某ファンサイト管理人の音楽随想記

ジャンル縦横無尽の音楽コンシェルジュ。知っておきたい名曲・アーティスト満載。全音楽ファンに捧げるちょい濃い目のBlog!

「きりんのなみだ」-八千草薫-

2006年03月21日 | ♪Talk CD・朗読


「きりんのなみだ」-八千草薫-
朗読CD-2003年-

昨日のさださんの「山ざくらのうた」を聴いていたら、
このアルバムの事を書きたくなってしまいました(^^)

これはあの名女優の八千草薫さんが詩を朗読している朗読アルバムです。朗読されている詩は、昭和23年に創刊され46年に終刊した子供たちによる詩集『きりん』から選ばれています。(もっとも私はこの『きりん』を知りませんでしたが・・・(^^;) でもこの子供たちによる詩の数々は素朴で心温まる内容ばかりです。本当に素敵で感動的(^^)。そして、それらが、森俊之さんや古川昌義さんがアレンジされたビートルズカーペンターズの曲をBGMにして八千草薫さんがによる朗読されています。(でも、この件は後半で・・・)

収録されている詩で感動したのは、例えば・・・

「ははの日」みねひらけい子
(小学二年:当時)津山市大崎校
おかあちゃん
もっとうれしそうなかおして
たのしく くらしましょう
わたしはいつでも
そうおもいます
二人だけでも ちっとも
さびしくありません
おとうちゃんも
空から おうえんしています
わたしはもうすぐ
おてつだいをします
カレーライスを 作ってあげると
やくそくしました
おとうちゃん
あじをみてね

「お母さん」中村貞夫
(小学三年:当時)桑名市桑名第五校
お母さん
僕 級長さんになったん
と いっただけなのに
お母さんは 泣かんた

お仏だんへ
けいとうの花を
おそない しただけなのに
お母さんは 泣かんた

「ぼくのおとうさん」瀬島義彦
(小学三年:当時)神戸市摩耶校

ぼくのおとうちゃんは
ぼくが七つの時死んだ。
川崎のガスの工場で働いていた
おとうさんは
友だちがガスの中で死によったのを
助けにいって死んでもうた。
おかあちゃんは
「よいことをしてもおとうさんのように
死んでしもたならつまらない」
いうて時どきなく。
七つのお正月に
おとうちゃんに大丸へいって
かってもらった
こくご帳をぼくはもっている

こんな感動的な言葉達が、あの八千草さんのお声で朗読されています。

・・・とここまでは良かったのですが、このアルバムちょっと問題があります。これを書くと大好きな八千草さんや音楽の森俊之さんや古川昌義さんに申しわけないような気がするのですが、これらの方々には全然責任がないと思うので敢えて書かせて頂きます。

第一に、BGMが大きすぎて八千草さんのお声が聞き取りにくい箇所が結構あります。
次に、朗読がメインなのに、声のリズムをまるで考えていないBGMのリズムで朗読を台無しにしている箇所もあります・・・
更に、BGMが有名曲過ぎて無意識にそちらへ意識が向いてしまうし、旋律の楽器が人間の声を同じ音域のものがあったりして、いったいなんのための音楽が意味不明の個所が随所に見られます。
最後に、これにはちょっと怒りさえ覚えたのですが、兄弟が家庭の事情で?離ればなれになるような悲しいお話がカーペンターズのYesterday Once Moreの音楽で♪シャラララー♪のメロディに乗せられています。いったいプロデューサーはどういうセンスをされているのでしょう?

