「HUMARHYTHM 3」/ヒューマリズム 3 - 松原正樹 (2004年)
凡そ今の日本人で、この人のギターの音色を聴いたことがない人っているのでしょうか・・・?
この人の名前や顔もご存じなくとも、70年代~80年代の歌謡曲やニューミュージックのヒット作品を聴いた人はほぼ間違いなく100%耳にしていると思います(^^)。この方が関わった楽曲はそれこそ「万」の単位になるらしいですし、松田聖子さんや松任谷由実さんを始め、本当に幅広いジャンルに参加されています。
この方は、10代でYAMAHA合歓で学ばれていた頃、あまりの才能ぶりに先生から「プロとして早く現場で腕を磨いた方が良い・・・」とまで言わせた"若き天才"だったらしいです。
これまで沢山の作品に携わったのは、もちろんそれだけ制作サイドからの"需要"があったわけですが、その"需要"の要因はもちろん単なる"テクニック"だけではないと私は思っております。何故なら、"テクニック"だけなら、いつの時代でもそれこそ沢山のプレイヤー達がいますから・・・
この人のギター・プレイにはなんと言っても「歌心」があると感じます。ギターがポピュラーソングに必要とされるの事は、カッティング/バッキング・プレイやもちろんアドリブ/ソロ・プレイ等ですが、この方は歌に沿うように、歌のためのプレイが出来る方だと思います。そして、どんなジャンルの音楽でも、それを活かすフレーズを、時間制限のあるスタジオ・ワークで提供できた人だと推察致します。
私はこの方のプレイを生で/身近で拝見する機会がありましたが、演奏中の表情がとても魅力的です。何か「ギターさえあれば他は何も要らない」みたいな感じです(笑)。その人柄の魅力からも多くのコールがあったのだと思います。
所謂「ギター・プレイヤー」には、(言葉の響きは良くないですが)「ギター馬鹿」と言われる"独りよがり"に陥ってしまうタイプの人も少なくないと思います。でもこの方はそういうタイプではなく、「理性と知性」と「エモーション」がバランスよく配置されたフレーズが演奏できる方です。
そうそう、遅くなりましたが(^^;、このアルバムですが、これはソロ名義のアルバムです。「パラシュート」というフュージョン・バンドのメンバーでもありますので、やはりその系譜の音楽ですが、でも従来のフュージョン系作品より「弾きまくった」感のある、ロック寄り?の内容です。この方は"歌物"作品でのアドリブ・プレイに抜群の才能を感じる事が多く、そういう意味では、歌謡曲でのプレイみたなものを期待する向きにはちょっと違うかもしれませんが、これで彼のプレイを堪能されるのもお勧めです(^^)。