60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

文字を読む回路

2006-05-13 23:16:20 | 文字を読む

 アメリカでは教育を受けているのに読み書きの障害のある子供が5人に1人に上るそうです。
 視力や知能、話す能力はあるのに文字がまったく読めないという子供がいたり、数字は読めて数学的能力はあるのに文字が読めないという例もあるといいます。
 論理的に考えたり、推測をしたりといったほかの能力は他人より優れているのに、読むことだけが非常に劣るということもあるそうです。

 サリー・シェイウィッツ『読み書き障害のすべて』によれば、読みの障害(ディスレクシア)の原因は、文字を音声に変換する機能が働かないためだといいます。
 脳の中には文字を読むための回路が三つあり、初心者の使うゆっくりした回路が前頭葉と側頭葉にあり、後頭側頭部に単語形態領野と呼ばれる高速処理の回路があるとのことです。
 ディスレクシアの子供や大人は、高速処理の回路を使わないため、脳のほかの部分を代用して読もうとするので、間違えたりするといいます。

 文字を音声に置き換えるのがスムーズにいかないのは、英語の正書法が複雑で、不規則が多いためです。
 アルファベットは音声を写すものだといっても、発音とスペルは一律の規則で対応しているわけではありません。
 ドイツ語などと比べ英語は変則が多いので、ディスレクシアが多いといいます。
 図のように(ea)という綴りが[ei],[e],[i:]と三通りに発音されたりするのですからある程度単語ごとの読みかたを暗記しなければなりません。
 規則性にこだわりすぎると読めないということが起きてきます。
 ディスレクシアの子供は、論理力はあるが暗記が苦手の場合が多いというのは、暗記をしないと読めない綴りが多いためかもしれません。
 
 綴りに対する読みかたを暗記してしまえば、読むことになれるにつれ、高速の回路で読みの処理が行われるようになり、単語を見た瞬間に意味が分かるようになって読みが速く行われるようになるということです。
 一単語を0.15秒程度で読むようになるというので、この段階では単語を音声に変換せず、見ただけで意味を理解しています。
 初期の段階では、単語を見て音声に変換して、その結果意味を理解したのが、何回も繰り返すうちに見てすぐ意味が分かるようになるのです。
 音声に変換する段階でうまくいかないと、高速処理の段階に行かないのです。

 日本語の場合は平仮名は読み方が一定なので、平仮名だけはほとんどの子供が読めるようになりますが、漢字はそうはいきません。
 漢字は音だけでも4通りもあり、さらに訓読みがいくつもあるので、英語などよりも読みかたを覚えるのは大変です。
 平仮名だけはたいていの子供が読めるので、日本ではディスレクシアが目立たないのですが、案外アメリカなどと変わらないのかもしれません。
 ただ日本での漢字の使い方は意味が同じでも音読みしたり訓読みしたりと、読みが一律でないので、文字と意味の対応をおぼえ安い可能性はあります。
 日本語の場合は読みが間違っても、意味は理解している場合もあるノデ、ディスレクシアの率は下がるかもしれません。


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