看一看電影

アジア映画、ワン・リーホン、チャオ・ウェイ大好き! 近頃はPerfumeとグランパス、ベースにもどっぷり。

「ウェブ時代をゆく」続き

2007-12-24 10:48:51 | 
 メリー・クリスマス!
 京都は昨日のぽかぽか陽気から一転して冷たい風が吹いています。

 「ウェブ時代をゆく」の感想続き。
(1)ネットが「巨大な強者」(国家、大資本、大組織・・・・)よりも「小さな弱者」(個人、小資本、小組織・・・・)と親和性の高い技術であること。
(2)ネットが人々の「善」なるもの、人々の小さな努力を集積する可能性を秘めた技術であること。
(3)ネットがこれまでは「ほんの一部の人たち」にのみ可能だった行為(例:表現、社会貢献)を、すべての人々に開放する技術であること。
(4)ネットが「個」の固有性(個性、志向性)を発見し増幅することにおいて極めて有効な技術であること。
(5)ネットが社会に多様な選択肢を増やす方向の技術であること。
【本書14~15ページから引用】
 著者はこのようにネットという技術のもつ性格について5つの点で大きな希望を持つとまとめ、「ITの歴史とは『個』の可能性を押し広げ『個』を開放する方向での理想を掲げた人たちの主張が、長い目で見れば、必ず実現してきた歴史なのである」と主張します。

 この点は、より大きく見れば人類の歴史の方向が、個々の人間解放へ、人類の自由と平等獲得の方向へ大きく流れていることと一致するということでしょう。
 人間の歴史は大づかみに見れば、個々人の自由がなく、または制限する上で連帯することで集団として生産を担い徐々に生産力を発展させてきた時代から、現代の連帯なく個々人がバラバラにされている時代へ、そして、将来的には個々人の自由の上に立った連帯の時代へとすすむものと思います。ネットという技術はこの『個』の解放を大きく進め、連帯をつくり出すものと位置づけることができると思います。

 私のように職業的には「小さな弱者」に属するものには、先ほどの指摘は非常に納得のできるものです。
 ただし、個人の可能性を積極的に主張する著者の思いはわかりますが、本書の235ページにある「格差社会」などの意見には私は賛同しがたいところがあります。『個』の努力が及ばないところにまさに「社会問題」としての日本社会の矛盾・貧困問題が存在するからであり、それを私は自分の職業を通じて日々痛感しています。そして貧困・格差問題は、やはり個人の努力だけで解決できず、社会の仕組みを変えることでしか解決する方法がないと思うからです。
 個々人の開放としてのネット技術を大いに生かしながら、学習と職業を考える上で非常に、ヒントに富んだ有益な本として読みました。