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図はサリー・シェイウィッツ『読み書き障害のすべて』からのものです。
文字を読んでいるときに脳が使われている場所を示したもので、読み書きに障害のある人はもっぱら前頭葉の下前頭回を使って、自動的で高速な後頭側頭部を使わないために、読みの速度が遅く、困難であるとしています。
文字を読むということは、記号を見て意味を理解することなのですが、記号が音声と結びついていれば、音声を通して意味を理解することが出来ます。
普通の人は特に習わなくても、音声言語はある程度覚えてしまいます。
文字よりも先に話し言葉を覚えているので、文字を覚える場合は音声と結び付けて覚えるのが普通です。
初歩の段階では、耳で聞き覚えている言葉の範囲で、文字を教え、読み方と書き方を教えています。
文字を見ただけでは意味が分からないので、読みかたを教えれば、耳で覚えている言葉であれば意味が分かります。
覚えはじめのうちは文字の一つ一つをたどりながら、音声に変換してそれから意味にたどり着くということを繰り返すうちに、文字全体をひと目で見て自動的に意味を理解するようになります。
後頭側頭部は単語をひと目で見て意味を理解するときに使われる場所で、読みに熟達してくるとこの場所が使われるようになるということです。
読みに障害のある人はいつまでもこの場所を使うようにならず、音読などをしていちいち音声に変換してから意味を理解しようとするので、理解が遅くなるといいます。
英語などアルファベットを使う言語では、文字は話し言葉を写すためのものと考え、読むということは音声に変換することがという考えが強いのですが、実際に読みなれてくればいちいち音声に変換せず、文字を見ただけで自動的に意味を理解するようになるのです。
この点では表意文字である漢字を読むのと同じで、音声を介さない自動的な過程になるのです。
ところで音声に変換すれば意味が分かるというのは、音声で聞けば意味の分かる言葉だからです。
ところが文字に書かれているものを読んで知識を得ようとすると、知らない言葉が出てきます。
知らない言葉は音声に変換して読むことが出来たとしても意味は分かりません。 音声による言葉の知識がよほど多くないと、読むことが出来ても意味の分からない言葉にしょっちゅうぶつかってしまいます。
そうすれば何らかの方法で読み方が分かっても、意味が分からないという場面が出てきます。
意味が分からなければ、辞書などで意味を調べればよいのですが、読めれば意味が分かったような感じがして、先へ進んでしまったり、読めなくてもスキップして読み進むようになったりします。
音声に変換することだけが読みではないということは、アルファベットを使った文字の場合でも言えることで、意味を理解する方法が別に必要なのです。
ヨーロッパの言語は音素文字で、表意文字の漢字より進歩しているという説がありますが、音声と意味を結美つけなければ習いので、アルファベットが優れているということにはなりません。
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