山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

紅葉の日光白根山(後編) 五色沼~前白根山~金精山を経て下山

2012年10月14日 | 山梨百名山
平成24年10月7日

 菅沼登山口を朝7時前に出発したにもかかわらず、山頂に到着したのは11時半、4時間半以上もかかっている。その大半は三脚を立てて光が射し込むのを待っていた待ち時間だ。しかし、その割には撮った写真はいまいち・・・。出発の前に迷ったのが避難小屋宿泊用の装備を持って行くかどうかということだった。なにせこの日の夜はりゅう座流星群が極大を迎える頃なので、空が晴れれば日光白根山とりゅう座流星群を撮れるかもしれなかった。あいにく天気予報は曇り、この日の朝は小雨がまだ降っており、容易に晴れてくれそうには見えなかった。そこで非常事態のためにシュラフカバーだけは持って行き、食料も3食半だけ持って日帰りすることに決めて登って来た。

 日本百名山であり登り易い日光白根山は混雑することを予想してはいたが、想定以上の大混雑に少々驚きつつ、山頂では休憩せずにそのまま五色沼に下る。少し下れば到着できそうなイメージだったが意外と遠く、1時間ほどかかり、12時35分に五色沼に到着した。途中の五色沼避難小屋は新しくて綺麗な小屋だった。小屋の中も綺麗で20人くらいは泊れそう、毛布はあまり綺麗そうには見えなかったが、数枚手すりに掛けて干されていた。自分の持ってきた装備でもこの小屋ならば一晩ならなんとか過ごせそうだ。

    大渋滞の山頂待ちの行列


    五色沼に下る。こちら側の斜面には草むらが広がる。


    五色沼避難小屋。きれいな小屋で、中には毛布が何枚か置かれていた。


    五色沼と沼周辺の広場

 五色沼で昼食をとり大休憩(といっても写真を撮りながらひたすら休憩しているので全く疲れていないが)する。たくさんの人が休憩してはいるが、山頂の混雑に比べるとまだ少ない。対岸の美しい紅葉を眺めながら食事をとる。

    五色沼と対岸の紅葉


    五色沼と白根山

 ほとんどの登山者はここから弥陀ヶ池経由で下山していったが、私は水場の状況と前白根山から見る日光白根山の景色を見たくてそちらの方向に進む。水場は湧き水ではなくて五色沼に流れ落ちる沢水、水量は豊富だ。その脇を通り過ぎて急斜面を登ると五色沼外輪の尾根道に登り着く。途中で避難小屋泊りの若者と出会い、りゅう座流星群の話をすると、今晩は天候が回復して澄んだ星空になる予報だと教えてくれた。この若者も流星群を狙っているらしい。さて、どうするか?シュラフカバーの中にもぐり込んで小屋にある毛布を被れば寝るには問題無い。食料もギリギリ下山までは足りるだろう。しかし問題は眠れるかどうか・・・。ひとまずは前白根山まで登ってから考えることにする。

    水場は五色沼にそそぐ沢水。


    前白根山中腹から見る五色沼と白根山。白根山がほぼ東に位置し、星空を撮るならこの角度が良さそうだ。


    前白根山山頂。向こうは雲のかかる白根山。

 前白根山に登り着き、コンパスで角度を見るとほぼ東の位置に白根山が位置している。この角度だとちょうど白根山の上にオリオン座と冬の大三角形が昇って来るはずだ。画角的にも17mmレンズでちょうど良い。避難小屋泊りを選択するべきだったのだろうが・・・宿泊装備以上に問題だったのは睡眠導入剤を忘れてきてしまったことだ。オリオン座が昇って来るのは未明3時、2時には起床しなければならないが、寝付きの悪い私は早い時間に寝付くには睡眠導入剤が不可欠。これがないとおそらくは徹夜で撮影することになってしまうだろう。そうすると帰りの車の運転に大きな支障が出てしまう。かなり迷ったが、ここは下山することにした。帰路は金精峠経由のほうが近そうだったのでそちらに下山することにする。
 地図をあまり確認しないで、前白根山山頂の看板を見て湯元方面に進んだがどうも方向がおかしい。10分ほど歩いて地図を確認すると、この道はまさに湯元に直下りする道、金精峠に行くには五色山で左に曲がらなければならない。その先の国境平というところでまた湯元方面と金精峠方面の道が分かれている。時間を20分ほどロスし、前白根山に戻って五色山に進む。

