淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

作家・伊集院静が遺した大人の流儀名言集、「風の中に立て―伊集院静のことばー」を読んで元気を貰う。273

2024年04月12日 | Weblog
 昔、漫画家の黒鉄ヒロシが週刊誌のコラムに書いていた記事のことをふと思い出した。それは彼の友人で飲み友達、作家の伊集院静についての短いコラムだった。
 こんな内容だ。
 黒鉄ヒロシは部類の酒好きで、飲むと徹底して飲み歩き、それは真夜中から朝方になるまで飲み明かすことも頻繁にあり、飲むといつもべろんべろんに酩酊してしまうのだとか。だから酔っ払うと、よく電話で伊集院静を呼び出し、「今から〇〇まですぐに来い!」と無理難題を吹っ掛けてしまうらしいのだ。
 すると、どんなに真夜中だろうが朝方だろうが遠く離れた場所だろうが、伊集院静は必ず来てくれるという。雨の夜でも突風でも雪の日でも、必ず現れて、そこから一緒に酒を飲むのだと。
 まあ、その行為がいいのか良くないのかは何とも言えないけれど、伊集院静という人間の律儀で友だち思いの一面が出ていて、いまでもその記事のことが記憶の片隅に残っている。



 その伊集院静が亡くなった。
 彼の小説は読んだことがないけれど(映画化された作品は観てきた)、エッセイは大好きで、「大人の流儀」シリーズは出版されるたびに読んできたし、「週刊文春」に連載していた「人生相談」も欠かさず読んでいた。
 酒とギャンブルをこよなく愛し、ゴルフの腕前も一流で、いつも銀座の高級クラブを飲み歩き、女性にも男性にもモテまくっていたというエピソードは、もうすでに伝説化している。出版社からの前借りも頻繁にあったらしく、多額の借金を作って放蕩し尽していたとも言われている。
 彼は生粋の「無頼派」だった。



 そんな伊集院静が、生前、書いたエッセイの中にも、これまた数多くの名言が残されている。それらの珠玉の言葉を集めた一冊の本が、この大人の流儀名言集、「風の中に立て―伊集院静のことばー」だ。
 「人生というものは総じて割に合わないものだ」、「さよならも力を与えてくれる」、「身だしなみでまず必要なのは、体調だ」、「雰囲気だけで生きていては必ずしっぺ返しが来る」、そして「悲しみにも必ず終わりがやって来る」・・・。



 人生は、哀しく、そして儚い。
 生きるということは、煩わしいことや辛いことや苦しいことを、ひたすら振り分けることにのみ費やされるということだ。
 そして人間はいつかこの世を去ってゆく・・・。
 伊集院静が綴った数多の言葉たちに通底しているのは、無常であり諦観であり生きることへの切なさである。



 沁みる。







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