涼麻が行く ~白犬ウエスティの のんきな生活~

ウエストハイランドホワイトテリア(ウエス、ウエスティ、白犬)の涼麻(りょうま)のことを中心にいろいろと

グレイコード

2014年11月28日 01時06分58秒 | グレイコード

スリップリング式のロータリーエンコーダーについてググっていたら、例の配列が「グレイコード」と呼ばれる配列であるということが分かりました

 

まず、これは、涼麻父が「素直な並び」と呼んでいたBCD配列(二進化十進表現、Binary Coded Decimal)です。

 

これに対して、ズームレンズに使われていたスリップリング式のロータリーエンコーダーの配列が、グレイコードと呼ばれるものでした。

 

グレイコードの特長は、次のステップに進むときに、値の変化するビットが1つだけ(1極だけ)、という点です。

例えば、グレイコードの1番上の「0000」から次ステップの「0001」に変化するときに、A極が「0」→「1」に変化するだけです。

その次は、「0001」から「0011」ですから、B極が「0」→「1」に変化するだけです。

 

一方、BCD配列ではどうかというと、「1」から「2」に進むとき、「0001」から「0010」に変わるので、A極が「1」→「0」、B極が「0」→「1」というように2箇所で同時に値が変わります。

「7」から「8」に進むときは激しくて、「0111」から「1000」に変わるので、同時に4箇所の値が変わります。

この「同時」というのがくせ者で、機械的に「同時に」という動作は、まず起こりえないのです。

なぜかというと、スリップリング上の絶縁部(黒帯の場所)の位置は、どれほど加工精度を上げても各極で微妙にずれてしまうし、薄い金属でできたブラシは気温や経年変化で変形してしまうからです。

そのため、BCD配列で、ズームリングを回していくとき、「0001」から「0010」というようにスッキリ変化することは稀といってよく、実際には、「0001」→「0000」→「0010」あるいは「0001」→「0011」→「0010」と過渡的に変化します。これは、ズーム値でいうと、21mm→24mmと一発でスッキリ変化するのではなく、21mm→18mm→24mmあるいは21mm→28mm→24mmとなるわけです。このように、21mmと24mmの間には存在しない、全くぶっ飛んだ数字が登場してしまうことは制御上の問題となり得るわけです。

同時に2極が変化する場合でもこんな感じなのが、同時に4極が変化する場面では、滅茶苦茶な数字が3回も挟まるおそれがあります。

グレイコードの優れたところは、1つ進むときに、1ビットしか変化しないので、上述のような誤認がまったく発生しない、という点です。スリップリングの加工に多少の誤差があったとしても、前述の例でいえば21mmか24mmのどちらかを示すだけで、とんでもない数字を示すことがありません。

このジーニアスな配列は、米ベル研究所のフランク グレイ(Frank Gray)が1947年に特許出願したものです。

涼麻父は、先日のブログで「技術立国日本云々」と書いてしまいましたが、米国の発明であることが判明しました

 

涼麻父は、各極の「1」の連なりができるだけ長くなる配列のことを追い求めていました。

一昨日のブログでは、この配列では、「1→0」や「0→1」などの切り替わりが15箇所であると書いています。

このときは、15箇所でも多いと思っていたのですが、よくよく考えてみれば、15ステップ進むのですから最低でも15箇所で変化がなければならないので、15箇所というのは必要最小限の変化数だったのです。

「1」の連なりをできるだけ長くする配列は、「1→0」や「0→1」などの切り替わりの数を減らすことと同じだったと考えて良さそうで、また、切り替わりの数は15が最小値なので、そのときの配列が「1」の連なりが最も長くなる最適配列だったといえるでしょう。

 

グレイコードの特許明細書をざっと読んでみると、グレイコードの主目的は1ステップ進むときに1ビットしか変化しない、ということだけれど、副次的に、製造しやすくなるという特長もある、と記載されています。

1つめの特長は、BCD配列に比べて、各ビットの絶縁部の長さが2倍になる(例えばA極をみると、BCD配列では「1」は長さ1で途切れ途切れだけれど、グレイコードでは「1」の連なり長さが2倍の2になっている)。

2つめの特長は、最上位の桁(D極)を除いて、上下対称のパターンになっている(16進表示の「4」と「C」の間の罫線を軸として線対称になっている)。

 

涼麻父は、できるだけ絶縁部の長さを長くする(「1」の連なりを増やす)ことが、品質上の安定性に繋がると考えて、その結果、切り替わりの回数が15箇所だというところまではたどり着いていたのに、これが最小値であり、なおかつ、15回という数字が1ステップ進む際に1箇所でしか値の変化がないということを意味することにまでは思い至っていませんでした。

惜しいっ、残念

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