デトロイトのコミック・ブック店で働く主人公ことクリスチャン・スレイターは、映画オタクでプレスリー好きの若者だ。誕生日の夜、映画館で千葉真一のカンフー映画3本立てを観ていた彼は、いきなり派手な身なりの女性ことパトリシア・アークェットに声をかけられた。彼女は隣の座席に座って話かけてきた。映画館を出るときには意気投合した。その後、彼女は、主人公の店のボスから頼まれたコールガールであることを明かす。それでも、恋に落ちた二人は、翌日結婚した。主人公は、元ヒモであることゲイリー・オールドマンに話をつけに行くが殺されかかり、逆に相手を殺してしまった。あわてて持ち帰ったスーツケースには、大量のコカインが入っていた。コカインはイタリアン・マフィアのもので、二人は追われて逃亡するだが。。。。。
90年代映画の最高傑作とも評されるタランティーノ監督『パルプ・フィクション』の前に発表されている。一部の暴力描写は「パルプ」を上回る。ドキドキしてしまう。恋人役の女性が男の居場所を教えろとマフィアにリンチを受けるシーンのすさまじさは大げさかもしれないが、映画史上屈指の激しさだ。脇役で大物俳優デニスホッパー、ゲイリーオールドマン、クリストファーウォーケン、無名のころのブラットピットなどが出演している。世界で一番映画を見ているともいわれるタランティーノが意識的に俳優を選んでいるのでは?と感じさせるところがある。
主人公の若者がコミック・ショップに勤め、千葉真一主演の映画を観ているシーンなどは、脚本家であるクエンティン・タランティーノ自身の履歴とダブらせている。千葉真一のカンフー映画はブルースリーの「燃えよドラゴン」がとてつもない大ヒットとなった後で、東映でいくつか上映されていた記憶がある。自分は見ていないが、タランティーノが大ファンというのはあまりにも有名だ。アメリカでかなりの人気だったらしい。「キルビル」にはまさに千葉真一が出ている。「ワイルドスピード3」が日本で撮影されたときに、やくざの黒幕を千葉真一が上演していた。「サニーチバ」という響きは悪くない。
最近、デンゼルワシントンとのコンビが多いトニースコット監督も、このころは目のちかちかさせるあのうっとうしい画面ではない。何よりもタランティーノの影が強い。