私はこのプロデュースをされた方の感覚を疑いました。ホント。多分、言葉や声の持つ力をホント所で理解されていないのではないかと感じました・・・。それとリスナーのイマジネーションを全然信用していないんだとも。更にそれらは、例えばこのアルバムジャケットにアルファベット標記をするような、ささやかな事一つ取っても、その軽い感覚がうかがえると私は感じました。そうこのアルバム、どういう意図で表も裏も全部アルファベット標記にする必要があるのか私には理解不能です(^^;

もっともこれらはあくまで私独自の感覚ですので、もしこれを大変お気に入りの方がおられましたら、お気を悪くされた方がおられましたらお詫び致します・・・

ただ私としては、このアルバムを、BGMを外すかせめてもっと単純なリズム系を薄くのせただけのものにして、リスナーのイマジネーションをもっと大切にする内容にして再発すべきだと思います。このままでは、八千草さんはもちろん、また素敵な音楽を制作された森さんや古川さん双方にとっても不幸な事だと思います。この企画自体は大変素晴らしい事ですので、一層そうして頂きたいと切に願います。

ちなみに先に紹介しました詩のBGMはビートルズのYesterday。この組み合わせはまだ聴ける範囲でした(^^;

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"汚れっちまった悲しみに(中原中也)"他- 「愛誦したい日本の名詩」- 朗読CD-

2005年12月29日 | ♪Talk CD・朗読
 
 
「愛誦したい日本の名詩」 - 朗読CD -

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KING RECORDさんのお話が出たついでに、そこから出ていますちょっと珍しいCDをご紹介致します。正月をこんな過ごすのはどうかなぁ~という提案を込めてのご紹介です(厚いブックレット付き~もちろん詩の掲載有りで、お値段もお求め易いし(^^) )

これは「詩の朗読」CDです

加藤剛さん。壇ふみさん。小林綾子さん、松尾貴史さん・・・etcなど錚々たる方々による日本の名詩の朗読です。下記のラインアップをご覧下さい。結構スゴイでしょ。そういえば「あどけない話」って中島みゆきさんの曲にもありますが、意外とここからインスパイアされたのでしょうか・・・なぁ~んて??・・・とご紹介しておきながら、声の朗読はどうしてもイメージが固定されて、自分の持っている詩のイメージと異なるケースも多く出てきます。なので、人それぞれ、いつもの詩が自分のイメージと違う印象になることもままあるかと思います。でもこういうのも、正月を、普段の時間軸から離れて、の~んびり過ごすにはいいかも・・・?と言うことでご紹介致します。興味がある方はおためし下さいませ~。(試聴出来るサイトも結構ありますよ)※ちなみに挿入されている音楽は、あの「さとうきび畑」で有名な寺島尚彦さんです!

1.プロローグ
2.道程(高村光太郎)/ 西沢利明
3.あどけない話(高村光太郎)/ 西沢利明
4.雨ニモマケズ(手帳より)(宮澤賢治)/ 木村功
5.橋(高田敏子)/ 檀ふみ
6.わたしを束ねないで(新川和江)/ 檀ふみ
7.二十億光年の孤独(谷川俊太郎)/ 風間杜夫
8.肩(寺山修司)/ 斎藤晴彦
9.初恋(島崎藤村)/ 高橋悦史
10.千曲川旅情の歌(島崎藤村)/ 高橋悦史
11.東海の…(石川啄木)/ 山本学
12.ふるさとの…(石川啄木)/ 山本学
13.秋刀魚の歌(佐藤春夫)/ 浜畑賢吉
14.汚れっちまった悲しみに(中原中也) /渡辺美佐子
15.夢見たものは…(立原道造)/ 檀ふみ
16.わたしが一番きれいだったとき(茨木のり子) 萩尾みどり
17.落葉松(北原白秋)/ 水島弘
18.竹(萩原朔太郎)/ 風間杜夫
19.こころ(萩原朔太郎)/ 風間杜夫
20.小景異情より(室生犀星)/ 波瀬満子
21.雪(三好達治)/ 日下武史
22.春(草野心平)/ 松尾貴史
23.虫の夢(大岡信)/ 松尾貴史
24.インターミッション
25.たこ(北原宗積)/ 松尾貴史
26.ぞうきん(まどみちお)/ 室井滋
27.表札(石垣りん)/ 檀ふみ
28.世界は一冊の本(長田弘)/ 松尾貴史
29.棒論(辻征夫)/ 松尾貴史
30.君死にたまふことなかれ(与謝野晶子)/ 岸田今日子
31.日本(山村暮鳥)/ 加藤剛
32.一個の人間(武者小路実篤) 西村雅彦
33.水ヲ下サイ(原民喜) 西村雅彦
34.死にたまふ母(斎藤茂吉)/ 日下武史
35.雁(千家元麿)/ 斎藤晴彦
36.大漁(金子みすず)/ 小林綾子
37.私と小鳥と鈴と(金子みすず)/ 小林綾子
38.母をおもう(八木重吉)/ 斎藤晴彦
39.紙風船(黒田三郎) 松尾貴史
40.夕焼け(吉野弘)/ 永島敏行
41.エピローグ

