アカネスミレの花は通常濃い赤紫色をしており、薄紫色のコスミレとはだいぶ違うので簡単に見分かられるであろう。ところが、中には薄紫色をしたアカネスミレもあり、花弁が細いタイプのものもあり、一見しただけではコスミレとの区別が難しいことがある。今回甲府市の2ヶ所で見てきたコスミレらしきスミレは本当にコスミレなのかどうか、過去に撮影してきた画像を照らし合わせて検討してみたいと思う。
参考とした図鑑はいがりまさし著『日本のスミレ』である。コスミレの記述を見てみると、花の色や形態に変化が多く観察者を困らせるスミレのひとつと書かれている。葉の表面は粉をふいたように白く濁った緑色をしている。花弁は通常淡紫色で、側弁には毛が生えているものと生えていないものがあり、東日本では毛が生えていないものが多く西日本では生えているものが多い。アカネスミレとの違いは、側弁が基部からしっかり開き、花柱の先が良く見えることである。これらのことを踏まえて過去に撮影してきたアカネスミレとコスミレを見直してみたいと思う。

小ぶりだがこれはアカネスミレ 令和4年4月北杜市で撮影

花弁はふっくらしていて側弁に毛があり、花柱は観察できない。

こちらは花弁が細いタイプのアカネスミレ 令和4年4月北杜市で撮影

側弁には毛が密生している。花柱は見えていない。

花弁の色が淡紫色のタイプのアカネスミレ 平成30年4月北杜市で撮影

側弁に毛が生えており花柱は見えない。

山梨県に生育しているアカネスミレの白花、コボトケスミレ

花弁の細いタイプで側弁に毛があり、やはり花柱は見えない。
ではコボトケスミレと思わしきものはどうであろうか。

奥秩父で初めて出会ったコスミレ 平成30年3月埼玉県で撮影

葉は少し白っぽくて濁った緑色をしている。

葉の拡大。微毛が生えているようである。

先日観察してきたコスミレと思わしき花

葉はやや濁った緑色であるが白っぽく無い。

花弁を見てみると、側弁が基部から開いて花柱が観察できる。

こちらも先日偶然に発見したコスミレと思わしきスミレ。

側弁には毛が生えており、基部から分かれて花柱が見えている。
これらのことから考えると、甲府市の2ヶ所で見てきたコスミレと思わしき花は、葉の表面は白っぽく無くて典型的では無いものの、花の側弁の形態を見ると根元から分かれていて花柱が観察できることからコスミレと見て良いのではないかと思う。ちなみに甲府市のものは側弁に毛が生えているタイプのものだった。他の場所にも生育しているであろうから、これからは注意して観察して行きたいと思う。
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