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淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

桐野夏生の長編小説「デンジャラス」、文豪谷崎潤一郎の暗部を余すところなく描写していて凄みがある。さすが桐野夏生、人間の「闇」を書かせらたら天下一品だ。

2019年12月06日 | Weblog
 朝起きてヨーグルトとリンゴと緑茶だけの朝食を摂り、着替えて外に出たら物凄い積雪になっていてびっくり。
 12月6日午前11時現在の積雪は38センチ。気温がマイナス0.8度。かなり雪が積もっている。
 昨日は、東京から来青した某情報通信会社のCEOとその関係者との3人による飲み会に出席して、帰宅したのが夜の10時過ぎだった。その辺りから重たい雪が降っていたので少し心配だったのだが、一晩でここまで積もっているとは・・・。

 今日金曜日は連続して3コマの授業があるので、忙しかった。その授業も終わってやっと一息つく。
 家に帰って、家の前を雪片付けする。でも天気予報では明日が雨マーク。来週は暖気になるようだ。どうせ、雪は融けてしまうのだが・・・。

 今週は本を一冊読んだ。
 桐野夏生の長編小説「デンジャラス」。
 桐野夏生という作家が大好きだ。果敢に今の時代の歪みや暗部や深層部分に挑んでいるところが好きなのだ。

 「OUT」、「柔らかな頬」(一気に読んだ)、「グロテスク」、「残虐記」、「魂萌え!」(映画化された作品も良かった)、「メタボラ」、「東京島」(この小説で谷崎潤一郎賞を受賞した)、「ハピネス」、「猿の見る夢」などなど・・・読む小説、読む小説、どれもが面白い。

 平凡な主婦たちによる残虐な夫殺しだったり、東電OL殺人事件を題材にしたり、新潟少女監禁事件からインスパイアされたり、高層タワーマンションに暮らす空虚な富裕層たちの日常を描いたり、一主婦の絶望と再生の物語だったり、はたまた男性エリート・サラリーマンのスキャンダルな日常生活だったりと・・・取れり上げるテーマは多岐にわたる。

 ただし、桐野夏生が書く小説は、そのほとんどが憂鬱で暗く(そうじゃない小説もありますが)、読後感に苦さが残る。
 救いようのなさ、絶望感、空虚な気分、そんなものが澱のように溜まってゆくのである。でもそこが桐野夏生の小説の面白さだろう。

 今回取り上げた長編小説「デンジャラス」は、2年ほど前に出版された作品だ。それをやっと読むことが出来たのである。

 題材は、あの谷崎潤一郎。
 谷崎といえば、有名なスキャンダル事件がある。「細君譲渡事件」だ。谷崎潤一郎の友人だった作家の佐藤春夫に自分の妻(千代子夫人)を譲ることとなった、泥沼の三角関係のことだ。

 谷崎潤一郎は、何度も結婚と離婚を繰り返し、女性に対しての異常ともいえる愛着を示し続けてゆく。
 今作「デンジャラス」もまた、彼の代表作である長編小説「細雪」のモデルだった妻の松子とその妹である重子(「細雪」では雪子という名前で登場する)を中心に、谷崎潤一郎という文豪の陰の部分を抉り取る。重子の視点・目線で語りながら・・・。
 
 それにしても、ここまでスキャンダラスに、そして赤裸々に綴って、家族から抗議や非難はなかったのだろうか?
 そう思って読み終え、最後のページを捲ると、「謝辞」として『この本を書くにあたりまして、渡辺千萬子さん、高萩たをりさんには、大変お世話になりました』と書かれているではないか。

 本の中に登場する「千萬子」という、谷崎潤一郎の妻である「松子」と前夫の小津清之助との間に生まれた「清一」の妻のことを結構辛辣に描写しているのに、モデルとなった本人が、抗議じゃなくて逆に協力していただなんて・・・。凄いなあ。

 それはそれとして、とにかく小説自体はいつもの桐野夏生節が炸裂していて、猛毒がいたるところから吹き上がっていた。
 つまり、とても面白い小説でした、「デンジャラス」!







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