図の一番左の列は中国の簡体字の例ですが、これはくずし字である三列目の草書体の形を利用して作られたものです。
中国は文字といえば漢字なので、覚えなければならない文字数が多いので、どうにかして簡略化しようとして簡体字というのが作られたのですが、このような草書体からの転用というのはわずかです。
草書体は実際に文字を書くときに書きやすいように崩されているのですが、曲線であり、運筆の流れが表現されているため、直線的な活字の形にした場合は、見分けがつきにくくなるのですべての文字を同じやり方では簡略化できなかったのです。
昔の日本の寺子屋では読み書きが主に教えられたのですが、書き方が草書体が教えられたのは、実際に使われる書体だったからです。
書く道具が毛筆がだったので、毛筆に適した書体である草書体が教えられたので、実用が目的だったことが分かります。
草書が一般的な手書き用の書体であったので、子どもに書き方を教えるということになれば、実際的な書き方である草書体が教えられたのです。
すべての漢字を草書体で覚えるとなれば、大変な負担だったでしょうが、寺子屋で教えられる程度の文字数はそれほど多くなかったからそれでよかったのでしょう。
現在では毛筆は一般的な筆記用具ではないので、草書は実用的な書体ではなくなっています。
現在であればボールペンが一般的な筆記用具でしょうが、子どもに最初からボールペンでボールペン用の書体で文字を教えることはないようです。
学校で毛筆を使った書道を教える時間もまだあるようですが、日本の伝統文化を忘れさせないといった意味は少しあるかもしれませんが、実用的ではありません。
文字を書くのに、鉛筆で明朝体を手本にして書かせていたのでは、書き方を教えていないようなものです。
明朝体は筆順のようなものはまったく反映されていないので、活字として読む分にはいいのですが書くということになると書きにくく実用的ではありません。
読むときの書体と書くときの書体が違ったら戸惑うのではないかと思うかもしれませんが、そのようなことはありません。
草書と楷書のように形がひどく違っていればともかく、楷書であればペン字体でも活字体でも読むにはさしつかえありません。
書き方というのは文字の形を覚えればよいというのではなく、手の動かし方の感覚と一緒に覚える必要があるので、ボールペン用の字体で教えたほうが良いでしょう。
最近脳を活性化させるというので、鉛筆でなぞる本が出ていますが、鉛筆よりボールペンのほうが実用的ではないでしょうか。
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