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うさぎくん

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まちがい

2022年05月21日 | 社会・経済

ブッシュ元大統領が集会で、ロシアによるウクライナ侵攻を、自身が主導して戦争を行った相手国、イラクと言い間違えて、「イラク侵攻は不当で野蛮」と発言した。直後に訂正したが聴衆からは笑いが起こった。MSNBCのキャスターは「多くの人が亡くなった。笑えない」とコメントした。
イラク戦争はサダム・フセイン大統領施政下のイラクで大量破壊兵器が保有されているからという理由で、アメリカが主体となって開始された。後年、米国政府は、大量破壊兵器が存在するという情報は誤りであったと認めた。
ブッシュ大統領自ら、退任演説で「イラクにおける情報活動の誤り」を、遺憾であった、と発言している。ただし、イラク侵攻判断が誤りであったかどうかについては明言を避けている(wikipedia)。

イラク戦争は多くの犠牲者を出したし、戦争終結後の占領政策も拙いもので、国内の治安は極度に悪化した。また、国連安保理の決議なしで行われた武力行使であり(常任理事国のフランス、ロシア、中国は武力行使に反対であった)、国連による調停も機能しなかった。

約20年前に起きた戦争だが、今日の我々から見ると現下目の前で起きているロシアのウクライナ侵攻と重なり合う部分が多い。

なので、この失言は単に皮肉だとかブラックジョークという言葉では言い表せないほど重いもののように思える。

とはいえ、これはブッシュ氏がかつて自ら下した判断に無反省であるということを意味しているわけではない。

単なる想像だが、むしろブッシュ氏は過去の誤りを日々悔んているのではないか、という気もする。。言葉として公にはしていないが、公務を離れ静かな日々を過ごしている中、どこか過去を悔いることもあるのではないか。
少なくとも心のどこかに意識がのぼっていなければ、イラクという言葉が不意に出てしまうことはなかったはずだ。

もちろん、今でも正しい判断だったと思っているかもしれないし、そこはわからない。ただ、ここで言いたいのはそういうことではなく、為政者は引退後も自らの過去の判断にに重い責任が課せられているということだ。

例え過去に下した判断が間違っていたとしても、その判断を下す際に助言をくれた側近、組織、その他関係者は多数いる。そしてそれらの利害関係者はその時の判断が正しかったものとして、今日まで動いている。その時に判断を下す責任を担った者は、引退して権限がなくなっても、むしろ権限がなくなったからこそ、過去の判断が揺らぐような発言が制約されるのだ。

ブッシュ氏はアメリカとイラクとの戦争を勝利に導き、8年の任期を終えて政界を退いた。ロシアのウクライナ侵攻直後には、民主党の元大統領であるビル・クリントン氏と連帯してウクライナ支持を表明している。今起きていることについて、態度表明をすることはもちろん自由だ。
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