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「アホでマヌケなアメリカ白人」-マイケル・ムーア 

2005年11月21日 | ♪Talk CD・朗読

「アホでマヌケなアメリカ白人」-マイケル・ムーア(2001年)
Stupid Whitemen-Michael Moore

今回ご紹介する3枚組CDアルバムは(ブログタイトルで「音楽・・・」と銘打っておきながら)、実は音楽CDではありません。ごめんなさい。でも、もしこれをご存知ない方にはもしかしたら面白い内容かもしれませんので、よろしかったらお付き合い下さい。

これはブッシュ現アメリカ大統領再選の前に盛りあった、あの"アンチ・ブッシュの急先鋒"マイケル・ムーア氏自身の朗読CDです。

マイケル・ムーアはご存知通り、現在のブッシュ大統領の政策、いや正確には彼の資質に疑問を呈して、アンチ・ブッシュ活動をされている方です。彼の著書「アホでマヌケなアメリカ白人」は日本でもベストセラーになり、また映画版はカンヌやアカデミー賞のドキュメンタリー部門で受賞し、アカデミー賞ではその時の"Shame on you,Mr.Bush!!!"等のコメントが物議をかもしだしました。またその派生で、彼を支持する発言をしたあのカントリー界の人気女性トリオのディキシー・チックスは、ブッシュ支持者達による公演ボイコット運動に巻き込まれたりもしました。

前書きが長くなりましたが、このCDはその元になった本「Stupid Whitemen」マイケル・ムーア自身による朗読CDです。ちなみ私はこの原作のペーパーバックスを持っていますのでつき合わせてみましたら内容は大体同じでした。ただ正確には、一部削除されていたりして(収録時間の都合でしょうか)100%同じではありませんが・・・。

この本は、あの世界貿易センタービルの事故時期に出版される予定でしたが、アメリカの空気が一気に保守/愛国傾向に風向きが変わったため、出版社が急遽出版中止してしまい、止む無くイギリスで発売されたという経緯があります。そしてそれが、あのAmazonサイトでベストセラーになってしまったためアメリカ国内が注目し始めて、「アメリカ逆輸入」になったという、正に近年のインータネット事情まで反映した、いろいろな話題に彩られた本でもあります。

ところで、マイケルはルーツをたどるとアイリッシュ系らしいですが、彼の育ったミシガン州カナダと近いためなのでしょうか、その発音はあまりクセのない比較的聞き取りやすいものでした。専門用語は調べないと判りませんが、それ除けば割と聞き取りが楽です。もし英語の学習をされている方で彼に興味があれば、絶対楽しく、生きた英語を学べるCDだと思います。今もし、つまらないと思いつつ与えられた英語本を読まされている方はこのようなCDがあることも頭の片隅に置いておくのも良いかもしれません(^^)

ちなみにこんな朗読CDは英語圏では割と種類が多いですが(視覚障害者向けなのでしょうか)、一方国内でも最近俳優さんによる詩の朗読や、あの与謝野晶子はじめとした作家自身による朗読など、調べると以外に出ていて結構面白いです。特にSONYのCDクラブの通販では種類があるようですので興味をお持ちの方は是非お調べになってみて下さ~い。


これはペーパーバックス版

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