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耳覚えの単語

2008-07-08 23:37:45 | 言葉と文字

 漢字は意味を表わしているので、知らない単語でも文字を見れば意味が分かるといわれていますが、逆の場合もあります。
 単語の意味は知っているけれども、文字を見ても文字の意味が分からないか、文字の意味と単語の意味が結びつかない場合があるのです。
 北朝鮮による日本人の拉致問題というときの「拉致」などは当用漢字でないから「ら致」などとされてもやはりわかりにくいでしょう。
 図は日常に使われる言葉で、単語の意味は分かっていて、文字も難しい字でないのに、文字の意味から単語の意味を説明しようとすると難しいという例です。

 味方の「味」という字は普通は「あじ」という意味で使われていますが、それでは何のことかわかりません。
 強盗の一味というような場合と同じ使われ方で、「なかま」の意味ですが、身方という書き方もありこのほうがわかりやすいのに、味方のほうが使われています。
 自首も「自分の首」では意味がわかりませんが、これは「首」が「白状するという意味なので、首を警察に持っていくということではありません。
 自白の白は白状の白で「もうす」の意味で「しろい」という意味ではありません。
 残酷の残は残るという意味だとは思わなくても、残酷という単語の意味自体はすでに知っているので、文字の意味から単語の意味を考えずに使ってしまっているのです。
 
 冷戦の「冷」は温度は温度のことではなく「動きのない」ことです。
 革命の意味は知っていても「革」という字に注意が向かわないのでなぜこの字が使われているのか不思議に思わなかったのです。
 「経済」はeconomyの訳ですが、経にも済にもeconomyの意味があるわけではないのに、全体としてekonomyを「経済」と書くことを知っているのです。
 報道の道も「みち」と漢字の意味を考えたりすると、意味がかえって分からなくなります。
 手紙なども現代中国語ではトイレットペーパーの意味だそうですが、そういわれてみて注意して見直せば、そのほうが自然な解釈です
 文化や科学はそれぞれ、cultureやscienceの訳語ですが文字から意味は想像できません。
 操縦は縦に操るという意味ではなく、陽道も太陽が動くではなく、野心はのの心でなく、横暴は横に暴れるという意味ではありません。

 こうした日常用語は漢字の意味を知らないままに覚えられているので、なかには読むことができても書き方がわからないものもあります。
 耳から言葉を覚えていて、漢字でどう書くかということを覚える前に音と意味を覚えているのです。
 こういう場合は音を聞いてそのまま意味を理解しており、漢字を思い起こすことで意味を理解するというようなことはありません。