18年にもなりますか

感じた事、出来事、いろんなこと書き綴ってます。

東京国際映画祭 「Public Enemy No.1」

2008-10-25 23:19:23 | 映画
 1960年から70年に世間を騒がせた、ギャングスターであるジャック・メスリーヌ(フランス語発音では、メリーヌ)の実話に基づいた話。

 この人のことを知っているフランス人が観るのと、まったく知らない日本人が観るのとでは全くとらえ方が違うだろう。歴史上に有名な人を扱う映画はこういうところがハンデになったりする。

 
 さて、このジャック・メスリーヌは、銀行強盗、金持ちの財産の強盗、殺人、脱獄という、普通に考えればとんでもない極悪人なのだが、一方で義賊的な考え方ももっていて、家族への愛情深いとても普通な側面も持っている。

 この映画の冒頭で、「この映画はフィクションであり、全てのことを正しく伝えることはできない」と言っているのは、聞き伝えられていることでさえフィクションであり、実話といいながらも全ては伝えていないというこの映画の立ち位置を明確にしている。

 銀行強盗と投獄・脱獄を繰り返すストーリーの合間で、最初の妻との離婚、父親との面会、子どもとの面会などのシーンがとてもうまく構成されていて、ジャックがとても家族愛に満ちた人物だとわかる。特に最初の妻がうちを出て行き、荒れて博打で結婚指輪まですってしまったジャックが、帰りの車の中で左手人差し指に悔しげに触れるシーンはとても印象的だった。

 犯罪を犯罪として捉えていないジャックという人物の生き様、そしてそういう人生を選択したことに堂々としていたことについて感動すら覚える。それはジャックが犯罪者ではなく、犯罪屋だからかもしれない。

 そういう犯罪屋のジャックからすれば、政治家のほうがよほど犯罪者に見えるのだろう。

 Public Enemy No.1 (社会の敵№1)はパート1とパート2から構成されている。見応えがある作品の1つ。

 この12月に公開予定。
 公式サイトはhttp://www.publicenemynumberonethemovie.com/
主演:ヴァンサン・カッセル
 監督:ジャン・フランソワ・リシェ

 

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東京国際映画祭 「ブタがいた教室」

2008-10-25 22:45:29 | 映画
 東京国際映画祭、今日は妻夫木聡主演の「ブタがいた教室」を観てきました。

1990年大阪の小学校で実際に会った話。食べることと生き物の命を考えるために授業の一環でブタを飼うことになった6年2組の生徒達がどのように答を出すのかを中心に描いた作品。

主人公は妻夫木聡といいながら、本当の主役は6年2組の子ども達だ。かれらはもちろんオーディションを経て映画出演をしているのだが、かれらがブタを食べるか食べないかについて交わす議論は、真剣そのもの。作り物にならないようにするために、妻夫木聡も先生として、これをどう考えるのかを子ども達に伝え、学芸会のようにならないように考えたそうだ。

その為にも子ども達とのふれあう時間を増やすためにドッジボールをやったりしてたらしい。

さて、この映画。ブタを育てるうちに愛情が湧き、小学校卒業を目前にブタをどうするかを子どもたちが真剣に考えるというシナリオなのだが、ここからさまざまなことが伝わってくる。

肉を食べることって実は残酷なことなんだということ。いただきますというのは、そういう命に感謝するということ。そして特に大人には、子どもは本当に真剣に真っ正面から目の前の問題にぶつかって行くものだから、大人も子どもが抱えている問題に真剣になりなさいということ。これらのことがしっかり伝わってくる映画だ。親と子で観て真剣に会話するのも良いかも知れない。

「もったいない」は電気や資源だけではなく、食べるものも大切にしなければならない。その理由の1つがここにあると思う。


 映画終了後の舞台あいさつとティーチインでは、主演の妻夫木聡と、監督の前田哲が登場。さらには主題歌を歌っているトータス松本、そしてこの授業を本当に実施した黒田先生も登場。会場は爆笑に包まれて映画祭にふさわしい内容だった。サプライズが2つあった。その1つは松山ケンイチが客席でみていたこと、そしてもうひとつはトータス松本が生で歌を披露してくれたこと。

 今回の映画化については監督の前田哲氏は、さまざまなシナリオを考えてみたそうだ。その中最終的にこの映画になったのはやっぱり子ども達の真剣な本当に真剣な議論を浮きだたせる為なのだそうだ。なるほど、たしかに、変に作りすぎないほうがこの映画はいいと思う。


  
 ところで、この映画のパンフレットに大写しになっているブタ。観れば観るほど愛嬌があってとても優しい目をしている。こういう表情をしたブタを一年近くかわいがってしまうと、愛情も湧くのは不思議ではない。
 
 映画では、このブタの愛らしさを十分に伝えることが少なかった。もっとブタの愛らしさや表情を細かく丁寧にスクリーン上で伝えられたなら、子ども達がなぜ涙ながらに議論していたのか、もっと観ている人を惹きつけることができたと思う。

 辛口だけども、これは監督の力不足なところ。話の分りやすさやエピソードの盛り込み方などがとても効いているので、ブタの愛らしさをもっと丁寧に撮っていたらもっともっと観客を引き込めたに違いない。

 ブタがいた教室。11月1日(土)から全国ロードショー
 公式ホームページはこちら http://www.butaita.jp/
 しっかりブタの愛らしさを堪能してください。


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