某ファンサイト管理人の音楽随想記

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「The Impending Death of the Virgin Spirit」

2006年02月16日 | ♪インスト・New Age


「The Impending Death of the Virgin Spirit(1970)」
from the Album「Returning」-2004年
Will Ackerman
-solo Guitar-

POP系ではない、
いわゆるインストゥルメンタル曲の中に
特別な感覚
を覚える曲があります

その感覚は言葉では上手く表現し切れないけれど、敢えて言ってみれば、"ふつうの音楽は耳から入って耳で聴く感じであるのに対して、それは直接、心・魂の隣で鳴っているような感じ・・・"かなぁ?私は特に精神世界に傾倒している訳ではなく、逆に最近過熱気味のスピリチュアル・ブームにちょっと行き過ぎ感を感じている位なのですが、でも言葉にすればやはり「スピリチュアル」な感覚というのが近いかもしれません。このアルバムの中でも特にこの曲です。

この曲
「The Impending Death of the Virgin Spirit(1970)」


このアルバムはあのWindhamHillレーベルの創始者であるWill Ackerman/ウィリアム・アッカーマンが、自分の過去の作品11曲を再演奏/再録音した、ギター・ソロアルバムです。DECCAからのリリースです。殆どがオリジナルに忠実に再現されています。ところで、今回このアルバムの自身のライナーを読んで、この曲のその「特別な感覚」の意味というか、理由がわかった気がしました・・・

「The Impending Death of the Virgin Spirit(1970)」
"My mother committed suicide when I was tweleve.This I wrote to try to capture the innocence of my childfood on the night before she died. I don't offer this to be dramatic or shocking.This is what song has always been about and only after years of therapy am I able to simply say it."

彼のお母さんは、彼が12歳の時に自死してしまったのだそうです・・・(!)(初告白との事)。そして、この曲は、その愛する母が亡くなる前の晩の、無邪気だった幼い自分を残しておきたかった曲とのことです・・・。そんな想いがあるとは全然知らないでずっと聴いてきたこの曲、その背景を聴いてとても納得しました。想いは曲に込められていたのですね・・。そしてそんな想いは、言葉を介せず音だけで伝わるものだと、今回改めて音楽の底の深さを感じた次第です(^^)。


ところで、今ではごく当たり前に店頭に並んでいるNewAge系(わかりやすく言えば「ヒーリング」系)音楽ですが、70年代まではそれまで存在しなかったタイプの音楽でしたね。WindhamHillレーベルが、初めてこのジャンルを世に広めたと言って良いと思います。この方はそのWindhamHillという新しい音楽ジャンルを確立してしまった歴史的な人物であり、且つソロ・ギタープレイヤーであり、且つピアノのGeorgeWinstonなどを世に出したプロデューサーでもあります。私は、彼は、音楽の歴史に名を刻む偉大なる方だと思っております。※彼はドイツからアメリカに渡って、スタンフォード大学に学び、1976年に建築会社と並行してこのWindhamHillレーベルを創設しました。

私はWindhamHillがこれまで果たしてきた役割は、音楽の歴史においてあのBeatles以上のインパクトがあったものと信じています。でもずっと昔から"センセーショナルな話題"ばかり追い求めてきた音楽メディアには、この"センセーショナルと対極にある"音楽ジャンルを評価できる"フェアで冷静な"マインドは期待できません。そのためか、このレーベルを真摯に評価しているのはごく限られたメディア/人ばかりです。もっとも私は、一部の良心的な所を除いて、私は現状のメジャーな音楽メディアには何も期待していないので別にそれに対しては何とも思っておりません。でもこれだけは言っておきたいなぁ・・・。

この音楽は
人々の心の中に
静かに・・・
でも、確実に存在し、
そして、広がっている・・・
と。

ps.
ちなみに、葬式の日に、お母さんのお墓に12歳の少年が植えた木は、今では随分大きく育ったそうです。でこのアルバムは、そのお母さんの木をイメージしたロゴと共に"Mary's tree"と名付けられたレーベルからリリースされています・・・

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ウィリアム・アッカーマンを聴きながら (@takeshi0206)
2013-10-14 23:41:20
曲名を検索していたらここに辿り着きました。なるほど1970年盤の無垢な感じはそんな背景があったのですね。2004年盤はより感情が込められているように聞こえます。また繰り返して聞きたくなりました。ありがとうございました。
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コメントありがとうございます! (管理人)
2013-10-16 23:02:04
@takeshi0206様、コメントありがとうございます!
私はこの方の曲にはやはり単に音を並べた音楽ではなく魂から響いてくる音を繋ぎ合わせているかのような、深いものを感じます。

表現する気持ちの根源には、きっと深い心の傷があるのでしょうね・・・。

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特別な思い (rds and reunion)
2014-01-12 14:39:20
この曲の曲名の意味を知りたくて検索していたのですが、こちらでそれを知ることができました。
ありがとうございます。
普段私はめったに書き込みをしないのですが、今回は嬉しさのあまり書き込ませて頂きました。
数あるウィルさんの素晴らしい曲の中でも、この曲には曲名を含め特別なものを感じていたものですから、ウィルさんのコメントと管理人様の解説を読んだときは思わず少しうるっときました。
これから出かけるのですが、バスの中でじっくりこの曲を聴きたいと思います。
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素敵なコメントをありがとうございます。 (管理人)
2014-01-13 14:48:28
rds and reunion様
素敵なコメントをありがとうございます。インスト曲のタイトルはアーティストによっては結構いい加減な思い付きのものも少なくないと聞きますが、反対にこの曲のように実は深い動機で演奏される曲もあるものなのですね・・・。私もこの事実を知った時、驚きとともに、やはり。。。みたいな確信もあったように思います。

この旋律の中に深い慟哭の思いが込められているのだと思います。それが伝わってくる彼の演奏、旋律には言葉を超える何かがあると思います。
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初めまして (Jesse)
2014-06-07 05:59:22
 アッカーマンはドイツ生まれで、孤児として育っていますね。で、9歳の時にアメリカに養子として渡っています。するとこの、彼が12歳の時に自殺してしまったMotherとは誰なのか? 養母でしょうか?
 あるいは……。ドイツでの「孤児」生活というのは両親を失ったことによるのではなく、少なくとも母親は存命だが、経済的な事情などから孤児院にアッカーマンは入れられていた。で、亡くなったのはドイツに残った実母?
 いずれにせよアッカーマンはギターを12歳で始めています。彼の凡百を隔絶する音楽の誕生の秘密は、こういった事情にもよるのかもしれませんね。
 以下↓参考なまでに。
http://www.sky.sannet.ne.jp/k-shimizu/WH/page024.html
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Unknown (管理人)
2014-06-10 20:03:59
Jesseさん、貴重な情報をありがとうございます!

私は彼の音楽は随分聞きましたが、あまりプロフにまでは深く知りませんでした・・・。良く音楽には心の翳が必要とか言われますが、彼の生い立ちはその音楽に反映されているように益々感じました。

どうもありがとうございました(^^)
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