Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

話すゴダール

2012-06-17 11:55:42 | 日記

ぼくはゴダール教(狂)ではないが、やっぱ、このひとはおもしろい。

文庫になって読んでいる『ゴダール映画史』は、話し言葉である。

一種の“講義”であろうが、その“文脈”はかなり矛盾していたり、なにを言っているか受け取りにくいこともある。

しかしそれがおもしろいのである。
そのような語りのリズムや文脈が、ゴダールの映画自体を思い出させる。
それはやはり、一種の自由である。

結局、“そのひとは何を言ったのか?”ということだ。

“その時、その人は、何を言ったのか?”
あるいは、“その人の生涯で、その人は何を言ったのか?”


比較的、文脈が取れる部分を引用する;

★ 私はたとえば、言うべきことをほとんどもっていないときにかぎって、あれこれ多くのことをしゃべってしまいます。すると人々は、あいつは言うべきことをたくさんもっていると考えてしまうのですが、でも実際は、その反対なのです。そうした場合の私は、こう言ってよければ、テレビのようなものです。テレビでは、ほとんどなにも言わないようにするために、あるいはまた、言うべきなにかを言わないようにするために、多くのことが語られます。そうであってはいけないわけで、私は今では、自分のそうしたしゃべり方を自制しようとしています。

<ジャン=リュック・ゴダール『ゴダール映画史(全)』(ちくま学芸文庫2012)>