映画とライフデザイン

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映画「リチャード・ジュエル」 クリント・イーストウッド

2020-01-22 20:01:28 | クリントイーストウッド
映画「リチャード・ジュエル」を映画館で観てきました。


クリント・イーストウッドの新作。1930年生まれで今年はいよいよ90歳だ。近年は「ハドソン川の奇跡」「運び屋」など、実際にあった話を題材に映画化している。題材の選択がナイスというだけでなく、実在の人物に合った俳優をキャスティングして、彼らのいい面を引き出す。「リチャード・ジュエル」ポール・ウォルター・ハウザーの好演もあってさすがクリント・イーストウッドがメガホンをとった甲斐があるという映画である。


アトランタ・オリンピック開催中の1996年7月27日。警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)は、ケニー・ロジャースやジャック・マックの屋外ライブに大勢の観客が集まっているセンテニアル公園のベンチの下で不審なリュックを発見する。あわてて警察に電話すると爆弾処理班が急いで現場に向かう。調べるとリュックの中には無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾が入っていた。ジュエルたち警備員は公園内から人々を退避させるにもかかわらず爆破してしまう。それでも、不審物に気づき被害を最小限に抑えたリチャードは、一躍英雄としてマスコミで報道される。


しかし、第一発見者としてのジュエルに対してFBIが注目する。それを地元新聞社アトランタジャーナル紙の記者キャシー(オリヴィア・ワイルド)が察知、わずか3日後にリチャードを容疑者であるかのように実名報道すると世間は大騒ぎ。FBIはリチャードを別件で呼び出し取り調べをして追い詰める。


母親のボビ(キャシー・ベイツ)は英雄視された息子が一転犯罪者扱いされ落胆すると同時に、ジュエルから依頼を受けた弁護士のワトソン(サム・ロックウェル)はリチャードの無実を確信して、罪を晴らすために動き出すのであるが。。。

1.リチャード・ジュエルと腕利き弁護士
下流階級ではないが、ブルーカラー並みのレベル。これまで保安官とか警備員などの職歴がある。きっと甘いものに目がないタイプなんだろう。かなりのデブである。正義感にあふれる一方で頑固者である。若干融通が利かないことがあり、これまでの職場も追い出されたことがある。

爆弾を発見したことで世間から英雄視されても、以前いた職場の上司からあいつはおかしいとFBIに連絡が入り問題視するきっかけになった。ずっと以前に、職場の備品係としてエリートのワトソンと知り合いになったことがあり、お互いに好感を持っていたことが今回の弁護依頼につながる。


怪しいと思ったFBIに証拠もなく連行されて、取り調べをうける。調書にだましだましサインさせようとするFBIの捜査官に対して、弁護士を呼び出してくれとジュエルが言いワトソンを電話で呼ぶと、ワトソンが強硬に指示していったん事情聴取が終了する。アメリカの弁護士は強い。このやりとりが日本だったらどうなんだろう?と思ってしまう。

しかし、リチャードジュエルは以前警官を装って逮捕された経歴がある。税金も2年間支払っていない。爆破事件の現場で知り合ったFBIの職員がジュエルの家によると、爆破に関するうんちくをジュエルが語る。それでも事件当日のジュエルの動きで脅迫電話をして爆破に及ぶことは不可能とワトソン弁護士はジュエルを信用してかばうのである。

2.アトランタジャーナル紙の記者キャシー・スクラッグス
どこのマスコミの記者も記事ネタには飢えている。アトランタジャーナル紙の女性の敏腕記者キャシー・スクラッグスもそうだ。彼女はFBIの捜査官と内通していた。密会した場所で第一発見者のジュエルをFBIが追っていることを聞く。翌日会社で報告、若干早いけど速報で疑惑を報道する。映画には記者とFBI捜査官の肉体関係を匂わせるような場面がある。これって本人とか会社は大丈夫なのか?と映画を見ながら感じてしまう。

映画を観たあとでネット記事を確認したら、やはり問題になっているようだ。キャシー・スクラッグス記者はすでに死亡しているという。この女性記者をオリヴィア・ワイルドは好演していると思う。ワトソン弁護士の車に忍び込んでインタビューするシーンまである。エロさをプンプンに感じさせるところがすごい。


3.キャシー・ベイツ
キャシー・ベイツと言えばスティーブン・キング原作「ミザリー」での怪演であろう。自動車事故に遭った流行作家を監禁する狂気のパフォーマンスはまさにホラー映画的である。個人的にはフライド・グリーン・トマトでのジェシカ・ダンディとのやりとりが好きだ。彼女も71歳になる。安定した演技をみせるので、出番は全く減らない。さすがである。クリント・イーストウッドもまさに彼女こそが適役と思ったのである。英雄から一転して容疑者になったジュエルとの母子関係を巧みに演じている。最後に向けて、息子を救済するためのスピーチはベテランの味と言うべきであろう。


これが最後かといつも思いながら、一作一作を積み上げるクリント・イーストウッドには頭が下がる。ご本人の登場はなかったが、映画の後味はよかった。


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