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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「I like movies アイライクムービーズ」

2025-01-04 08:49:52 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アイライクムービーズ」映画好きのカナダの高校生を主人公にした青春ストーリー。監督は本作で長編デビューしたチャンドラー・レヴァック。先月のポパイの映画特集で表紙になっていた。この正月見たい映画がない。その中で目を引いたのがこの映画で選択する。うーんまいった。という感じだ。


カナダの田舎町で暮らすローレンス(アイザイア・レティネン)は映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えない彼の願いは、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学ぶこと。唯一の友達マットと毎日つるみながらも、大学で生活を一新することを夢見ている。

ローレンスは高額な学費を貯めるため、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始め、そこで、かつて女優を目指していた店長アラナなどさまざまな人と出会い、不思議な友情を育む。しかし、ローレンスは自分の将来に対する不安から、大事な人を決定的に傷つけてしまい……。(作品情報引用)


期待はずれのイマイチな映画だった。
映画好きでビデオショップでバイトをするとプロフィールはクエンティンタランティーノを想像した。いわゆる映画オタクで映画作品が固有名詞でドンドン出るかと思ったら違う。レンタルビデオショップで別のお客さんがソフトを探しているのに割り込んでオススメはとでしゃばる予告編を見て期待していたのに、結果的にはそんなオタクイメージがなかった。ビデオショップの女店長が好きな映画がジュリアロバーツ主演の「マグノリアの花」なのに見ていないと主人公が言った時点で、思わず「え!マジかい」てな感じだった。主人公のプロフィールも全く共感が持てない。なんだこいつと思いながら退屈な時間を過ごした。

結局のところ,第一志望のニューヨーク大学には入れずに奨学金がもらえる大学に行くことになった。父親が自殺して母子家庭、なので、それはそれでよかったけれども,本人は失望していた。


そんな主人公が大学に入る前に偶然ホットドックを食べに入ったカフェで店長に出会う。その時大学に入ったときこうしたほうがいいよとのアドバイスで「人の話をよく聞け」と言われる。これまでできていなかったのだ。その後大学の寮に入ったシーンで、仲間に質問を連発して実行しているところを見たときには、少しは嫌気が軽減された。

どうも幸先が良くない。年末Netflixで「イカゲーム2」を見た。面白かった。そっちの感想を書いたほうがいいと思うが、人気作品なのでネタバレになってしまうからしばらく経ってからにする。

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映画「型破りな教室」 エウヘニオ・デルベス

2024-12-21 17:17:27 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「型破りな教室」を映画館で観てきました。


映画「型破りな生活」メキシコ映画、荒れ果てた小学校に着任した熱血教師と生徒たちの物語である。原題はRadical(過激な?)で2011年に起きた実話に基づくクリストファー・ザラ監督の作品だ。アカデミー賞作品「コーダ あいのうた」で主人公の才能を見いだす音楽教師役だったエウヘニオ・デルベスが出演というのが気になる。ものすごく印象に残る演技だった。

アメリカとの国境に接するメキシコの町マタモロスの小学校は貧困地区の生徒が多く、学力テストでは全国最下位のレベルだった。パソコン室からPC本体が盗まれて閉鎖、図書室も機能していない。その6年生のクラスにフアレス先生(エウヘニオ・デルベス)が着任する。

机と椅子が積み上げられ、新しい先生が授業をはじめる。「なぜ船は浮くのか?」生徒たちに問う。「太った校長とフアレスはどっちが浮きやすいか?」フアレスは密度の概念を教え、校庭の貯水槽で校長の密度を測る。そんな授業を続けて生徒たちの信頼を集めるが、学力はあっても貧困で上の学校にも上がれない生徒もいる。


実話に基づく熱血教師による正統派教育物語だ。
1960年代までの日本では似たような題材の映画が数多くある。メキシコ国境というと数々の映画で麻薬取引や犯罪の渦というのが取り上げられてきた。舞台になるマタモロスの名前は初めて知った。地図で見ると大統領選挙でも話題になるまさしくアメリカとの国境に位置する。兄貴が愚連隊(ギャング)に所属して、自分も小学校卒業したら来いといわれているギャングの使い走りの少年もいる。育ちは誰も彼も最悪だ。全国最下位レベルの学校ではやる気のない教師が家庭事情のよくない生徒を教えて何も改善できなかった。


でもこのクラスの生徒には才能がある。初歩的物理の応用ともいえる問いかけにも呼応できる。自分が同じ小学校6年の時同じようにできたかはわからない。日本では中学3年生で習う平方根(ルート)もすでに習っているルート256といったらあっさり16と答えている。歴史の質問も中高生並みでレベルは高いんじゃないかと感じる。資質は全国最下位レベルではない。

廃品回収業の父を持つ美少女パロマが生徒の中ではメインだ。父親が業者に持ち込んだ廃品金属の価格算出をちょろまかされそうになっても、計算間違いと指摘する。1から100までの数字の合計をあっさり算出した数学史で有名なガウスの逸話と同じような流れで5050を導き出す。夢は宇宙工学の学者だ。望遠鏡まで作ってしまう。でもNASAの体験教室への参加という先生の助けも親はいい顔をしない。このままだと貧困で埋もれてしまう。


哲学に興味を持った少女もいる。ファレスが薦めるJ・S・ミルの本を探しに行っても小学校の図書館にはない。大人向けの図書館で大量に借りて熱心に読む。でも、面倒を見なければならない弟や妹も3人いて、母親のおなかに赤ちゃんもいる。貧乏人の子だくさんだ。自分が働くのであなたが赤ちゃんの面倒を見るから上の学校へはいけないと言われている。悲劇だ。中絶せざるを得ない状況についても、大人並みの考えを持っている。いちばんせつない女の子だ。


日本では貧困で進学を断念というのは1970年代に入るとあまりないのではないか?映画「キューポラのある街」で成績の良い中学生吉永小百合が名門女子高の校庭を見ながら行きたいと願望しつつ定時制の道を選ぶのが1962年だ。メキシコは50年遅れていると言ってもいいのだろうか。ゆとり教育の日本と違い小学校でルートを習うレベルなのに残念だ。

エウヘニオ・デルベス「コーダあいのうた」に引き続き好演である。
ただ、新任教師のフアレスによる型破りな授業でクラス全体の成績は飛躍的に上昇。そのうち10人は全国上位0.1%のトップクラスに食い込んだ!という宣伝文句は実際にそうだったとしても、この授業だけで全員の学力が上がったのか?は疑問である。ファレスは途中でメキシコの共通テストと思われる試験の対策勉強をさせないと拒否している。ちょっとええかっこしいだよね。気に入らないのはそこだけ。

思春期の子供たちを実に生き生きと撮っていることだけは間違いない。
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映画「ザ・バイクライダーズ」 オースティンバトラー&トムハーディ

2024-11-30 17:23:43 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ザ・バイクライダーズ」を映画館で観てきました。


映画「バイクライダーズ」は1965年から1973年にかけてシカゴを中心にしたバイク集団の物語。主役は「エルヴィス」で興奮させてくれたオースティンバトラーである。その妻役が「最後の決闘裁判」ジョディカマーで、バイク集団のリーダーがトムハーディだ。豪華メンバーだけど、映画はアメリカ土着の匂いが強くかなり泥くさい。監督は「MUD」ジェフニコルズ。バイク集団の写真を撮っていた写真家に妻キャシーが回想を語る形で展開する。

