょぼい!)