joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

「神様は私たちに美を与え、やがてそれを奪っていく」『ダイアン・レイン自らを語る』

2004年08月06日 | 映画・ドラマ
「ダイアン・レイン自らを語る ~アクターズ・スタジオ・インタビュー~」(NHK-BS2 8/6 21:40~10:28)を観ました。タイトルの言葉は、レインが、美を超えた魅力を表現する女優たち(スーザン・サランドン、ジェシカ・ラング)について語ったときに口に出したものです。

インタビューでの彼女はとても普通の女性に見えました。もっとも、ああいう場であれほど飾らずに、自分の感じたことを言葉にしていくのは、レインだからこそなのかもしれません。

「運命の女」と同じように、彼女は、控えめでありながら、その繊細さで逆に人々の目を引きつけているようでした。なんだか、観ていてこちらがホッとするような彼女のたたずまいなのでした。

「中島らもさん死去」に思う

2004年08月06日 | Book
もう一週間以上前になりますが、中島らもさんがお亡くなりになりました。らもさんのエッセイに親しんできたものとしては、やっぱりショックな出来事でした。御冥福をお祈り申し上げます。

今回の報道をきいたとき、一瞬ぼくは「エッ」と思いました。それは多くの人がそうだと思います。ただ同時に、心のどこかで、そういうこともありうると考えている自分もいました。

ぼくはらもさんの小説は読んだことがないのですが、彼のエッセイ、とりわけ80年代後半から90年代初めにかけて書かれたものをよく読みました。とくに印象に残っているのは、「獏の食べのこし」「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」です。

らもさんと言えば「明るい悩み相談室」のユーモアあふれる文章が有名だけど、上記の二冊や他の作品を読めば、彼の内面にはどうしても拭いきれない反社会的な側面や暗いものがあることは、分かると思います。

らもさんという人は、人生を楽しみながらも、どこかでいつも人生や世の中につばを吐きかけたくなる、そういう衝動をいつももっていた人なのでしょう。

彼はとても精神的に清潔な人で、ねばねばした人間の「情」みたいなものを忌み嫌っていました。そうした「情」がもつ抑圧性に敏感な人で、彼の大阪批判はそこから来ていました。

じゃあ、なぜらもさんは東京に移住しなかったのだろう。もちろん関西が住み慣れているからというのもあるのだろうし、同時に、関西の中に、たんに情に訴えかけるだけじゃない、乾いた都市性みたいなものをみていたのかもしれない。

その都市性とは、都会的というより、多くの人間が寄り集まったがゆえに生まれる雑種性と匿名性みたいなもののような気がします。

彼は、無理やり友達づきあいを強いてくる人間関係の「情」を忌み嫌っていたけど、同時に、身寄りのない人間がより集まうことで生まれる乾いた優しさみたいなものを、いつも求めていたような印象が僕にはあります。きっと、ほんとうのやさしさみたいなものを求めていたロマンチストだったのだろうな。

らもさんは以前エッセイで、「自分が死ぬときは、まわりの人たちの泣いている顔を見て、どいつもこいつもまずい面だな、と言いたい」と書いていました。らもさんは天国でも、あほなひとたちを観察して楽しんでいるに違いない、そう思いたくなります。

「イチロー打率トップ」に思う

2004年08月05日 | スポーツ
というわけで、イチローが打率トップに躍り出ました。

長谷川がイチローのことを「イチローより才能のあるバッターはいる。イチローがここまできたのは彼が努力しているからだ」と以前言っていたのがとても印象的だった。

たしかにイチローのバッティング・フォームをみていると、改良に改良を加え、10年かけてここまで来た、という感じがする。生まれ持った感覚で打っているというより、長い年月をかけて、一つ一つ刀で無駄な部分を削ってできあがった彫刻のような味わいがあるのです。

生まれもった才能で野球をやるという点では、阪神の今岡のバッティングの方がそんな感じがする。まあ、あくまで印象なのですが。

イチローにはシングル・ヒットや内野安打が多い印象がある。その点では、ホームラン・バッターたちの方が得点への貢献度が高いのかもしれない。

ただ、シングル・ヒットでもイチローのヒットは、美しいバット・スイングから生まれる芸術品のような感じがして、観ていてうっとりしてしまうのです。

内野安打が多いのは、それだけ彼が自分の限界をしっているからこそなのかもしれない。長打力があるわけではないからこそ、少しのチャンスも見逃さない集中力を維持しなければならない。その意味では、自分の能力に関して謙虚な部分ももっているのかもしれない。自分の特長を生かすには、相手のミスやぼてぼての打球すべてをチャンスを変えなければならないことを知っているのでしょう。やっぱり並外れた努力家なのだ。

『マッチスティック・メン』

2004年08月04日 | 映画・ドラマ
日本で公開されたのは、もう一年前ぐらいになるかな。レンタルで観てみました。主演はニコラス・ケイジ、アリソン・ローマン。

個人的にはかなり不満の残る内容。たしかに、ラストのオチは見抜けなかったし、うまく騙してくれました。でもねぇ、騙せばいいってもんでもないと思う。たんに騙すだけではなくて、そのことでなんらかの味わいを出して欲しいのだけど、ただ単に観客の裏をかいただけのような気がするのです。

だから、あまり監督さんをほめたいとは思わなかったです。ただ個人的には、アリソン・ローマンの表情がとてもかわいくて、観ている間、楽しかった。演技なのか、若さがもつさわやかさだけで突っ走ってるのか分からないけど、観ていて全然飽きない。

彼女は「ビッグ・フィッシュ」にも出ていましたね。これからどういうポジションを築いていくのだろうか。とくべつ男性に人気が出るようにも思えないし、20代のうちは同世代のブレイク・スルー女優たちほど目立たないのかもしれない。でも、気づいたら、ずっと先頭集団にいる、という感じかな。

あと、はじめてみたサム・ロックウェル。たしかに達者な人ですねぇ。監督なら誰でも一度は使いたくなる、という感じでしょうか。ティム・ロスをはじめてみたときを思い出しました。

ストーリーには不満が残るけど、この二人の演技が楽しかった映画でした。