ジョニ・ミッチェルやジョーン・バエズのことを知ったのは大人になってずいぶん経ってからだ。年代的には親戚のおばさんぐらいの世代の方々なので、接点がなかった。とはいえ、キャロル・キングは同世代だが昔から親しんでいる(つづれ織り)。ポピュラー音楽を聴くのに、別にテキストがあるわけではないので、後から学んだアーチストの場合、知識にムラがある。
ジョーン・バエズはピート・シーガーと共にラジオ深夜便の特集でその名を知った。ジョニ・ミッチェルはどこで知ったかよくわからない。ジョニ・ミッチェルは90年代ごろ、CMで使われていたような記憶がある。それでかな。
何のCMか忘れたけど、SUNNY SUNNY / YVETE IN ENGLISHをどこかのCMで使ってたような。
こちらTubbulent Indigo が94年、次のTaming The Tigerは98年のリリースだ。僕にとってジョニ・ミッチェルとはこの2枚が代表作で、他は良く知らない。他の曲、サークル・ゲームなどは後から聞いてはいるが、2枚に共通する、不思議なエレクトリック・ギターの演奏と、少し太めの低い声質こそがジョニ・ミッチェルという感じがある。
同時に、この2枚を聞くと、90年代後半から2000年代前半の自分のことが思い出されてくる。とりわけ旧宅に住んでいた90年代の終わりから10年ぐらいの日々。
別にやってることは今と変わらない気がする。。平成半ばの、ちょっと出口の見えない世相。デジタルが生活に浸透つつあり、日々の情報をPCのモニター越しに知るようになってきた時代。賑やかな音楽の流れる家電量販店で、欲しい商品の価格とポイント還元の数字を、見比べながら歩いていた新宿西口とか、そんなことを思い出す。。
テイミング・ザ・タイガーは、ちょうど18年前の、正月明けの今頃、図書館でCDを借りてきて自宅PCにリッピングした。それを、ソニーのソフトを使ってMDに転送し、通勤時に聴いていた。
Net MDと言ったかな。。それまでならCDプレーヤーからケーブル(アナログまたは光/同軸による、デジタル転送)で録音していたものが、パソコン経由で転送できるようになった。
たしか、ジョニ・ミッチェルとジョン・レノンのStarting Over、あとヴァン・モリソンとかもこの手法でMD転送したかな。
昼休みに外に持ち出して、今日みたいなキラキラした青空のもとで聞いたような記憶がある。が、もしかしたら音楽を聴いた経験と、昼休みの光景は別の経験なのかもしれない。。
Taming The Tiger(とらを飼いならす??)は、なんだか寅年のはじめに相応しい感じ。はともかくとして、この中に歌詞がとても気になる曲があり、ためにわざわざ国内盤の中古を購入した。
*ちなみにTigerとはartのことだ、とジョニは語っていた、のだそうです(解説より)。
気になる曲は5番目のNO APOLOGIES だ。
僕は実はリスニングが苦手で・・。聞き取れる単語を基に、想像で内容を把握する悪い癖がある。
聞き取れる歌詞はJenifer (is) -- offered no apology -- The soldiers -- to the outraged Japanese-- No sorry -- というもので、こりゃもしかして、慰安婦問題みたいな歌詞なの?と直感的に思った。
ただ、どう考えても腑に落ちないのはfrom ではなくてto the outraged Japaneseであることだ。ここからは日本人兵士が謝罪しなかったのではなく、日本人がoutrageされたというふうに考えざるを得ない。それで、どうももやもやが消えなかったのだ。
ブックレットには平田良子さんの対訳が載っているが、それを読むと、まず僕がなぜかThe General(将軍)をJeniffer (女性の名)と聞き違えていたことが分かった。大意としては将校は暴行を受けた日本人に「すみません、お嬢さん」という言葉をかけることはなく、兵士は判断を誤った、売春婦でも雇えばよかったのだと述べた、というものであるらしい。
その先の歌詞もよくわからないが、どうやらこれは’95年に起きた沖縄米兵少女暴行事件のことを批判した歌らしい。The Generalとは当時のアメリカ太平洋軍司令官のことで、彼が後に更迭、降格となる原因となる発言('for the price they paid to rent the car [used in the crime], they could have had a girl ' - (暴行犯罪のために)車を借りるんだったら、その金で女性を買えたのに)のことを示しているようだ。。今回ウィキで調べて分かった。
そりゃあ、重い話だな。。