某ファンサイト管理人の音楽随想記

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「天架ける橋」 - 古謝美佐子

2005年11月30日 | ♪国内 -女性

「天(あま)架ける橋」 - 古謝(こじゃ)美佐子(2001年)

「消費されるだけの音楽」の対極にある、本物の唄です。

人間の声の持つ高い精神性を感じさせる、稀代の名盤です。

チャート系のメディアや、事実上プロモーション専用媒体である音楽雑誌からしか情報を得ていない人は、一生出会うことがないタイプの音楽かもしれません・・・。それはこのアルバムが、インディ/自主レーベル制作盤であり、そのため広範な流通やプロモーションが行われていないからです。

※(注)私は元々「オリコン・ウィークリー」からの愛読者で、チャート系メディアを決して否定するものではありませんよ。誤解無きよう、念のため(^^)。

でも、もしこのアルバムを聴かずして一生を終える音楽fanの方がいるのなら、私は是非言いたいです"あなたが音楽好きの方なら、騙されたと思って一度聴いてみて下さい"と。

1954年沖縄生まれ。在住。幼い頃から沖縄民謡を志し、9才でレコード録音。やがてあの「ネーネーズ」に参加。一時は坂本龍一さんのバンドでワールド・ツァーにも参加。近年、NHKの「ちゅらさん」「童神(わらびがみ)」が採り上げられた事で特に注目されました。この曲は、元ハイファイセット山本潤子さんもヤマトグチ(標準日本語)との2バージョンでシングルをリリースされています。その後、沖縄出身の夏川りみさんも同じく、いくつかのバージョンを録音しています。

このアルバムには、オリジナルや沖縄民謡やはもちろん、あのドヴォルザーク「家路」迄収録されています。旦那さんである佐原氏がプロデュースしていますが、この方がこのアルバムの完成度を決定的に高めたと言えます。つまり、単なる沖縄音楽のアルバムの域を超えて、"普遍性"というか上質な"コンテンポラリー"要素を生粋の沖縄の声と絶妙に融合しました。

このアルバムは、多少無理をしててでも手に入れていただきたいアルバムだと思います。一生物になることは間違いありません。必ず魂に何かを語りかけてくれるアルバムです。「癒し」とか言う安易なブームを遙かに超越した何かに出逢えます。

これは「沖縄」ではなく日本(と敢えて言わせて頂きますが)世界に誇れるアルバムです。誰の真似でもない、魂からのみ生まれる事が出来る「唄」だと思います。これを聴いたらしばらくはその辺の唄など、次元が違いすぎて聴けなくなってしまうでしょう・・・(?)

このアルバムはまた、誰か/何かとの「相対評価」以前の絶対的名盤だと言えます。言葉で表現することは難しいのですが、「消費されるだけの音楽」の対極にある"唄"です。純粋に魂からの創作楽曲でしょう。

流行歌(はやりうた)じゃないものを求めている人には、マストなアイテムです。絶対のお勧めです。私の生涯のベスト10枚の中の一枚です。

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1.サーサー節 (沖縄民謡)
2.橋ナークニー夢かいされ
3.天架きる橋
(母の死直後に遺影の前で詠んだ琉歌だそう。泣けます。)
4.童神 (NHK「ちゅらさん」で使用された曲。下記ご参照)
5.すーしすーさ (9才の自分の声と"共演")
6.やっちー (作詞の上原氏は、八重山の海の船の上で、満天の星の下で亡き人への想いを綴られたそう。戦争で亡くされたご兄弟の事かもしれません・・・)
7.恋ぬ初み
8.家路
(あのドヴォルザークの曲です)
9.恨む比謝橋
10.ヒンスー尾類小
11.天架きる橋 ?


♪ 「童神(わらびがみ)」♪ 作詞:古謝美佐子 作編曲」佐原一哉/現在の旦那さんであり、プロデューサー。古謝さんの初孫の誕生に向けて自ら作詞した曲です。お孫さんのかわいらしい泣き声も聴けます(^^)。

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