1965年、シカゴのバーでキャシー(ジョディ・カマー)は、イケメンのライダーベニー(オースティン・バトラー)と出会う。キャシーの男がいる自宅に行った後5週間で結婚を決める。ベニーはケンカ早くて無口でジョニー(トム・ハーディ)率いるライダーグループ「ヴァンダルズ」に所属する。グループのメンバーは地元の荒くれ者たちでルールなんて守れない。やがてジョニーの一味は各地に支部ができるほど急速に拡大する。一方でクラブ内の治安は悪化していく。


いかにもアメリカらしい映画
ベニーの妻・キャシーによる回想として語られる。いかにもゴールデンエイジの奥様らしい。音楽は60年代の曲を効果的に挿入して気分はウキウキする。大きな緩急があるわけではないがテンポはいい。何かにつけて取っ組みあいする感覚が現在の日本人感覚とは離れている感じがする。戦争をやる国だからなのかなと思ってしまう。他のライダーチームと大げんかした後で、一緒に酒を酌み交わすシーンもあって不思議な感じを覚える。男の世界の映画であるのは間違いない。

「ヴァンダルズ」のメンバーは、共通の紋章をつけたジャケットを身にまとい、バイクを乗り回す。日本の暴走族とは少し違う。颯爽と走る姿を見てメンバー入りを希望する男たちは多い。メンバー入りを許可するのはジョニーで入れないこともある。それでも組織が拡大するにつれて面倒な奴も入ってくる。ベトナム戦争経験者はドラッグに溺れている。後半はぐちゃぐちゃになった映像が続く。


オースティン・バトラーがかっこいい。無口で余計なことは話さない。クチより手の方が早くケンカ早い。免許がなくなっても平気で走る。絡まれてやられる場面もあるけど、リーダーのジョニー(トムハーディ)が中心となってしっかり仕返しする。仲間を思う気持ちも強く、親分たる貫禄は十分だ。ずっとタバコを吸いまくる。最終局面が近づき、それまでと違うドラマも生まれて、白バイ隊に入ろうとする男への処置などジョニーの行いに疑問に思う場面がでてくる。栄枯盛衰の流れだなと感じる。
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映画「グラディエーターⅡ」 リドリースコット&ポール・メスカル

2024-11-17 16:57:49 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「グラディエーターⅡ」を映画館で観てきました。


映画「グラディエーターⅡ」はアカデミー賞作品「グラディエーター」から24年経ちリドリースコット監督がつくった続編だ。ローマ帝国の全盛時代で今も残るコロセウムを舞台にした闘いをメインにする。予告編での迫力ある映像を観ると随分とお金がかかってそうだ。日本の低予算映画もいいのもあるけど、大画面で堪能できる作品で映画の醍醐味を味わいたい。主演のポールメスカル「アフターサン」「異人たち」で観ている。正反対に近い役柄だ。ローマ帝国時代なのに、アフリカ系のデンゼルワシントンが出演しているのも気になる。早速映画館に向かう。よかった。

いきなり海岸で戦争のシーンでスタートする。すごい迫力だ。解説はなくどっちが味方か敵か全然わからない。途中から海から攻めている軍が優位だとわかっていく。ローマ帝国の軍隊北アフリカを攻めているようだ。主人公とその妻は戦いでやられて妻は死ぬ。運良く生き延びた主人公のハンノ(ルシアス)は捕虜となる。そこからグラディエーターとしての生き様を見せる。


ハンノことルシアス(ポール・メスカル)は、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の北アフリカへの侵攻により愛する妻を殺され、自らも負傷するが捕虜として拘束される。ハンノは捕虜同士が格闘で殺し合うサバイバルゲームに巻き込まれる。

ハンノ(ルシアス)はいくつもの厳しい闘いで生き残り、謎の奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)にその強さを見込まれる。そしてローマへ連れられて行かれて、剣闘士「グラディエーター」となる。コロセウムで難敵と次々闘っていく。


見応えのある作品だ。2時間半飽きずに堪能できた。
昨年観たリドリースコット監督の映画「ナポレオン」の戦争シーンでは圧倒された。時代がさかのぼっても、火薬や弓が飛び交ういきなりの海での戦闘に目を奪われる。前作同様お金がかかっているなあと感じる。VFXも多用しているのもわかるが、大画面ではえる。加えて、主人公が次々と難敵と対決するシーンもドキドキするばかりだ。

2時間半にも及ぶ長丁場であっても、最近の日本映画に多い妙な長回しで時間稼ぎする感じではない。簡潔に5分程度でそれぞれのシーンを手際よく集約して、スピード感をもって進めていく。リドリースコット監督さすがの手腕である。

⒈ローマ帝国の皇帝
ローマ時代を語るのが好きな人っている。うんちくを聞いていると疲れるので、ウンウンうなずいて話をそらす。自分は世界史が好きでもローマ時代への関心は薄い。でも、五賢帝の1人マルクス・アウレリウス・アントニヌスなんて皇帝の名前は今でもそらで言える。この賢帝が亡くなって16年経ったという時代設定だ。その賢い皇帝の娘が今はアカシウス将軍の妻(コニーニールセン)で前作の主人公(ラッセルクロウ)と恋仲になっていたことで、今回の設定を創作する。

現存したバカな兄弟カラカラとゲタ2人で共同統治している時代だ。この映画ではこの2人の悪趣味ぶりが強調される。暴言を吐いて周囲を振り回す。この兄弟は仲が悪かったと伝えられるがこの映画ではそうでもない。宮殿でもコロセウムでも命をかけた真剣勝負の闘いを見てヘラヘラ楽しんでいる。志村けんのバカ殿みたいだ。途中までバカ帝ぶりにあきれる場面が続いたあとで、イザコザも起きていく。


⒉コロセウムの水面での闘い
予告編でコロセウムを上空から俯瞰すると、グラウンドがプールのようになっているシーンがある。なんじゃこれと思っていた。水面に船を浮かべて闘わせる。水の中にはサメが泳いでいて、飛び込むと一気に食べられてしまう。

そもそも自動車もない時代に大きなサメを生きたまま運ぶなんてことはありえない。でもそんなことマジで考えずに見応えある映像を楽しむしかない。「ナポレオン」でも凍った湖での戦いで水中カメラを使うシーンがあったが、「グラディエーターⅡ」でも同様に水中で落ちた人が暴れるシーンが目立つ。


⒊15禁の理由とサバイバルゲーム
一瞬エロチックな場面があるのかと思っていたら違う。残虐なシーンがあるからということだろう。奴隷商人のマクリヌス(デンゼルワシントン)が捕虜たち同士で殺し合いと思しき取っ組み合いをさせる。残虐だ。この世の動物と思えない猛犬のような猿(映画ではモンキー)にハンノを闘わせる。ローマに行くとコロセウムでは巨大なサイが襲ってくる。まさにサバイバルゲームである。最終ピンチを脱却するとわかっていてもドッキリだ。

主人公ルシアス(ハンノ)は架空の人物だ。単なる捕虜がアカシウス将軍の妻とつながり常人でないことが徐々にわかっていく。改めてローマ史を確認するとカラカラ帝、ゲタ帝、そしてデンゼルワシントン演じるマクリヌスも事実と異なってはいる。でも、そんなことはどうでもいい。架空のローマ史のストーリーだてを楽しむしかない。
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映画「トラップ」 ジョジョハートネット

2024-10-26 17:40:08 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「トラップ」を映画館で観てきました。


