その後Ariola America レコードと契約。デビュー・シングルである、この"過ぎし日の想い出/Torn BetweenTwo Lovers"を1976年にリリース。この曲はやがて、翌年初頭には総合チャートやアダルト・コンテンポラリーで1位になり、100万枚を超すヒットとなりました。加えて、ビルボード誌のカントリー・チャートでも3位となっています。その後、同名の"過ぎし日の想い出/Torn Between TwoLovers"とタイトルされたアルバムからシングル2曲がリリースされました。それらは、この曲同様Peter Yarrowの楽曲でありプロデュースでしたが、この曲のあまりの大ヒットの陰に隠れてしまい、ちょっとだけヒットチャートに顔を出す程度で終わってしまいました。
彼女は、Fred Bronson氏著の「The Billboard Book of Number One Hits」という本の中で、「自分がチャートのトップになった事を、とても後悔している」と語っています。それはまず、彼女がこの歌の主人公に共感できなかった事が大きな理由です。つまり、この主人公は不倫をしている人妻であり、なんとその夫にこの情事をそのまま認めるよう懇願する内容であったから・・・。
彼女は、その後何枚かアルバムをリリースしています。またシングルも小ヒットを記録しています。1980年には東京で開催された”世界歌謡祭”で、彼女が他の人と共作した作品「What's The Use/風に消えた恋」でグランプリと優秀歌唱賞を獲得しています。また1981年には、日本のアニメ映画「河鉄道999」に「Sayonara」と「Love Light」の2曲書き、また歌っています。80年代中頃は、彼女とJames Royce(ベース)Jim Kennedy(ギター)の編成によるMary and the Blue Jaysというトリオで、カリフォルニアのCentral Coast界隈のナイトクラブで歌っていました。その後、音楽業界から引退していたように思えましたが、1999年に元Mary MacGregor Bandのバンド仲間であったJoe GhigliaとJohn Holtと組んで、「Perfect Yellow House」と言うアルバムをリリースしています。
ちなみに彼女は、(1976年の「Steamboat」というアルバムのライナーノーツによると)このアルバムの "Rabbit Ears"という曲で1曲だけボーカルを担当しているとあります。このアルバムは、コロラド州のSteamboat SpringsにあるYampa River Recordsで録音されたものであるとの事です。
「この素晴らしき世界/What a Wonderful World 」-イズラエル(IZ) アルバム「Wonderful World」より1曲目 2007年 このアイテムの詳細を見る
地上で一番安らぎをくれる歌声
今回のIZ(通称”イズラエル” 正式名 イズラエル・カマカヴィヴォオレ)は、ハワイの国民的代表的なシンガーです。亡くなって既に13年経ちますが、彼は間違いなくハワイで一番愛されているシンガーだと思います。ハワイに行った人はその巨体(300kg超)のCDジャケットを絶対一度は見たことがあるはずです。彼は1997年に300kgを超える肥満が原因で急逝してしまったのですが、葬儀の日にはハワイの州旗が半旗になった程のハワイ民族の国民的英雄であり、ハワイ音楽のアイコンとも言える人です。そうそう、映画好きの方でしたら、きっとショーン・コネリーの映画「小説家を見つけたら (2000年)」のエンディングテーマのウクレレで歌われた「Somewhere Over the Rainbow(虹の彼方に)」とか、たしかアメリカNBCのテレビドラマ「ER緊急救命室」でのBGMなどでご存じかもしれません。
その後紆余があって彼らはバンドを続けますが、のちにIZはソロシガーとしてのキャリアを歩み始めます。その彼を世界的に有名にしたのは何と言ってもウクレレで歌われる「虹の彼方に/Over the Rainbow」(映画”オズの魔法使い”より/オリジナルはジュディ・ガーランド)でしょう。映画でも使われて以来、彼の魅力は世界的なものとなり、ビルボードチャートには「Alone in IZ World (2001年)」が未だにチャートインしているらしいです。