ズーム部分の修理の過程で、スリップリングの一部で接触の悪いことが発覚しました。
今回は、分解することなく、ゴムラバーを外すだけで修理ができます
金色の帯が5本ありますが、一番上からA、B、C、Dと呼ぶことにします。
一番下の帯はGND(アース)です。
ズームリングの回転とともに、ブラシが接触して、それぞれの帯の金色部分で導通したり、黒色部分で絶縁されたりする仕組みです。
4bitですから、これで16通りの表現ができるはずです
ここでは、 A~Dの各極の導通状態を「0」、絶縁状態を「1」で表すことにします。
ズームリングをワイド端からテレ端まで回転させると、A~Dの値は、下表の最左欄に示すように変化していきます。
実際に、それぞれの位置にズームリングを合わせて撮影したときのexif情報を見ると、焦点距離は下表のように記録されています。
ズーム自体は、18mmから200mmまで連続的に変化しているわけですが、内部的には16段階にしか認識しないわけです(例えば、レンズには「50mm」という指標がありますが、内部的には51mmと認識されています)。
参考までに、それぞれの焦点距離に対応する開放F値を最右欄に示します(レンズスペックからは、18mmのときF3.5、200mmのときF6.3ということしか分かりませんので)。
DCBA |
16進表記 |
焦点距離 |
開放F値 |
0000 |
0 |
18 mm |
3.5 |
0001 |
1 |
21 mm |
4 |
0011 |
3 |
24 mm |
4 |
0010 |
2 |
28 mm |
4 |
0110 |
6 |
31 mm |
4.5 |
0111 |
7 |
35 mm |
4.5 |
0101 |
5 |
42 mm |
4.5 |
0100 |
4 |
51 mm |
5 |
1100 |
C |
63 mm |
5 |
1101 |
D |
78 mm |
5 |
1111 |
F |
96 mm |
5.6 |
1110 |
E |
115 mm |
5.6 |
1010 |
A |
134 mm |
5.6 |
1011 |
B |
154 mm |
6.3 |
1001 |
9 |
173 mm |
6.3 |
1000 |
8 |
200 mm |
6.3 |
16進表示の欄を見ると、0~Fが順番に並んでる訳ではないことに気付きます
普通の2進法であれば、0000、0001、0010、0011、、、1110、1111と並べるのが素直ですが、そうすると、A極の帯が、「導通」「絶縁」「導通」「絶縁」と細切れになり、部品としては、製造や品質管理の際に手間が増えたり、故障のリスクが増えることになります。
別に0~Fが順番に並ばずとも、16種類の状態を表現できればよい、と考えれば、このレンズのスリップリングのように、できるだけ帯上の「導通(金色)」や「絶縁(黒色)」の長さを長くとることが部品としての信頼性を向上させることに繋がるのだと思います。
汎用ICを使うのであれば、「素直な順番」に並べておくことが得策ですが、おそらくオリジナルのCPUを使っているので、このような選択になっているのでしょう。
さすが、技術立国日本という工夫を垣間みることができました
さて、スリップリングのブラシ部分を修整することによって、上表に示すように、きちんと焦点距離を認識できるように直りました
この先、もし、ブラシ部分が消耗したら、リン青銅板を加工して交換部品を自作しようと思います
【2014年11月28日追記】上表の配列は米国の発明でした。詳しくはこちら
レンズレストア面白い・・・
こうやって、自分で修理できると
ちょっとしたジャンクレンズにも掘り出し物が・・・
そんな気分にもなってきます(笑)
涼麻父、アイボの修理できそぅだよね。
うちにはアイボはないけど、アイボの波に乗ってハムスターのオモチャを買ったなー。
後で健康ちぇっくしてみよーっ。
純正のはどうなってるんだろ~。
70-200F2.8LⅡは、何ビットかバラして確認してみてください。
嘘ですよ
1mmごとに刻むのかな?
7bitとかならスゴイなぁ。
ちょびっとずつ回してExif確認してみようかな(笑)
ただ、今回は、機構と電気系統の修理だからねえ。
さすがに、ちょっと光学系には手は出せないかなあ
計測機器がないからねえ
みんな、どうしてるのかな。
ハムスターのロボットがいるんだ~
健康だといいんだけど
でも、モコちゃんたちに狙われちゃう?
なるほど、70-200mmの場合、7bit(=128)で表せば、ほぼ1mm単位で刻めるわけだ
もしかしたら、純正では全く違う仕組みで回転角を認識してるかも?
是非ぜひ、ちょびっとずつ回すの、やってみてほしいなあ