映画「トランプ」「シックスセンス」から独特の作風のM.ナイト・シャマラン監督の新作で、ジョシュ ハートネットが主演だ。ハートネットの主演作を観るのは久々な気がする。人気アーティスト役でシャマラン監督の長女サレカ・ナイト・シャマランが主演している。サレカのパフォーマンスはよかった。

溺愛する娘ライリーのために、消防士のクーパー(ジョシュ ハートネット)は世界的アーティスト、レディ・レイブン(サレカ・ナイト・シャマラン)が出演するアリーナライブのプラチナチケットを手に入れた。クーパーは会場についた後で異変に気づく。大勢の警察や警備やFBIもいる。3 万人の観客が熱狂に包まれる中、ライブが幕を開ける。クーパーは口の軽いスタッフから「指名手配中の猟奇殺人犯についてタレコミがあり、警察がライブというトラップ(罠)を仕組んだ」ことを聞き出す。という。クーパーは会場で不審な行動を見せるようになる。クーパーは秘密を隠していた。


期待外れの映画だった。
事前情報なしでの鑑賞だった。巨大ライブ会場の熱気が伝わる中で、ジョシュ ハートネットの動きがおかしい。女性を階段から突き落としたり、内部で働く人のセキュリティカードを盗んだりしていく。女性を突き落とすあたりから何か変だな?と思うようになったけど、状況を理解するのに時間がかかる。途中で凶悪犯をコンサート会場で追いつめるというのがわかるけど、なんかしっくりこない流れだ。


実は意味不明な設定が多すぎるので戸惑ってしまった。普通ようやく手に入れたコンサートチケットなのに休憩時間でもなく会場の廊下にこんなにたくさん人がたむろっているかしら?色んなグッズってコンサートの前後に買うもんだけど、ここではコンサートの途中で行列になっている。しかも、やたらにトイレ行ったり、座席を外したりするものかしら?人気歌手のセキュリティもいい加減だ。普通はありえないよなあ。

話もわかりづらい。ちょっとガッカリだ。
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映画「2度目のはなればなれ」マイケル・ケイン&グレンダ・ジャクソン

2024-10-14 18:05:43 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「2度目のはなればなれ」を映画館で観てきました。


映画「2度のはなればなれ」は大ベテランマイケルケインの引退作になる英国映画、オスカー主演女優賞を2度受賞しているグレンダジャクソンと90歳になる老夫婦役を演じる。この映画の公開前にグレンダジャクソンは亡くなっている。字幕翻訳はこれもベテラン戸田奈津子で、久々に名前を見た。もう88歳なんですね。

個人的に老人映画は敬遠しているが、Netflixでマイケルケイン主演の日本未公開作品「小説家の旅路」を観たが良かったので気になっていた。原題は「the Great Escaper 」、対岸のフランスで開催される退役軍人の会に参加するために英国ドーバーの老人施設を抜け出して船で向かう主人公の話だ。

2014年夏。イギリスの老人ホームで寄り添いながら人生最期の日々を過ごす老夫婦バーナード(マイケル・ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)のある行動が世界中の大ニュースとなった。ひとりバーナードはフランスのノルマンディへ旅立つ。彼が行方不明になったという警察のツイート(#The Great Escaper)をきっかけに、世界中で話題になったのだ。(作品情報 引用)


老人施設を脱出することで原題がつけられている。フランスで開催されるノルマンディ上陸作戦の70周年記念式典に出席するため、ひそかに老人施設をぬけ出すので職員が行方不明の捜査を依頼して大騒ぎになったのだ。「大脱走」と日本題は付けづらかったかもしれない。

大ベテランの枯れ切った掛け合いには敬服する。
色あいのセンスがいい映画だ。薄いブルーとベージュの補色に近い2色が服装やインテリアだけでなく、ドーバーや海上の船から望む海や青空の色となる。視覚的に心を落ち着かせてくれて、やさしいピアノの音色が包んでくれる。わかりやすい英語で心地よく映画を楽しめた。


2人のセリフはそれなりの量だ。俳優のキャリアを通したマイケルケインとは異なり、グレンダジャクソンは政治家になりいったん俳優を引退している。それでも、茶目っ気あふれるセリフはアフリカ系女性が演じる介護士と巧みにからまってコミカルな雰囲気をだす。一定のレベルに達すると、技量は落ちないのであろうか?


ロードムービー的な感覚でバーナード(マイケルケイン)はフランスに行ってから色んな人に出会う。つらい戦争経験の苦しみも分かち合う。行く途中で出会った英国空軍出身の老紳士にはツインだから一緒に泊まろうよと宿までお世話になる。その紳士が空軍にいた時、空から爆撃した街に弟がいて自分が殺したのではとのトラウマを持つ。ドイツ軍兵士だった老人にも会いお互い感極まる。大戦中の回想シーンでは最前線のシーンになり亡くなった戦友をしのぶ。戦争経験のある高齢の方が見たら思うところもあるだろう。若き日の2人を映すシーンはさわやかな恋愛映画のようだ。


The Great Escaperと新聞でも話題になったようだ。ドーバー海峡越えての英国へのご帰還で「You'd be so nice to come home to」とバックに曲が流れるのがいい感じだった。
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映画「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」 ホアキンフェニックス&レディガガ

2024-10-12 07:51:54 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」を映画館で観てきました。


映画「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」は前作に引き続きトッド・フィリップス監督がメガホンを持ち、ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じる。今回はレディガガがジョーカーと心を通じ合う女性として登場する。前作はホアキンフェニックスの狂気に迫る怪演もありすばらしい作品だった。あれから5年たつのでディテールを忘れていたが、自分の(ジョーカーブログ記事)を見ているうちに、地下鉄の中での緊迫した場面を思い起こした。最後まで気の抜けない映画だった。

かなり前からパート2の予告編が放映されていて、レディガガの存在が明らかになる。予告編でのジョーカーのパフォーマンスに関心が引き寄せられて、どんな話になるのか楽しみにしていた。でも、直前に賛否両論とのウワサ。週刊文春の映画評で敬愛する芝山幹郎が珍しく星2つで驚く。映画が始まりいきなりアメコミ風のアニメ画面にジョーカーが登場する。どうなっていくのかワクワクする。

5人もの殺人を犯したアーサー(ホアキンフェニックス)は刑務所の中にいた。殺人を法廷で裁くにあたり、担当弁護士は被告が多重人格障害だと主張する。犯行時にジョーカーとなり心神喪失状態で責任能力がないとして無罪を勝ちとろうとする。
模範囚だったアーサーは別棟の監獄にいるリー(レディー・ガガ)と知り合う。リーは実家に火をつけて収監されていた。リーはもともとジョーカーに好意をもっていて、アーサーも惹かれて2人は恋に陥る。


前作のように傑作だとうなることはなかった。でも、映画自体は見どころが多く最後まで飽きずに観れた。
予告編を見る限りでは前作と連続しているとは思っていなかった。5人を殺して刑務所に入り、裁判で無罪有罪になるのか瀬戸際にいるアーサー(ジョーカー)が女性と恋に陥る話がベースである。刑務所内と法廷内のシーンがほとんどだ。しかも、ミュージカル仕立てになってアーサーとリーが歌うシーンが多い。いずれも名曲ばかりで自分が知っている曲も多い。心に沁みる曲もある。リアルと妄想が入り混じるシーンも多い。


