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緊張の海(船長の矜恃)

2013年05月16日 16時18分16秒 | 日記
以下は、尖閣の現状を伝える「八重山日報」の記事です。

『中国公船に包囲された』

尖閣 · 2013年5月

「中国公船に包囲された」―。

「高洲丸」(4・8㌧)の高江洲正一船長(45)が緊張した声でつぶやいた。

13日午後2時ごろ、尖閣諸島南小島の東南約2㌔。

島を背に漁船から周囲を見渡すと、前にも右にも左にも中国公船の姿がある。

3隻は、操業中の高洲丸を「取り締まる」ために領海侵犯してきたのだ。

中国公船を阻止するため、海上保安庁の巡視船が高洲丸との間に割って入った。

同乗した八重山日報の記者が緊迫の尖閣海域をレポートする。


高洲丸が尖閣海域に到着したのは13日早朝。

乗船者は高江洲船長、伊良皆高信市議会議長(53)、仲間均市議(63)ら6人。

釣りと周辺海域の視察を兼ねた航海だ。

釣りは好調で、アカマチやカンパチなどが次々と水揚げされる。

正午ごろ、遠巻きに監視していた海上保安庁の巡視船から、

職員がゴムボートで近付いてきた。


「中国公船がこちらに近づいています」


仲間氏は「ここは日本の領海だ。私は逃げない」と答えた。

高洲丸の船尾には、目立つように日の丸が翻っている。

八重山の漁業者は常々

「中国公船は、尖閣海域で漁をする地元漁船を追い払うために領海侵犯する」

と指摘していた。

「やはり」という表情が乗船者の顔に浮かんだ。

誰もが「中国公船は来る」と予期していた。

その通りになったのだ。


午後1時過ぎ。

「海監66」を先頭に「海監50」「海監15」という3隻の中国海洋監視船が続々と、

われわれの視界に入った。

他国に領海侵犯しているにもかかわらず、傍若無人に航行する。

少しも悪びれる様子はない。

しかも、徐々に高洲丸との距離を詰めてくる。

高洲丸を警護している巡視船の電光掲示板に

「中国公船は接近すると大変危険です」と注意を促すテロップが流れた。

しかし、仲間氏が事前に「逃げない」と宣言していたためか、

海保から避難指示は来ない。


「おーっ、こんな近くまで」


乗船者の1人が悲鳴のような声を上げた。

「海監15」がぬっと目前に現れた。

私には数10㍍の距離に見える。

高洲丸をガードするため、巡視船が懸命に割って入ろうとする。

南小島を背にした高洲丸は、気がつくと3方向を中国公船に包囲された。

われわれは、動きが取れない。

巡視船が中国公船と高洲丸の中間で航行し、

これ以上われわれに近づけないように警戒している。

巡視船は9隻体制だ。高洲丸の乗船者には緊張が走る。

しかし船は、その場でエンジンを切ったまま、じたばた動こうとしない。

仲間さんは

「中国公船は、何でおれたちが逃げないのかと思っているんだろうな。

今逃げたら、中国公船に追い払われたことになる」と、

誰にともなくつぶやく。

中国公船は高洲丸を威嚇するように距離を詰めようとするが、

巡視船に阻止され、考えあぐねているようだ。

やがて中国公船、巡視船とも目立った動きがなくなり、膠着状態に入った。

 
午後5時ごろ。

「釣りをしよう。中国公船に見せてやれ」

仲間さんの指示で、高洲丸は釣りを始めた。

正面では、地元漁船をたびたび追跡したことで悪名高い「海監66」が見える。

仲間さんによると

「海監66の誰かが、釣りの様子を見てテレビカメラを回しているのが見えた」という。

 
やがて周囲は暗くなった。

釣りが終わる7時ごろには、

遠巻きにしていた中国公船の姿も見えなくなった。

いつの間にか去って行ったのだ。


第11管区海上保安本部によると、

中国公船3隻は午前9時ごろ、

久場島北から相次いで領海に入り、

8時46分ごろ、南小島南東から相次いで領海を退去した。

高洲丸が包囲されていたのは、6時間くらいだっただろうか。

高洲丸は翌朝まで尖閣海域にとどまり、魚釣りをしたが、

中国公船はもう姿を見せなかった。

漁獲高は2日間で約60㌔だった。

 
仲間さんは

「中国公船が高洲丸に突っ込んでくる機会はいくらもあったが、

魚釣りをただ見ているだけだった。

領海侵犯はパフォーマンスだ。

ここが自分たちの領海でないことを知っている」と厳しい表情を見せた。

伊良皆さんは

「中国公船の姿に恐怖を感じた。尖閣海域は、まさに無法地帯だ。

日本の領海をどう守るか、

主権国家としての法整備を真剣に考えないといけない」と強調した。


日本の領海内で八重山の漁船が、中国公船に包囲される。

海上保安庁に何とか守ってもらい、漁をする。

日本の、この悲しい現実は何なのか。

何が日本をここまで無力にしたのか。

答えはいろいろあるはずだが…

帰りの船中、

私の脳裏には、

日本の交戦権を認めないと宣言した「憲法9条」という言葉が盛んに点滅した。」

憲法改正も、尖閣も、待ったなしです。

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