淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

ロバート・ロドリゲス監督の映画「シン・シティ」は、ムーヴィング・グラフィック・ノベルと言えるもの。

2005年10月11日 | Weblog
 話題騒然の映画「シン・シティ」。
 あのロバート・ロドリゲス監督が、アメコミの鬼才フランク・ミラーとまさにコラボレーションした、ちょっと変わったフィルム・ノワールの一本に仕上がった。
 アメリカ監督協会では、映画監督を2人並べる、いわゆる共同監督という制度を認めていない。それに怒ったロバート・ロドリゲス、何と全米監督協会を脱退してまでこのクレジットに拘ったのだという。
 やるねえ。男だねえ。

 それに、この映画、配役陣が半端じゃない。
 ブルース・ウィリスにミッキー・ロークにクライヴ・オーエンに。それからジェシカ・アルバまで加わっている。
 監督も二人の共同監督としているものの、ワンシーンのみクエンティン・タランティーノも演出しており、その意味からもロバート・ロドリゲスと言う人間の人脈の幅広さが見て取れる。
 インタビューで原作者のフランク・ミラーも「ヒーローとは、彼自身が行う、その決断のことだ」も語っているように、この「シン・シティ」は、男の行動と男の美学を描いているのだが、そこは一筋縄ではいかない。
 フランク・ミラーはアメコミ「ダークナイト・リターンズ」という作品の中でも、バットマンをより孤独に、そして真摯に自分と向き合う、内向的で陰鬱な主人公として蘇らせたらしい。
 つまり、どちらかと言えば、硬派でハードボイルドな描き方をする作家なのであり、それは今回の映画を観てもよく解る。

 全編が、モノトーンを下敷きに、時には真紅を、そして時には暗青色を使いながら、スタイリッシュかつ美しく描いてゆく。
 斬新で躍動感がある。
 映画はコミックを忠実に訳したとロバート・ロドリゲスはインタビューで答えていたけれど、例えば「NANA」の模倣と明らかに違う点は、コミックの素晴らしい方法論を映画的な文脈の中にきちんと吸い込んだということであり、漫画をそのままなぞった手法とは全く異質なものだ。
 だからこの映画は面白いのである。
 映画そのものがコミックの利点を食べることで、新しい文法を取得したのである。

 この映画は愛する女性を救うためだけに生き抜く男たちを描いている。
 自己犠牲と純粋性。
 それだけである。
 だからこそ美しい。
 あとほかに何があるっていうの?
 
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