題名の「フォリ・ア・ドゥ」とはフランス語で「二人狂い」とのこと。もう1人でなくなったジョーカーはスティービーワンダー「for once in my life」をウキウキしながら歌い、リーと知り合った喜びを見せる。好きなシーンだ。ホアキンフェニックスの歌がここまで聴けるとは思わなかった。

でも、リー(レデイガガ)はやっぱり普通じゃない。ミュージカル映画を観るのに飽きて思わず放火癖が出てしまうのだ。火事になった刑務所から2人で脱出を図ろうとする。できるわけがない。犯行当時の心神喪失で無罪を勝ちとろうとする女性弁護士は精神科の医師の診断なども使い、犯行時に別人格のジョーカーだったことを訴えるのだ。街ではジョーカーの狂信的信者がいて応援する一方で、死刑が当たり前だとする人も多い。ところが、自分に対する侮辱と感じる発言で女性弁護士を解雇して、自ら1人で検察と対決するようになる。


2人が交わった結果愛の結晶が密かに育つことがわかって歌うカーペンターズの名曲「Close to you」も実に良かった。パリオリンピックにも登場したレディガガもさすがの存在感で良い曲は多い。予告編での期待度が大きく下がったわけでなく見どころはたくさんある。しかも、映像のレベルは高い。もっと刑務所以外の下界でのシーンが多いと良かったのでは?

でも、本来のジョーカーの世界とイメージが違うと感じる人が多いことで賛否両論となるのかもしれない。ウェイン家の匂いはない。最後は「え!そうなるの?」という感じで終わってしまう。色んな解釈がされているけど、ジャックニコルソンやヒースレジャーの名作のいくつかが存在しないようになると問題だ。
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映画「ヒットマン」 グレンパウエル&リチャードリンクレイター

2024-09-13 21:08:23 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ヒットマン」を映画館で観てきました。


映画「ヒットマン」は名匠リチャードリンクレイター監督の新作で、「恋するプリテンダー」「ツイスターズ」と主演作が続くグレンパウエルが「ヒットマン」を演じる。ヒットマンとは日本流では殺し屋だ。警察のおとり調査でグレンパウエルは殺し屋のふりをして殺しの依頼人を罠にはめて逮捕に導く。

自分と同世代のリチャードクリエンター監督「スクールズオブロック」「6歳のボクが、大人になるまで。」が最も有名だが、自分のベスト100に3作もある。正直言って作品全部が好きなわけではない。イマイチで次回に期待だなと思ってしまうこともある。俳優ストも明けようやくアメリカ映画らしいラインナップが揃った中で新作を楽しみにしていた。


ニューオーリンズで2匹の猫と静かに暮らすゲイリー・ジョンソン(グレン・パウエル)は、大学で心理学と哲学を教える傍ら、地元警察に技術スタッフとして協力していた。おとり捜査の警官が職務停止となり、ゲイリーが急遽代わりを務める。依頼者と面談して、具体的な殺害依頼を口頭で受けた時、やり取りを聞いていて待機していた警察が逮捕するパターンだ。ゲイリーは相手に合わせて変装をして接触する。意外な才能を発揮し相手を信用させて次々と依頼者を逮捕へ導く。

夫殺しを依頼してきた女性・マディソン(アドリア・アルホナ)は魅力的な女性であった。殺し屋ロンに扮して彼女に接触して事情を聞くうちに、逮捕するはずの相手に対し「この金で家を出て新しい人生を手に入れろ」と見逃す。その後意気投合した2人は会うようになる。マディソンはゲイリーを殺し屋と信じて付き合うのだ。


これは抜群におもしろい!
リチャード・リンクレイター監督らしくユーモアをたっぷり混ぜながら、ビリーワイルダー「深夜の告白」を連想する夫殺しを目論む美女を映画に放つ。フィルムノワールの要素も持たせるのもいい感じだ。セクシーな美女を登場させて往年のブライアン・デ・パルマ作品のようなエロチックサスペンスのムードも少しだす。

事前情報は少なく観た。最初は怖い男がぐだぐだ話すのを観ている時は何が何だか分からず、一体どうなるんだろうと思った。男たちの正体とストーリーの主旨がわかってからは頭にすんなり入っていける展開だ。主演作が続き絶好調のグレンパウエルがニセの殺し屋になりきって、「琴姫七変化」のようにいくつもの雰囲気を変えて登場する。Netflix「地面師たち」を観て身近に殺し屋っているんだなと感じたばかりで、世の中には裏社会でなくても殺し屋に頼む人って実際にいるんだなと感じる。


⒈巧みなストーリー展開と女への深入り
この映画ではリチャード・リンクレイターと並んでグレンパウエルも脚本にクレジットがある。映画の脚本を書くのに実際の事件報告書をじっくりと読んだらしい。わかったことも多いだろう。映画の中盤にかけていくつもの短い具体例をピックアップする。殺しの依頼主との数多くの出会いの後で美人の人妻マディソン(アドリア・アルホナ)と出会う。夫にムカついている。ゲイリーはバツイチの独身だ。いつもは情を移さないゲイリーが自分のおとり捜査に捕まったらかわいそうだと感じて、逃してしまうのだ。

ここでドラマがラブストーリーの要素も加えて一転する殺し屋「ロン」のまま付き合ってしまうのだ。大学講師としての普段の姿は無精髭を生やして、いつものグレンパウエルのようなお調子者で軟派なムードはない。離婚しようとしているマディソンとのメイクラブから面白くなっていく。もちろん警察には付き合っているとは言っていない。マディソンにも殺し屋の立場のままだ。自宅も教えない。色んな人たちにウソをつきながら交わしていく。ウソつきなのにあまりイヤな感じがしない。

外で2人がデートしている時にマディソンの夫とバッタリ出会ったりおもしろい遭遇をいくつか作って巧みにストーリーを組み立てる。ネタバレなので言わないが、こう展開するのかと仕上げに感心する。


⒉悪女映画
映画の歴史上色んな悪女を生んできた。夫殺しの題材ではビリーワイルダー監督の「深夜の告白」(原題 倍額保険)が保険金殺人を扱って映画界に影響を与えた。1944年のフィルムノワールの代表作だ。主演の人妻を演じるバーバラ・スタンウィックは同じ悪女でも「危険な情事」グレンクローズ「蜘蛛女」レナオリンとは違って正統派美女である。もちろん、「ヒットマン」はそのテイストを少しだけ入れたに過ぎないが、「夫殺し」、「保険金殺人」のキーワードでは共通する。

フィルムノワールでこういう危険な依頼をする女をファムファタールと呼ぶ。ラテンのテイストもあるアドリア・アルホナは初めて見るが、セクシーさとエロのフェロモンがムンムンするいい女で適役だ。


⒊リチャードリンクレイターとグレンパウエル
お金のかかったアメリカ映画らしい作品が増えてきたのはうれしい。でもこのリチャードリンクレイター作品はお金がかかっているというより、中ぐらいの予算で楽しい映画に作り上げるような工夫がなされている。ラブコメの要素もあり、サスペンスやフィルムノワールの要素もひっくるめた何でもありのムードがいい感じだ。終盤に向けてどう結末をもっていくのかドキドキしながら見ていた。「深夜の告白」時代ではなかった結末だろう。脚本を2人で楽しんでいる。

