アイリス あいりす 

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NO14    機上のお嬢さん

2009-10-06 10:19:08 | 日記
 何年も前に、ソウル行きの飛行機に乗った時の話です。
 私が自分の席の横に立つと、彼女は、私をじっと見ていました。この行為で、私は、彼女が日本人ではない、と思いました。 笑顔で軽く会釈すると、彼女も笑顔で挨拶してくれました。美人で、スタイルもよく、彼女の細くすらりと伸びた足元には、免税店の、大きな袋が有りました。
 機内食を食べ終えてしばらくすると、入国審査用の書類が配られ、記入していたところ、解らないところがあり、通路の向こう側の席にいる、家族に聞いたところ、思いがけず、彼女が、「そこは、日本人は書かなくてもいいのです。」と教えてくれました。「日本語が、話せるのですか?」「少し、話せます。」と彼女。
 「ファッション関係のお仕事ですか?」と聞くと、意外にも、「いいえ、京都で仏教の勉強をしています。」というではありませんか。「仏教に、興味があるのですか?」と聞くと、「今は修行をしています。将来は、仏門に入ります。」というのです。またもや驚くような答えに私は、思わず彼女の右腕をつかみ、「そんな、もったいない!」といってしまいました。こんなに若い彼女にいったい何があったというのかしら、と思っていると、「私は病気なんです。だから、仏門にはいりたいのです。」というではありませんか。私は絶句してしまいました。彼女は「私は、日本人が好きです、韓国では、家族も親戚も、友達もどうしてそんなことするの、やめなさいと言い続けて、私は、疲れてしまいます。日本人は、他人の心に踏み込まないで、理解してくれます。」と。「なるほどね、そうだったの。」もう一度、彼女の腕を軽くたたいた。そのあと、私たち家族のことを話しているうちに、着陸し、「お元気で!」といいあって、別れたのです。
 人生は、時に自分だけ時が止まってしまったように感じたり、近しい人との距離を感じたりすることはありますよね。韓国ドラマを見る度に、彼女の事を思い出します。あの時のお嬢さんに幸あれ!

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