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歌のおにいさん

2009-02-07 09:59:37 | ドラマ
 嵐の大野智君主演のテレビ朝日の深夜ドラマ「歌のおにいさん」。 家族が嵐ファンということもあって、何度か観たけど、東京で昨夜放送の第3回目は結構いい内容だった。


 23時台のドラマはゴールデンほど肩に力が入っていないからか、観る方もそんなに気合いを入れずに観ることが出来るし結構面白かったりする。以前にも日記に書いたけども、数々の名作(迷作)はこの時間帯だから許される脚本が受けているからだと思う。


 さて、話を戻すと、嵐の大野君演じる矢野健太は、ロックバンド「ジゼル」の元ボーカル。それがメジャーデビュー前に解散、恋人だった水野明音からも振られ、いわゆるフラフラとしていた。なんとか職に就こうと受けたのが老舗教育番組『みんなでうたお!パピプペポン』の“ゆかいな仲間たち”のオーディション。やる気がほとんど見えないのに、プロデューザーの真鍋杏子(木村佳乃)に女の感で採用されるという設定でスタート。

 第3話では、自分はやっぱりロックを歌いたいという気持を引きずり、ふてくされ気味で“ゆかいな仲間”をやる健太に、杏子が一言。「何が歌いたいか?とどう歌いたいか?とどっちが大事?」と質問する。

 つまり、ロックに拘る健太に対して「歌を歌うことってあなたにとってどういう事?」と訊ねているのだ。

 

 この一言。普通に働いている私たちへの投げかけでもある。「こんなつまらない仕事はいやだ」とか「もっとやりがいのある仕事がいい」とか働いていれば仕事に対するそういう思いを持つことがあるだろう。しかしその前に、「働くことってあなたにとってどういう事?」という根本的なことちゃんと押えていますか?という投げかけに聞こえる。

 難しいのが「どんな仕事であってもバカにしてはいけない」ということ。でも人はどうしても高給を取っている仕事が偉い仕事で、賃金が安い仕事は馬鹿げた仕事だとか、つまらない仕事だとかと思ってしまう。でも、仕事が存在しているということは、その仕事をやってくれる人が居ないと困るという事。つまり必要とされているから仕事があり、その仕事をしている人は必要とされているのだ。



 元ロックバンドのボーカルという健太の経験からすれば、主役の後ろで踊る“ゆかいな仲間たち”では、「つまらない仕事」にしか思えない。でも「そうじゃないんじゃない?」と問われた訳だ。

 それでも、健太は「やっぱりロックがやりたい」と言う気持を捨てきれない。


 その健太が、杏子の言葉を飲込める事になる。



 テレビ局の専務の孫、わたるが「みんなでうたお!パピプペポン」に登場する子どもに混じって初参加することになった。しかしわがままに育てられたわたるが番組収録中に暴れ出してしまう。みんなと一緒に踊ることが出来ないのをごまかす為だった。健太はたまりかねて「いい加減にしろ!」と一喝。

 そのわたるが、番組収録の後で健太から踊りのレッスンを受ける。真面目に習得しようと頑張ったわたる。そして帰り際に「うたのおにいさん、ありがとう」と笑顔であいさつされる。


 健太は、歌うことの意味を少し理解し、杏子が言いたかったことが飲込めた。“ゆかいな仲間たち”をやめると一旦言った健太は、あらためて杏子に「歌のおにいさんになるためにはどうすればいいですか?」と一歩を踏み出すことになる。

 
 自分がやっている仕事の意味を時折人は忘れてしまう。業績を追求するのが企業だから企業の中で働く人はそうなるだろう。純粋さだけでは過ごせない。純粋さだけではやっていかないから。

 しかしこのドラマのようにだれかを元気づける、だれかを笑顔にする、だれかを頑張らせる。その為に歌を歌うということに気づいた健太のように。だれかの幸せが自分の満足に気づくことはとても大切。自分がやりたいことをやることが自分の幸せで、他の人が満足してようがどうかは関係ないというような幸せの追求は長続きしないし誰も支援してくれない。

 

 一方ロックバンド時代の彼女、明音がボーカルを担当する「ジゼル」がメジャーデビューすることになった。その彼女ともう一度一緒にやりたいという健太に明音が言う。「歌いたいのなら自分で場所を見つけるしかない。」
 
 この明音が、今までのことを吹っ切った健太の“ゆかいな仲間たち”として元気に踊る姿を見て思わず泣き出すシーン。明音の健太に対する複雑な感情が表現されていて、話に厚みがでていいんじゃないだろうか。



 23時台のドラマ。侮れません。

 

 歌のおにいさんのホームページはこちら↓
      http://www.tv-asahi.co.jp/utaoni/index.html
 
 この健太(大野智)の元カノ役の水野明音はGirl Next Doorの千紗。

  



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