この2人は「エブリバディ・ウォンツ・サム」で組んでいる。80年代のミュージックで満ちあふれたこの映画が好きだ。当時は無名だったグレンパウエルも今や大スターになっている。今回はプロデューサーや脚本のクレジットにも名を連ねている。主演作が3作続いたけど今後にも期待する。
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映画「ドッグマン」リュックベッソン&ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

2024-09-08 18:00:59 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ドッグマン」は2024年公開のフランスの巨匠リュックベッソン監督作品だ。大好きなリュックベッソン監督作品なのに公開時に行けなかった。ポスターの女装の雰囲気に違和感を感じたからかもしれない。それでもAmazonプライムのラインナップに入ってきて思わず気になる。

以前2019年に同名の「ドッグマン」があり、マルチェロ・フォンテがカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞する名演技だった。2019年度で個人的に上位に推す映画で、いじめられっ子の復讐というストーリーでスカッとした後味を残した。ストーリーはまったく違うが、主人公が虐待を受けた経験があることは共通する。


ある夜、警察に止められた一台のトラックに負傷した女装の男と荷台に十数匹の犬がいた。精神科医のデッカー(ジョージョー・T・ギッブス)は、女装の被疑者ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)と拘置所で面談する。通称「ドッグマン」に対してデッカーは現状のダグラスを知るために生い立ちを聞き出す。


少年時代のダグラスは闘犬を生業にしている強いDVの父親に逆らい犬小屋にしばらく監禁される。そして母親は逃げていく。父が放った銃弾で倒れている時に犬に助けられ警察に保護される。しかし、脊椎を痛め歩行不能になってしまう。養護施設に預けられた時に世話をしてくれる俳優希望の女性に憧れるが、離れ離れになる。そして、再度犬と暮らすようになる。

リュックベッソン監督が投げる鋭い変化球。
一緒に暮らす犬と心を通じ合いながら犬に助けられて生きていくドッグマンの人生をたどっていく。現実離れしている犬たちの活躍があっても不自然に感じない。ダメ元で見たのに気がつくと一気に最後まで観てしまう。さすがリュックベッソンだけに波瀾万丈の人生の中に見どころをいくつもつくる。犬たちの名演技に感心する。

⒈リュックベッソンのスピード感
緊張感あふれる「レオン」を経て、「トランスポーター」「TAXI」などのスピード感あふれるアクションを90分で簡潔にまとめていく作風が好きだった。今回はそのぶっ飛ばしていくようなスピード感はない。でも、自らが足の悪いドッグマンの代わりに、意思の通じる犬に悪さをさせたり、ドッグマンを痛めつけようとする悪党に対して犬がやっつけるところにスカッと楽しめる部分を感じる。


⒉少年期の虐待と異常な家族
ドッグマンことダグラスの父親は闘犬を仕事にしているのに犬が好きでない。兄も父親の加勢をしていてまともではない。母親はダグラス寄りでも、時おり父親から強い暴力を受ける。最低なオヤジだ。犬をかばったダグラスを犬がたくさんいる犬小屋に閉じ込めてしまう。犬たちはダグラスになつくが、汚い服を着さされたままだ。母親もかばいきれずに逃げ出す。また、犬のことで父親に逆らうと銃でダグラスの指を撃つ

結局、撃たれてとれたダグラスの指の入った袋を犬がパトカーまで運ぶ。驚いた警官を犬が誘導してダグラスの家まで行き、父と兄は逮捕されてようやく保護されるのだ。こんな感じで犬が窮地を救う場面がいくつもでる。犬に人間同様の知恵を与える。

⒊犬の名演技
出演している犬を巧みに飼育する人がいるのであろう。まるで人間の心がわかるように犬が動くシーンが多い。それぞれのショットで犬を誘導しているのであろうが、これは容易ではない。カメラも絶好の瞬間をとらえる。常にダグラスは犬に助けられている。犬に悪さもさせる。ギャングも怖くない。

金持ちの豪邸の居室にある貴金属が次から次に強盗にあう。監視カメラには人が映っていない。保険会社に盗難の届出があって一体どうしたのだろうと調べると、それぞれの防犯カメラに犬が短時間映っている。保険会社がその飼い主ダグラスを追うが、犬に返り討ちに遭う。なんて話が続いていく。ギャングの親分のチ◯コを噛むシーンに笑う。発想がおもしろい。


⒋女装になっての変貌
最初に出てきた時に女装だ。男色系のゲイの話かと勘違いしてしまうが違う。少年時代から犬好きでも、むしろ女性にあこがれるくらいだ。仕事がなくなった時に、職探しでようやく見つけた男装女性のショーをやるクラブになんとか入れてくれと頼み断られる。見るにみかねたオカマの女性たちに助けられてようやく入店。


そこでエディットピアフを真似したシャンソンを堂々と披露して喝采をうけるシーンは中盤すぎの見どころだ。思わずうなる。それでオカマクラブのレギュラーになるのだ。さすがリュックベッソンだけに英語主体の作品でもフランス流の見どころも残す。

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演と犬たちの名演技が光る。
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映画「フォールガイ」 ライアン・ゴズリング&エミリーブラント

2024-08-17 20:22:34 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「フォールガイ」を映画館で観てきました。


映画「フォールガイ」はアクション映画が得意なデイヴィッドリーチ監督がライアン・ゴズリングをスタントマンにして送り出す新作だ。「フォールガイ」を映画では身代わりと訳していた。監督は元スタントマンなので当人の気持ちはよくわかる。映画監督役でエミリー・ブラントを起用して、アクション中心の映画に軽いラブストーリーを織り交ぜる。いかにもアメリカ映画らしい雰囲気がして観てみたくなる。

腕利きスタントマンのコルト(ライアン・ゴズリング)はアクションスターのトム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)の代役としての撮影中に高所から落下して大けがをしてしまう。1年半以上休んでいてメキシカンレストランでバイトをしてスタントとは遠ざかっている。

そんなコルトに映画プロデューサーのゲイル(ハンナワデンカム)から新作映画のスタントを受けて欲しいと声がかかる。恋人同士だったジョディ(エミリーブラント)の初監督作品ということで受ける。ロケ地のオーストラリアに行き久々にアクションシーンの撮影に加わる。そこでは主役のトムが姿を消していて、探すように依頼を受ける。


これは最高!アメリカ映画らしい痛快なアクションが楽しめる。
いきなりKISSの「ラヴィン・ユー・ベイビー」が流れてきて心がウキウキする。「トップガンマーヴェリック」でイントロの「デンジャーゾーン」を聴いた時と同じ胸騒ぎだ。スタントマンによる難易度の高い代役アクションシーンが次から次へと映りワクワクする。大部分のアクションは本人が演じているわけでないけど、ライアン・ゴズリング「千両役者!」と声をかけたくなる気分だ。エミリーブラントも暴漢に立ち向かって強さを見せる。

正直言って、ストーリーが凝っているわけでもない。若干の緩急はつけながらも、アクションのレベルが高いままに最終局面まで進む。アクションシーンを観て感じる肌感覚が快適だ。映画に携わっている映画人の会話なので名作と言われる旧作の固有名詞が次々と会話に混じるのもいい。まさに娯楽の境地で、俳優ストで新作ハリウッド映画の製作が減ったあとでこういうアメリカ映画が観たかった

⒈スタントによるアクションシーン
ジョディがメガホンを持つ映画はSFラブストーリーだ。いきなりの海岸でのカーチェイスにコルトがスタントをする。コルトは当然自分が来るのをジョディがわかっていると思ったけど伝わっていない。いきなりクルマがド派手に数回転するシーンやコルトが火あぶりになるシーンが続く。難易度が高い。それをコルトがこなしたところでジョディがコルトの存在がわかる。


