晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

放送禁止用語のバカバカしさ

2009-03-09 05:49:03 | 社会問題
タモリの『テレホンショッキング』にゲスト出演した<某女優>の表現に局側対応のバカバカしさと、翻って、現在の日本の<上っ面文化>に、またまたイライラが嵩じてしまいました。

宝塚出身のその女優さん、音域4オクターブの歌のために、毎日発声練習に明け暮れる『凄まじさ」を表して『キチガイみたいに』とおっしゃった。。。

タモリさんが流れを逸らろうとして巧みに誘導しても、彼女再び<気違い。。。>と言ってしまって、口を押さえたとかなんとかカントカ。
その直後にCMに入り(よくやる手ですね)、スタジオに画面が戻った時<担当アナ>が『お詫び』した。

全てにおいて、ありとあらゆる<腐った中身>に気がつかないフリで(あるいは本当に気がつかない恐ろしい鈍感な場合も多い!)、表面だけ<キチンと>整えて良しとする、<全て見てくれ社会>である日本の有り様が、また姿を現した。

だいたい、<言葉>自体に<差別意識>等無いのです。

使う側の<差別意識>が、言葉を差別用語にするのだ。

『メクラ」も『ビッコ』も『キチガイ』も、一つの<名詞>に過ぎない。

使う方が<差別意識>を抱いているから、しゃべる時に躊躇する。

その、己の抱いている<差別意識>を恥じるから、あるいはそれを<糊塗>したくて、言い淀む。
なんとか<自分の潔白>を表明したくて、他の言葉で言い換えようとする。

その結果、<視覚障害者>とか、<足の不自由な人>とか、<精神障害者>とか、訳分からない言い方がまかり通ってしまった。

『認知症』など、その最悪な代表例です。
<老人性痴呆症>で何がいけないのか。

<認知症>という言い方は、あまりにも八方美人的な、全てに対して何事にも触れないような、まるで<ヌエ>のような、そのもののイミを完全に覆い隠した、薄めに薄めた言い方ですね。
おかげで、その病状の持つ特徴を完全に包み隠して、万民に事の重要性や深刻さを隠してしまっているのです。

でも、よく考えてください。

<精神障害者>なんて言い方の方が、よっぽど<差別>してるよね。
<視覚障害者>なんて、障害の無い側の<優越感>すら漂ってくる表現ではありませんかしら。

<キチガイ>みたいに走るってごく普通に言いませんか?
第一、<精神障害者>が全力疾走しますかね!?

<バカみたい>とも言えなくなってしまいますな。

<唖>や<ツンボ>という表現は、日本語の長い歴史の中で、ごく当たり前に使われて来た。
<ろうあ者>と言う方が、よっぽど相手の状態をあからさまにしてしまい、そこには完全に<差別>してるからこその、社会に差別が存在するからこその、意識が働いているのです。

しかも、今回のケースは、発言者ではなくアナウンサーという<局側の人間>が、いわば<放送局を代表して>謝ってる。

一体誰が<放送禁止用語>なんてのを決めたんだ。

そして、それらの言葉を聞き及ぶに、いちいち<クレーム>を付けてくる<聴視者>のほうにこそ、深層心理においてよっぽど<差別意識>が根深く存在している、という現実には誰も気づかない。

ただただ、表面だけ<カッコ付けて>、中身は何ら変わらずじまい。

どっちもどっちだね。

この伝でいうと、<受験浪人>も、<非正規労働者>も、<フリーター>も<オタク>も<不登校>も<落ちこぼれ>も<中小(!)企業>も<日陰>も<酔っぱらい>も<新人>も<窓際>も。。。。。全て『禁止用語』と同じレベルでしょ。

浪人は<失敗者>だし、非正規は<正規>じゃ無いから当然、フリーターは<定職>に就けない、中小企業は<大企業>じゃ無ければ企業に有らず。。。

物事全て<誰かが決めた>単一のスタイルのみが<良し>とされ、それに沿わない物事は全て<否>とされてしまい、その事を表現してはいけない事になってしまう。

かの偉大な文学者、筒井康隆さんが、あまりの禁止用語の多さに腹を立て、<断筆宣言>をされた時、多いに同感したものでしたが、それと同時に、もはや彼の名作が生み出される事が無い、という事態に愕然とした物でした。

それが一昔前の出来事。

あまりにも世の中が良い方向に向かわないため、とうとう筒井先生、再び執筆活動をお始めになったものの、その間日本が全く変わっていない、変われない、と言う現実が、大きく立ちはだかっているのです。

学校で<いじめ>に合い自殺する児童生徒がでるたびに、<いじめの事実は無かった>という報告を出す学校、教育委員会の姿勢も、全く同じルーツに根ざす、我が<日本>の病根なのです。

上っ面だけの<体裁>を取り繕う見せかけは、止めようよ。

本質に迫る勇気を持とうよ。

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