以下は、尖閣の現状を伝える「八重山日報」の記事です。
『中国公船に包囲された』
尖閣 · 2013年5月
「中国公船に包囲された」―。
「高洲丸」(4・8㌧)の高江洲正一船長(45)が緊張した声でつぶやいた。
13日午後2時ごろ、尖閣諸島南小島の東南約2㌔。
島を背に漁船から周囲を見渡すと、前にも右にも左にも中国公船の姿がある。
3隻は、操業中の高洲丸を「取り締まる」ために領海侵犯してきたのだ。
中国公船を阻止するため、海上保安庁の巡視船が高洲丸との間に割って入った。
同乗した八重山日報の記者が緊迫の尖閣海域をレポートする。
高洲丸が尖閣海域に到着したのは13日早朝。
乗船者は高江洲船長、伊良皆高信市議会議長(53)、仲間均市議(63)ら6人。
釣りと周辺海域の視察を兼ねた航海だ。
釣りは好調で、アカマチやカンパチなどが次々と水揚げされる。
正午ごろ、遠巻きに監視していた海上保安庁の巡視船から、
職員がゴムボートで近付いてきた。
「中国公船がこちらに近づいています」
仲間氏は「ここは日本の領海だ。私は逃げない」と答えた。
高洲丸の船尾には、目立つように日の丸が翻っている。
八重山の漁業者は常々
「中国公船は、尖閣海域で漁をする地元漁船を追い払うために領海侵犯する」
と指摘していた。
「やはり」という表情が乗船者の顔に浮かんだ。
誰もが「中国公船は来る」と予期していた。
その通りになったのだ。
午後1時過ぎ。
「海監66」を先頭に「海監50」「海監15」という3隻の中国海洋監視船が続々と、
われわれの視界に入った。
他国に領海侵犯しているにもかかわらず、傍若無人に航行する。
少しも悪びれる様子はない。
しかも、徐々に高洲丸との距離を詰めてくる。
高洲丸を警護している巡視船の電光掲示板に
「中国公船は接近すると大変危険です」と注意を促すテロップが流れた。
しかし、仲間氏が事前に「逃げない」と宣言していたためか、
海保から避難指示は来ない。
「おーっ、こんな近くまで」
乗船者の1人が悲鳴のような声を上げた。
「海監15」がぬっと目前に現れた。
私には数10㍍の距離に見える。
高洲丸をガードするため、巡視船が懸命に割って入ろうとする。
南小島を背にした高洲丸は、気がつくと3方向を中国公船に包囲された。
われわれは、動きが取れない。
巡視船が中国公船と高洲丸の中間で航行し、
これ以上われわれに近づけないように警戒している。
巡視船は9隻体制だ。高洲丸の乗船者には緊張が走る。
しかし船は、その場でエンジンを切ったまま、じたばた動こうとしない。
仲間さんは
「中国公船は、何でおれたちが逃げないのかと思っているんだろうな。
今逃げたら、中国公船に追い払われたことになる」と、
誰にともなくつぶやく。
中国公船は高洲丸を威嚇するように距離を詰めようとするが、
巡視船に阻止され、考えあぐねているようだ。
やがて中国公船、巡視船とも目立った動きがなくなり、膠着状態に入った。
午後5時ごろ。
「釣りをしよう。中国公船に見せてやれ」
仲間さんの指示で、高洲丸は釣りを始めた。
正面では、地元漁船をたびたび追跡したことで悪名高い「海監66」が見える。
仲間さんによると
「海監66の誰かが、釣りの様子を見てテレビカメラを回しているのが見えた」という。
やがて周囲は暗くなった。
釣りが終わる7時ごろには、
遠巻きにしていた中国公船の姿も見えなくなった。
いつの間にか去って行ったのだ。
第11管区海上保安本部によると、
中国公船3隻は午前9時ごろ、
久場島北から相次いで領海に入り、
8時46分ごろ、南小島南東から相次いで領海を退去した。
高洲丸が包囲されていたのは、6時間くらいだっただろうか。
高洲丸は翌朝まで尖閣海域にとどまり、魚釣りをしたが、
中国公船はもう姿を見せなかった。
漁獲高は2日間で約60㌔だった。
仲間さんは
「中国公船が高洲丸に突っ込んでくる機会はいくらもあったが、
魚釣りをただ見ているだけだった。
領海侵犯はパフォーマンスだ。
ここが自分たちの領海でないことを知っている」と厳しい表情を見せた。
伊良皆さんは
「中国公船の姿に恐怖を感じた。尖閣海域は、まさに無法地帯だ。
日本の領海をどう守るか、
主権国家としての法整備を真剣に考えないといけない」と強調した。
日本の領海内で八重山の漁船が、中国公船に包囲される。
海上保安庁に何とか守ってもらい、漁をする。
日本の、この悲しい現実は何なのか。
何が日本をここまで無力にしたのか。
答えはいろいろあるはずだが…
帰りの船中、
私の脳裏には、
日本の交戦権を認めないと宣言した「憲法9条」という言葉が盛んに点滅した。」
憲法改正も、尖閣も、待ったなしです。
Pirates of the Caribbean : On Stranger Tides Soundtrack Compilation Mix