その後も、シドニー海岸のペントハウスでの日本刀を持った女との格闘シーンや吹抜けの転落シーン火あぶりの船のチェイス、空飛ぶクルマはちゃんと着地するのかヒヤヒヤするし、ヘリコプターにぶら下がったりするシーンなど盛りだくさんだ。手を変え品を変えているので、アクションシーンが多すぎで消化不良になることもない。


⒉KISSとフィルコリンズ
KISSの「I was made for loving you」でウキウキするのも、自分が大学生時代の曲でディスコでもかかるような曲だったからだ。サラリーマン生活に入った後も、2次会でみんなはしゃいで大騒ぎの時に盛り上がる曲だった。アレンジを変え何度も流れる。ロック中心の選曲はこの映画のリズムによくあっている。テイラースウィフトの曲にライアン・ゴズリングが涙するシーンもある。

その後でエミリーブラントのカラオケシーンが映る。選曲はなんとフィルコリンズの「against all odds(Take A Look At Me Now)」だ。自分が大好きな映画「カリブの熱い夜」の主題歌で全米ヒットチャートNo.1だ。映画ではエンディングロールで流れる。エミリーブラントの歌は決してうまいとは言えないが、思わず感動。並行してライアン・ゴズリングの強烈なカーチェイスシーンが流れるので印象的だ。


⒊シドニーロケとカメラワーク
空からの俯瞰映像もあり途中でシドニーロケだと気づくが、オペラハウスを遠くから望むシーンはあっても間近で映すシーンは少ない。シドニー湾やハーバーブリッジでもアクションが繰り広げられる。合成映像もあるだろうけど、自国映画でなくここまでシドニーの街並みを観ることはない。

この映画ではカメラワークが序盤から冴えている。カネがかかっているアクションを大画面で観ると迫力がある。監督として拡声器で演技指導するエミリーブラントを周囲から回転させながら捉えるショットがいい感じだ。画面分割を巧みに利用してライアン・ゴズリングとエミリーブラントを対比して映すシーンもよく見える。


ライアン・ゴズリングが危うく殺人犯になってしまうシーンがある。実際の防犯カメラの映像を顔をすり替えるのだ。こんなことあるとヤバイなと感じた。結局陰謀だった。もっともその陰謀があるおかげで次から次へ楽しめたのだ。よかった。

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映画「フェラーリ」アダム・ドライバー&ペネロペ・クルス&マイケル・マン

2024-07-07 07:25:18 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「フェラーリ」を映画館で観てきました。


映画「フェラーリ」マイケルマン監督、アダムドライバー主演でフェラーリの創業者エンツォ・フェラーリ1957年の動静に絞って描いた作品である。個人的にはマイケルマン監督もアダムドライバーも相性がよく、しかもペネロペクルスが出演することで楽しみにしていた作品である。2020年初頭の傑作「フォードvsフェラーリ」ではフォードの目線でライバル関係を描いていて、エンツォフェラーリ謎めいた気難しい存在だった。

1960年代に入ると、フェラーリが連戦連勝でフォードが挑戦する立場となる。その前の1957年はむしろエンツォフェラーリにとっては公私ともども試練の年であった。フェラーリ社の長い歴史の中でも重要な年に絞って、創業者フェラーリの動きを追っていく。

1947年にエンツォフェラーリ(アダムドライバー)は妻ラウラ(ペネロペ・クルス)との共同出資でフェラーリ社を設立した。前年1956年に難病の息子ディーノを24歳で亡くし、会社の金庫番である妻ラウラとの仲は冷えきっている。フェラーリには大戦中に知り合った愛人リナ(シャイリーン・ウッドリー)がいて、2人には息子ピエロがいた。ピエロがフェラーリ姓を名乗れるかの問題があった。


仕事上では資金ショートの局面に陥り、アメリカのフォード社からの出資話や同じイタリアのフィアットがそれに対抗してカネを出す話もある。カネの動きから愛人と息子の存在を知ったラウラとの関係が最悪となる時に、エンツォはイタリアを縦断するロードレース「ミッレミリア」に参戦する。エンツォは自薦他薦のレーサーから5人を選んでレースに臨む。


エンツォフェラーリの実像に迫るマイケルマンによる快作だ。
感動するといった映画ではない。エンツォフェラーリの暗部に着目する内容で、倦怠期の妻との関係、隠し子の存在、レースに対する冷徹な態度、予期せぬ事故など決して明るい映画とは言えない。

それでも、毎回ゴージャスな姿を見せるペネロペクルスが髪を振り乱して嫉妬するいつもと違う一面、テストコースでの走りをスピード感をもってとらえるカメラ、イタリア観光案内のように歴史ある街並みをひたすら走るレースの迫力など見どころは満載なので飽きさせない。さすがに男性客がいつもより目立ったが、女性が観ても楽しめる作品と感じる。


恥ずかしながら「ミッレミリア」のレースの存在は初めて知った。夜に出発して、なんと1600キロも一般道を走り抜くのだ。当然、1957年であれば現在よりは道は整備されていないであろう。そんな中で全速力で走り抜く。夜の描写が得意中の得意のマイケルマンが映すイタリアのレースの場面がすばらしく、レースの全容を俯瞰したカメラとレーサーに接近したカメラを使い分けて躍動感をだす。レーサーの人間模様にも迫る。

歴史ある建物がそのまま残っているイタリアの市内で、観客のエキストラが大挙して応援している中、レーシングカーを細い道で走らせる。この閉塞感も大画面で見ると迫力がある。こういうシーンも日本映画では無理だなあ。お見事である。


最近多い3時間近い放映時間にまとめてエンツォフェラーリの人生をもう少し長く捉えるようにすると中途半端になったかもしれない。当然、エンツォフェラーリを演じたアダムドライバー「パターソン」などのいかにもアメリカ人ぽい風貌でなくイタリアの大物ぽい雰囲気になりきる。レーサーの起用にはきびしく、「ブレーキを忘れろ」なと手厳しいエンツォの実像がよくわかる。役者としての大きな成長を感じる。


マイケルマン監督作品では個人的にはトムクルーズ「コラテラル」がいちばん好きだ。「パブリックエネミーズ」も自分のベスト100に入る。今回もレースシーンを丹念に描いて、家庭内の複雑な関係も巧みに映す。おおらかな顔を見せないペネロペクルスの使い方も上手い。さすがである。
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映画「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ」 アレクサンダーペイン&ポールジアマッティ

2024-06-21 22:02:51 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ホールドオーバーズ」を映画館で観てきました。


映画「ホールドオーバーズ」「サイドウェイ」監督アレクサンダー・ペインと主演のポール・ジアマッティが再度コンビを組んだ新作である。黒人女優のダヴァイン・ジョイ・ランドルフがアカデミー賞助演女優賞を受賞している。「サイドウェイ」はカリフォルニアの郊外のワイン畑をまわるロードムービーの傑作でこの映画をきっかけにポール・ジアマッティの作品を観るようになる。3人が一緒になるポスターが目につくが、先入観なしに映画館に向かう。

