映画「フェラーリ」を「イオン・シネマ新青森」で観た。
監督は、ご贔屓のマイケル・マン。
「ラスト・オブ・モヒカン」、「ヒート」、「インサイダー」、「コラテラル」、「マイアミ・バイス」、「パブリック・エネミーズ」などなど、重厚で男臭い、そしてクールでダークな雰囲気の映画をずーっと撮り続けてきた監督で、マイケル・マンと聞いただけで作品を観たくなる。
映画館「イオン・シネマ新青森」は、思ったよりも閑散としていて客足も疎らだった。予めスマホで予約していたので、待つことなくスマホの画面をかざして直ぐに場内へ。
大きな場内に入って、一番後方の端っこに腰掛ける。とにかく、いつも近くに人がいない場所、離れた場所を陣取るように心掛けている。
見渡すと、お客さんは全部で10人しかいなかった。うーん・・・。
イタリアの自動車メーカー「フェラーリ」の創始者エンツォ・フェラーリの伝記ドラマである。
1957年に行われたというイタリアの公道レース「ミッレミリア」が映画最大の見せ場となってはいるけれど、この映画にレース・シーンのみを期待して観に行くと、ちょっと肩透かしをくうかもしれない。
あくまでも監督のマイケル・マンは、手に汗握る迫力あるカーレースを描くというより、人間エンツォ・フェラーリの車に賭ける異常なまでの情熱と、彼のどうしようもない身勝手でいい加減な私生活へと切り込んでいるのがメインになっているからだ。それにしても、よくこの映画化をフェラーリ一族が許可したものだと思う。
物語の舞台は1957年。
59歳のエンツォ・フェラーリ(アダム・ドライヴァー)は、妻ラウラ(ペネロペ・クルス)と2人で築き上げた「フェラーリ社」をイタリア屈指の自動車会社へと成長させたものの、今では経営状態が最悪で、経理顧問からはこのままの状態が続けば倒産か買収されるしか生き延びる道はないとまで告げられる。
その一方で、フェラーリ夫妻は最愛の息子の突然の死によって夫婦関係自体が破綻していて、妻のほかにも別宅を持ち、愛人(シャイリーン・ウッドリー)に子どもまで産ませていた。
会社経営が破綻寸前、しかも愛人の子どもの認知問題でも苦境に立たされているフェラーリは、起死回生を図るべく、イタリア国内を走破する過酷な公道レース「ミッレミリア」へと挑む・・・。
面白い。
アダム・ドライバーとペネロペ・クルスの演技が凄まじい。
特にアダム・サンドラーの、狂気を常に纏った冷徹な表情がいい。さすがである。
そして、ラストの見せ場、イタリア国内を走破する過酷な公道レース「ミッレミリア」。最悪な事故シーンには、観ていて唖然とするほどだ。
マイケル・マン監督、アダム・ドライバー主演映画「フェラーリ」。確かにカーレース・シーンも良かったけれど、メインとなる、フェラーリ自身の深い闇へとぐんぐん切り込んでゆく過程がとにかく素晴らしいのだ。
いい映画だ。