「きりんのなみだ」-八千草薫-
朗読CD-2003年-
昨日のさださんの「山ざくらのうた」を聴いていたら、
このアルバムの事を書きたくなってしまいました(^^)
これはあの名女優の八千草薫さんが詩を朗読している朗読アルバムです。朗読されている詩は、昭和23年に創刊され46年に終刊した子供たちによる詩集『きりん』から選ばれています。(もっとも私はこの『きりん』を知りませんでしたが・・・(^^;) でもこの子供たちによる詩の数々は素朴で心温まる内容ばかりです。本当に素敵で感動的(^^)。そして、それらが、森俊之さんや古川昌義さんがアレンジされたビートルズやカーペンターズの曲をBGMにして八千草薫さんがによる朗読されています。(でも、この件は後半で・・・)
収録されている詩で感動したのは、例えば・・・
「ははの日」みねひらけい子
(小学二年:当時)津山市大崎校
おかあちゃん
もっとうれしそうなかおして
たのしく くらしましょう
わたしはいつでも
そうおもいます
二人だけでも ちっとも
さびしくありません
おとうちゃんも
空から おうえんしています
わたしはもうすぐ
おてつだいをします
カレーライスを 作ってあげると
やくそくしました
おとうちゃん
あじをみてね
「お母さん」中村貞夫
(小学三年:当時)桑名市桑名第五校
お母さん
僕 級長さんになったん
と いっただけなのに
お母さんは 泣かんた
お仏だんへ
けいとうの花を
おそない しただけなのに
お母さんは 泣かんた
「ぼくのおとうさん」瀬島義彦
(小学三年:当時)神戸市摩耶校
ぼくのおとうちゃんは
ぼくが七つの時死んだ。
川崎のガスの工場で働いていた
おとうさんは
友だちがガスの中で死によったのを
助けにいって死んでもうた。
おかあちゃんは
「よいことをしてもおとうさんのように
死んでしもたならつまらない」
いうて時どきなく。
七つのお正月に
おとうちゃんに大丸へいって
かってもらった
こくご帳をぼくはもっている
こんな感動的な言葉達が、あの八千草さんのお声で朗読されています。
・・・とここまでは良かったのですが、このアルバムちょっと問題があります。これを書くと大好きな八千草さんや音楽の森俊之さんや古川昌義さんに申しわけないような気がするのですが、これらの方々には全然責任がないと思うので敢えて書かせて頂きます。
第一に、BGMが大きすぎて八千草さんのお声が聞き取りにくい箇所が結構あります。
次に、朗読がメインなのに、声のリズムをまるで考えていないBGMのリズムで朗読を台無しにしている箇所もあります・・・
更に、BGMが有名曲過ぎて無意識にそちらへ意識が向いてしまうし、旋律の楽器が人間の声を同じ音域のものがあったりして、いったいなんのための音楽が意味不明の個所が随所に見られます。
最後に、これにはちょっと怒りさえ覚えたのですが、兄弟が家庭の事情で?離ればなれになるような悲しいお話がカーペンターズのYesterday Once Moreの音楽で♪シャラララー♪のメロディに乗せられています。いったいプロデューサーはどういうセンスをされているのでしょう?
私はこのプロデュースをされた方の感覚を疑いました。ホント。多分、言葉や声の持つ力をホント所で理解されていないのではないかと感じました・・・。それとリスナーのイマジネーションを全然信用していないんだとも。更にそれらは、例えばこのアルバムジャケットにアルファベット標記をするような、ささやかな事一つ取っても、その軽い感覚がうかがえると私は感じました。そうこのアルバム、どういう意図で表も裏も全部アルファベット標記にする必要があるのか私には理解不能です(^^;
もっともこれらはあくまで私独自の感覚ですので、もしこれを大変お気に入りの方がおられましたら、お気を悪くされた方がおられましたらお詫び致します・・・
ただ私としては、このアルバムを、BGMを外すかせめてもっと単純なリズム系を薄くのせただけのものにして、リスナーのイマジネーションをもっと大切にする内容にして再発すべきだと思います。こ
のままでは、八千草さんはもちろん、また素敵な音楽を制作された森さんや古川さん双方にとっても不幸な事だと思います。この企画自体は大変素晴らしい事ですので、一層そうして頂きたいと切に願います。ちなみに先に紹介しました詩のBGMはビートルズのYesterday。この組み合わせはまだ聴ける範囲でした(^^;
----------------------------------------------
もしこの記事を読んで頂けましたら、下記のロゴをクリックして下さいませ
皆様の応援だけが私/このブログのモチベーションです(^^)