    五色山への稜線から見る五色沼と前白根山。五色沼が真下に見える。


    五色山。ここで道は二手に分かれる。

 五色山に到着したのは午後2時50分。下山にはまだ2時間はかかるので、日没ギリギリの午後5時ごろになりそうだ。混雑した山頂が嘘のようにこちらを歩いている人はほとんどいない。出会ったのは3人のみだ。五色山山頂の看板にも湯元と書かれていた。今度は大丈夫か?地図を確認するが今度は間違いない。小休止後出発すると、今度は間違い無く、国境平の分岐に出た。

    五色山の少し先から見下ろす日光中禅寺湖。男体山、女峰山は雲の中。


    国境平到着。

 時間が時間だけに休憩せずに金精峠目指して進む。気になる看板があり、金精山付近は登山道に亀裂があるので注意するように書かれている。国境平までは新しい靴跡がついていたが、金精峠側に進むとほとんど歩いた形跡が無い。その理由は、金精山を通り過ぎてから初めてわかった。

    金精山。山頂は中禅寺湖方面の絶好の展望台になっている。


    雲がなければ男体山、女峰山、中禅寺湖を見渡す絶景なのだろう。

 金精山を過ぎると急下りになる。1本目のロープ場があり、亀裂とはこれなのか、と思ったのだがそんなに甘くはなかった。その先も急下りが続き、滑り落ちたような斜面に出くわし、そこにもロープ、さらに滑り落そうな細いトラバース、そしてロープ、ハシゴ・・・雨の後でスリップしそうだったので慎重に通過する。距離は短いが、こちらの道を歩く人が少ない理由がここでわかった。

    1本目のロープ場。こんなものか・・・とこの時は思った。


    細くて滑りそうなトラバース道、その先にハシゴ。 


    ハシゴとロープ場。左側のハシゴは折れていて使えない。


    さらに急斜面のロープ場。濡れていて滑りやすい。


    金精峠到着。左の建物は金精神社。

 午後4時15分、金精峠に到着。もう少し早く着くと思ったのだが、急斜面の通過に時間がかかった。ここから先は歩きやすい道になる。小休憩後菅沼登山口方向に歩いて行くと、出た場所は駐車場ではなくて金精トンネル側の道路だった。時間は午後5時、ちょうど西の山に陽が沈んで行くところだった。これで日光白根山一周制覇。標高差800m少々で甘く見ていたが、後にカシミール3Dで調べてみると、このコースだと沿面距離11.3km、累積標高差1,180m、中の上級くらいの行程になった。登りはかなりダラけていたが五色山を過ぎてからの帰りはかなり気合いが入った。侮るなかれ日光白根山!

    西の山に陽が沈んで行く。


    出たところは道路脇。駐車場まで約5分。

 この日の夜は前述のようにりゅう座流星群極大の日だ。今までに何度か山の上でこの夜を過ごしているが、りゅう座流星群は実はあまりたくさん流れたのを見たことが無い。しかしそれでも期待してしまう流星群。車で沼田インター方面に向かい、途中の温泉でひと風呂浴びると時間はもう夜7時を過ぎていた。山上で出会った若者の情報通り、空は晴れて星空が見え始める。星空を見ながら眠るにはこの時間からでは限られた場所しか無い。そして向かった場所は・・・(次の記事に続く)



    今回歩いた行程(反時計回り)




    標高差 

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