1970年冬、ボストン近郊にある全寮制のバートン校で古代史の教師ハナム(ポール・ジアマッティ)は融通が効かない教師で、斜視で堅物と生徒からも嫌われていた。クリスマス休暇で生徒と教師のほぼ大半が家族と過ごすなか、ハナムは校長から学校に残るようにいわれる。あとは勉強はできるが家族関係が複雑なアンガス・タリー(ドミニク・セッサ)と息子をベトナムの戦場で亡くした料理責任者メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)が学校に残ることになった。3人で迎えるクリスマスにアンガスからある提案があった。

気の利いたアメリカ人情劇で自分が好きなタイプのアメリカ映画だ。
脚本の巧みなリードで当初感じた嫌悪感から自分のハートを徐々に情感処理していく。「気の利いたウソ」が映画の主題といった印象をもつ。何せポールジアマッティがいい。

雪景色の学校やボストンの街などのバックに映る背景がすてきだ。ボストンは時代を感じさせる街なので、1970年の設定でも何とかなっちゃう。レストラン、屋外スケート場、博物館、古本市、ボーリング場などを通じてアメリカらしさが伝わる、寮生の部屋に貼っているポスターやペナントで時代を感じさせて、「ノックは3回」や「ヴィーナス」などの全米ヒットチャート1位になったポップスのヒット曲で1970年当時の空気が伝わる。


⒈ポールジアマッティ
ポールジアマッティは名門イェール大学出のインテリで、父親はイェール大学の学長もつとめた血統だ。学校の教師役はお手のもの。でも、ダメ男を演じることが多い。「アメリカンスプレンダー」のオタク男や「win win」の仕事のない弁護士などそうだ。「ラブ&マーシー」でのブライアンウィルソンの主治医のような悪役もある。ともかく役柄は幅広い。


アレクサンダーペインがアカデミー賞脚色賞を受賞した「サイドウェイ」では小説家志望の国語教師だった。女に尻込みするパッとしない奴なのにワインのうんちくを語らせると突如能弁になる主人公である。ここでも世界史の序盤戦ギリシャローマ史は専門でくわしい。ある意味似ている。でも、今回は前回と違ってイヤな奴だ。上位大学に進学が決まった生徒にも平気で悪い点をつける。落第寸前の生徒にクリスマス休暇での勉強を前提とした追試を設定する。われわれがよく知っているイヤな教師だ。

結局、クリスマス休暇に最終的に3人残るわけだが、その辺りから様相が変わってくる。3人の距離が縮まる。そしておもしろくなっていく。本当は学校に残っていなければならないのに「社会科見学」とこじつけて3人でボストンに向かう。そこでハナム先生も二度と会うはずのなかったハーバード大学時代の同級生と偶然出会うのだ。そこに居合わせた生徒のアンガスに意外な事実がわかってしまう「気の利いたウソ」がポイントになるようにストーリーの展開が変わっていく。

⒉ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
自分が好きなエディマーフィ主演のNetflix映画「ルディレイムーア」で主人公の妻役の歌手だったのを思い出した。1970年といえば、1968年のキング牧師暗殺はそんなに昔のことでないし、その年にはメキシコオリンピックで黒人選手が表彰台で抗議した。大学の賄いを受けもつ黒人のメアリーの存在も微妙だ。生徒によっては露骨に差別する奴もいる。そんな複雑な立場だ。

ベトナム戦争で息子を亡くしている。若者にとっては暗い時代だ。そんな時代に息子を亡くした母親の立場は、アメリカ人で胸にしみる人も多いだろう。もちろん表情豊かで個性的な演技は評価すべきだと思うが、アカデミー賞でも同情票も集まっただろう。


⒊人情モノ的要素
実はクリスマス休暇に学校にやむなく残った3人それぞれにドラマがあった。最初は寮の中で好き勝手に振る舞う生徒たちがなんかイヤだなと思っていたら徐々に人情モノ的な要素が出て来る。1人残った生徒も再婚した母が新しい夫と旅行にいくので休暇といっても帰れない。そこで実の父親との交情も含めた話になっていく。ひと時代前の日本映画に多い展開だ。

そういうドラマが展開する中で堅物のハナム教師も変わっていく姿がいい。ネタバレできないが、ラストに向けては、うーんという同情心とほろ苦い感触をもつ。でも、映画の後味は悪くない。

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映画「ブラックベリー」 

2024-06-16 17:09:14 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ブラックベリー」(日本未公開)をNetflixで見ました。


映画「ブラックベリー」は2023年のカナダ映画、日本未公開である。新しくNetflixのラインナップに入ってきた。知らない映画だなぁと思ったが、スマートフォンの創成期が取り上げられ興味深く感じた。ブラックベリーの携帯電話についての知識はない。監督は自ら出演しているマットジョンソンである。

日本映画でも洋画でも, IT技術者に関わる映画は、自分とは比較的相性が良い。昨年公開の東出昌大主演の「winny」も好きな映画だった。近くのTSUTAYAが閉店以来日本未公開のDVDを見る機会がすっかりなくなった。残念である。未公開作品には意外に掘り出し物ってある。今回も興味半分で観てみると、これがおもしろい!

通話機能だけだった携帯電話にメールとメッセージの機能を加えたコンパクトサイズの携帯端末を開発した男たちの物語である。

1996年、カナダのオンタリオ州ウォータルー「リサーチ・イン・モーション(RIM)」マイク・ラザリディスとダグラス・フレギンは、「SSサザーランド・シュルツ」のジム・バルシリー副社長の元へ「ピンクリンク」という名の携帯電話にメール機能を加えた機器のプレゼンを行う。他のことで気をとらわれていたジムはその場で却下する。ところが、ジムが突如RIMの事務所にやってくる。

まさに掘り出し物の映画だ。実におもしろい!
こういうときこそNetflixに感謝する。

最初の出だしだけ一瞬よくわからないまま進むが、オタクのRIMの2人とハーバード出の上昇志向の強い男が出会う場面からリズムが良くなる。高揚する場面とクレームであたふたする場面を巧みにバランスよく配置する。出演者の名前は誰も知らないし、日本未公開はやむを得ない。主要な役柄のキャラクターはかなり個性的である。オタク集団らしさもよく伝わり、それぞれの個性を浮き彫りにする演出もいい。


⒈ルーズなオタク集団
通信機能にメール機能がついた機器を売り込んだ相手先のジム副社長が、オレに売らせろと自分に50%の株を売って経営者にさせろと乗り込んでくる。会って間もない奴に任せられるかというのは当然だろう。RIMのオタク集団はモデムを有力会社に売り込んでいるが、完成まで代金回収ができないことも判明する。RIMのトップのマイクとダグラスは、会社のヤバい資金繰りを踏まえてジムの受け入れを決意してジムも共同経営者になるのだ。

⒉プレゼンの成功
ジムは経営状態が厳しいのを承知で,個人資産も注ぎ込む。早速営業にかかる。でも試作品がない。これまでのツテで売り込み先はあっても、ツールがない。クライアントはそれではわからない。マイクに試作品を作るように迫る

でも,そんなに簡単には作れない。ジムからの強い要求にマイクとメンバーは慌てて電気部材を買いに行き、ベル・アトランティック(ベライゾン)へのプレゼン当日までに徹夜でメンバーが試作品を作り上げる。それを持ってマイクとジムがニューヨークのクライアントに乗り込むのだ。ところがマイクはうっかりタクシーの中に試作品を置き忘れてしまう。2人は呆然とする。

クライアントが待つプレゼン会場は手ぶらのジムが入るだけだ。相手はジムの口だけの説明では納得しない。そこにようやく,マイクが入ってくる。
プレゼンの相手の専門的質問にも全て納得ずくめに返答し、試作品も起動する。オタク社長の熱いプレゼンの成功である。この後ブラックベリーは一気に売れていく。

