映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

インビクタス クリント・イーストウッド監督

2010-02-19 19:12:59 | クリントイーストウッド
クリントイーストウッド監督の新作「インビクタス」を観てきました。
驚いたのがいわゆる日本の70年代のスポーツ根性物のようになっているということ。実話に基づきできている話であるが、あまりに話ができすぎている印象を受けた。ここしばらく続いていたイーストウッド映画の中にある無常観はない。でも年をとってこういう映画を一度つくってみたかったのであろう。前作に続いて高い一般の評価はちょっと過大評価の印象を持った。



ネルソン・マンデラことモーガンフリーマンは27年間の留置期間を経て釈放され、黒人を中心に推挙されて大統領となった。就任後多々ある国内問題の処理に追われる一方で、95年に南アフリカで行われるラグビーワールドカップの準備も気にしていた。しかし、マットデイモンがキャプテンとして率いる南アフリカのラグビー代表チームは不振にあえいでいた。
長い間のアパルトヘイト政策への反感から黒人勢力の意見がいろいろな面で通るようになったために、弱いラグビー代表チームのチーム名やジャージを変えようと議決された。それに反発したのがマンデラ大統領である。黒人たちの反発する姿は国家の統一によくないと、彼はあえて白人たちのチーム名やジャージを残す方向としたのだが。。。。

できすぎた話と思うと同時に、マンデラ大統領の人心掌握に感心した。
大統領の気持ちにこたえたラグビーチームのメンバーの振る舞いも立派である。
大人が見るというよりも、文部省推奨的映画の色彩が強い。
こういうパターンは日本人が昔大好きだった匂いである。いつもいつも足の引っ張りあいでしらけムードになった日本人にはかえって合わないのかもしれない。

以前のひ弱さを脱却して最近では「ボーン」シリーズでたくましさを増しているマット・デイモンには適役だったと思う。今回はハーバード大出身でエリートカラーの持つ表情ができる彼をかってのことだと思う。「グラントリノ」はむしろ白人ブルーカラー階級の持つ匂いをぷんぷんさせたが、今度は南アフリカの特権白人たちを前面に出して逆であった。マット・デイモンが一時代前の森田健作風のまじめな、熱いセリフを語って、青春ドラマを彷彿させるのが滑稽に見えた。

そういえばラグビーがこれほど前面に出る映画は今まで見たことない。
アメリカでマイナーだからであろう。各国のラグビーの選手たちはそれなりにらしい顔をしていた。キャスティングで映画は決まってしまうと考えるイーストウッド監督もうまくいったと思ったであろう。マンデラということだけで観ると「マンデラの名もなき看守」の方が良かった。ただ、今回は大統領になったあとの話なのでやはり配役はモーガンフリーマンでよかったのだと思う。

あとはスタンドのものすごい大観衆、ケープタウンの美しい風景とその正反対の貧民街を撮るカメラがいつもながら良かった。

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