『中国公船に包囲された』
尖閣 · 2013年5月
「中国公船に包囲された」―。
「高洲丸」(4・8㌧)の高江洲正一船長(45)が緊張した声でつぶやいた。
13日午後2時ごろ、尖閣諸島南小島の東南約2㌔。
島を背に漁船から周囲を見渡すと、前にも右にも左にも中国公船の姿がある。
3隻は、操業中の高洲丸を「取り締まる」ために領海侵犯してきたのだ。
中国公船を阻止するため、海上保安庁の巡視船が高洲丸との間に割って入った。
同乗した八重山日報の記者が緊迫の尖閣海域をレポートする。
高洲丸が尖閣海域に到着したのは13日早朝。
乗船者は高江洲船長、伊良皆高信市議会議長(53)、仲間均市議(63)ら6人。
釣りと周辺海域の視察を兼ねた航海だ。
釣りは好調で、アカマチやカンパチなどが次々と水揚げされる。
正午ごろ、遠巻きに監視していた海上保安庁の巡視船から、
職員がゴムボートで近付いてきた。
「中国公船がこちらに近づいています」
仲間氏は「ここは日本の領海だ。私は逃げない」と答えた。
高洲丸の船尾には、目立つように日の丸が翻っている。
八重山の漁業者は常々
「中国公船は、尖閣海域で漁をする地元漁船を追い払うために領海侵犯する」
と指摘していた。
「やはり」という表情が乗船者の顔に浮かんだ。
誰もが「中国公船は来る」と予期していた。
その通りになったのだ。
午後1時過ぎ。
「海監66」を先頭に「海監50」「海監15」という3隻の中国海洋監視船が続々と、
われわれの視界に入った。
他国に領海侵犯しているにもかかわらず、傍若無人に航行する。
少しも悪びれる様子はない。
しかも、徐々に高洲丸との距離を詰めてくる。
高洲丸を警護している巡視船の電光掲示板に
「中国公船は接近すると大変危険です」と注意を促すテロップが流れた。
しかし、仲間氏が事前に「逃げない」と宣言していたためか、
海保から避難指示は来ない。
「おーっ、こんな近くまで」
乗船者の1人が悲鳴のような声を上げた。
「海監15」がぬっと目前に現れた。
私には数10㍍の距離に見える。
高洲丸をガードするため、巡視船が懸命に割って入ろうとする。
南小島を背にした高洲丸は、気がつくと3方向を中国公船に包囲された。
われわれは、動きが取れない。
巡視船が中国公船と高洲丸の中間で航行し、
これ以上われわれに近づけないように警戒している。
巡視船は9隻体制だ。高洲丸の乗船者には緊張が走る。
しかし船は、その場でエンジンを切ったまま、じたばた動こうとしない。
仲間さんは
「中国公船は、何でおれたちが逃げないのかと思っているんだろうな。
今逃げたら、中国公船に追い払われたことになる」と、
誰にともなくつぶやく。
中国公船は高洲丸を威嚇するように距離を詰めようとするが、
巡視船に阻止され、考えあぐねているようだ。
やがて中国公船、巡視船とも目立った動きがなくなり、膠着状態に入った。
午後5時ごろ。
「釣りをしよう。中国公船に見せてやれ」
仲間さんの指示で、高洲丸は釣りを始めた。
正面では、地元漁船をたびたび追跡したことで悪名高い「海監66」が見える。
仲間さんによると
「海監66の誰かが、釣りの様子を見てテレビカメラを回しているのが見えた」という。
やがて周囲は暗くなった。
釣りが終わる7時ごろには、
遠巻きにしていた中国公船の姿も見えなくなった。
いつの間にか去って行ったのだ。
第11管区海上保安本部によると、
中国公船3隻は午前9時ごろ、
久場島北から相次いで領海に入り、
8時46分ごろ、南小島南東から相次いで領海を退去した。
高洲丸が包囲されていたのは、6時間くらいだっただろうか。
高洲丸は翌朝まで尖閣海域にとどまり、魚釣りをしたが、
中国公船はもう姿を見せなかった。
漁獲高は2日間で約60㌔だった。
仲間さんは
「中国公船が高洲丸に突っ込んでくる機会はいくらもあったが、
魚釣りをただ見ているだけだった。
領海侵犯はパフォーマンスだ。
ここが自分たちの領海でないことを知っている」と厳しい表情を見せた。
伊良皆さんは
「中国公船の姿に恐怖を感じた。尖閣海域は、まさに無法地帯だ。
日本の領海をどう守るか、
主権国家としての法整備を真剣に考えないといけない」と強調した。
日本の領海内で八重山の漁船が、中国公船に包囲される。
海上保安庁に何とか守ってもらい、漁をする。
日本の、この悲しい現実は何なのか。
何が日本をここまで無力にしたのか。
答えはいろいろあるはずだが…
帰りの船中、
私の脳裏には、
日本の交戦権を認めないと宣言した「憲法9条」という言葉が盛んに点滅した。」
憲法改正も、尖閣も、待ったなしです。
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