いざとなったらオタクの強みが何より必要なのがよくわかる場面だ。


⒊好条件での人材探し
ブラックベリーは軌道に乗る。しかし契約数も劇的に伸び、回線数は限界まで達してきた。そこでメール使用不能の不都合が起きる。回線数オーバーを会社内で対応できる人材がいない。ジムは無理矢理やらせようとする。でも無理だ。

どうしたらいいかと相談して、超有名企業の有能な人材を引き抜くことにジムが着手する。GoogleやMicrosoft、任天堂などへスカウトに行く。そして10,000,000ドルに及ぶ株価オプションを利用する高額の条件を提示する。こんなことって日本じゃないよね。あまりに公平をうたいすぎて沈没する日本社会を思う。

その結果有能な技術者は採用できた。同時にこの採用活動で見つけた営業管理者をCOOでスカウトする。ダグラスの立場が弱くなり職場の緊迫感が強くなり社内の雰囲気は変わっていく。


⒋ iPhoneの登場
ブラックベリーはコンパクトサイズだが、キーボードがあった。そこに登場したのがiPhoneだ。スティーブ・ジョブズがプレゼンする実際の映像が映し出される。全世界をあっと言わせた場面だ。マイクはキーボードの重要性を相変わらず主張するが、世間の流れは変わっていた。しかも、米国証券取引委員会(SEC)から主要メンバーがにらまれるのである。それからは転落の一途だ。

ブラックベリーの栄枯盛衰を描いた映画である。まさにリズミカルで簡潔にRIMと携帯端末の歴史を追っている。見てよかった。
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映画「ブルックリンでオペラを」ピーターリンクレイジ&アン・ハサウェイ

2024-04-26 09:08:07 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ブルックリンでオペラを」を映画館で観てきました。


映画「ブルックリンでオペラを」は小人の俳優ピーターリンクレイジとアン・ハサウェイ主演のニューヨークを舞台にしたラブコメディだ。監督は女性監督のレベッカミラーだ。いかにもアンバランスにピーターとアン・ハサウェイが並ぶポスターが目立つ。そこにベテラン女優のマリサトメイが加わる。スキマ時間ができた時に、いくつかの作品から選ぶ。主演の2人よりマリサトメイが出ていることが気になる。

ニューヨークブルックリンに住む現代オペラの作曲家のスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)は。5年前にスランプに陥り、担当医となったパトリシア(アン・ハサウェイ)と出会い結婚した。でも、状況が変わらず曲想が浮かばない。

スティーブンが散歩に出てバーでウイスキーを飲んでいると、女性客カトリーナ(マリサ・トメイ)に話しかけられる。タグボートの船長だという彼女に誘われ船に入ると、カトリーヌは黒い下着姿になり気がつくとメイクラブ。我に返って船から逃げ出す。すると突如、曲想がわいてくる。


スティーブンの作った新作現代オペラは公演で大喝采を浴びる。その話はスティーブンのちょっとした気まぐれな逢引きがきっかけだ。すると、もともとストーカーの気があったカトリーヌはスティーブンを追いかけるようになる。

事前予想よりおもしろかった。
アメリカのラブコメディだけに、ロケ地の設定、室内の調度品も含めた美術、登場人物の衣装を含めて完璧だ。ピアノ基調の音楽もよく、現代オペラは自分には縁のない世界だけど、普通の現代演劇をオペラ歌手が演じるようでおもしろそう。アンハサウェイもニューヨークのセレブらしさがでていていつもより美しく見える。


さすがに基調となるストーリーだけでは2時間はもたない。主人公の18歳の息子のラブストーリーも並行する。息子の16歳の彼女の母親はなんとスティーブンの家のメイドだったのだ。裁判所の速記官である相手の継父は娘の相手が気に食わず一悶着が起きる。16歳では結婚できないのに彼氏とメイクラブしている証拠を見つけ、裁判にかけると大騒ぎ。そんなドタバタが続く。


久々にマリサトメイを観た。60歳に近づいてきた。若き日にいとしのビニーでアカデミー賞助演女優賞を受賞している。でも停滞期を経て、40代になってからストリッパー役だった「レスラー」「その土曜日, 7時58分」などで形のいいバストを披露した。これはなかなかの美乳でこちらも興奮する。今回、黒い下着姿でピーターリンクレイジにかぶさる場面では久々に見れるかと一瞬ドキドキしたがそれはなかった。さすがにその年齢では無理か。
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映画「異人たち」

2024-04-22 18:48:40 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「異人たち」を映画館で観てきました。


映画「異人たち」山田太一原作、市川森一脚本、大林宣彦監督による1988年の作品「異人たちの夏」のリメイクである。自分のベスト100に入れているくらい好きな映画である。泣けて泣けて仕方なかった。今回はロンドンと郊外の町が舞台で、「さざなみ」「荒野にて」アンドリュー・ヘイが監督である。主人公がライターということは同じで、亡くなった父母に会う設定も変わらない。前回、主人公風間杜夫の恋人役で名取裕子が登場していた。主人公はゲイの設定で、男性の恋人を持つ。原作のファンだけに見逃せない作品だ。


孤独に暮らす中年の脚本家アンドリュー・スコット)が住むロンドンのマンションには、2戸しか住んでいない。ある夜、もう1人の住人(ポールメスカル)が突然、ウィスキーを片手に誘ってくる。でも、その場は酔客の申し出を断る。

脚本家は自分が幼少期を過ごした郊外の町を訪れると、町の店で父によく似た男(ジェイミーベル)を見かける。あとをつけて行くと男の方から声をかけてきた。そのまま家に向かうと母(クレアフォイ)もいた。12歳の時に両親は交通事故で死んだのに、前と変わらない姿でやさしくしてくれる。世界を不思議に思わない。自宅に戻った後でマンションの住人に近づき、やがて恋人のようになっていく。そして何度も両親に会いにいくのだ。


もう一歩のれなかった。
ストーリーの基調として、なつかしの父母に会う設定は変わらない。同じアパートに住む恋人と親しくなるのも変わらない。でも、恋人は男性だ。ゲイ映画の色彩が強い。ゲイ同士の恋の映画は苦手。男性同士の性的な場面も多い。セリフも当然変わってくる。母親がひと時代前の価値観なのかもしれない。息子がゲイであることに対して,強い嫌悪感を持つ。でも、最終的にはかわいい息子だけに少し気持ちが変わってくる。


演技のレベルは高かった。特に主人公と母親とのセリフのやりとりが良かった。母親は自分の息子がゲイになることに対して嫌悪感を持ち態度がかわる。主人公の悲しい表情がリアルであった。それでも,母親は優しい。こうやって映画を見ていると亡くなった父母が自分の目の前に現れてくるような感覚を少しだけ持った。「異人たちの夏」を直近で観たのは父母が亡くなって少し経ったときだった。泣けて泣けて仕方なかった。そこまでの感覚はなかった。


いまいち乗れなかったけれども,父母がもうこれ以上自分たちに会ってはいけないと語るシーンはジーンとしてきた。浅草とロンドンと舞台が変わり,大衆的なムードはない。いかにも英国的な雰囲気が漂う。しかも、今回は恋人になったマンションの男性は名取裕子のように大暴れはしなかった。大きく違うのはそこなのかもしれない。
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