2月頃、電子書籍の発売と同時に購入したのだが、読み散らしてそのままになってしまっていた。
著作のことを書く前に媒体の話をして恐縮だが、最近のアップデートしたKindleは動作が重くて困る。起動が遅い(前回起動から少し間があいたときなどは特に)し、ページを繰ると一瞬反応がなくなり、画面が真っ白になることがある。以前はKoboやhontoにくらべると使いやすく、コンテンツも豊富だったので好きだったのだが・・。
さて、小林氏の著作は、以前に『ビジネスを作る仕事』を読んで、紹介させていただいた。あの時は帰りにモスバーガーに寄って一気に読んでしまった。これは起業の話が中心だったが、それ以外の、ビジネス処世訓のようななこともたくさんちりばめられていた。
今回のテーマは「情報」である。
小林氏は「仕事とは、情報の収集・分析・発信・交換であり、その情報に基づいて判断し実行することです」という。そして、ビジネス上でうまくいかない、と思えることはこの情報に関する取り扱いが上手くいっていないことからくる、としている。
以下、情報と判断、情報の収集、分析、表現、交換と、具体例を交えた実践的な議論が続く。「仕事とは情報の取り扱いです」という以上、議論はビジネスマン入門の様相を呈していて、新聞の読み方、プレゼンの仕方、質問への対処など、まさに縦横無尽という感じだ。
小林氏の著作、前著もそうだったのだが、とにかく単位面積当たりの情報密度が高いので、読み進んでいくとだんだん息が詰まってくる感じがしないでもない。後半になると集合論とか論理学、果ては「新しい中世」の紹介まで出てくるのだ。前著は新書だったし、一気に読み通してしまったのでむしろ凝縮した充実感を感じたが、電子本だとまた感じ方が違うものだな、と思った。
使いこなしが悪いといわれればそれまでだが、電子本の難点は、一覧性とランダムアクセスが、紙の本より劣ることだ。たとえば迪宮裕仁(みちのみやひろひと)と、はじめに読み仮名付きででたことばが、読み進んでいくとまた読み仮名なしで出てくる(あ、本書に出てくるわけではありません・)。こんなとき、紙の本なら確かこの辺に出てきたはずと、ぱらぱらとページをめくることができる。電子本でも戻ることはできるが、表示に時間がかかるし、意外と探しにくいのだ。
また媒体の話になってしまい恐縮だが、若手の人たちはもちろん、僕のような明日なろうさぎたちにもお勧めできる良書である。