60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

視覚判断とストループテスト

2007-07-28 22:34:51 | 視角と判断

 スクリーンに色のついた赤または青という文字を表示します。
ルールが次の三種類のとき
 A:文字の色が青のときできるだけ速くボタンを押し、文字の色が赤のときは押さない。
 B:文字が青という文字のときにボタンを押し、文字が赤のとき押さない。
 C:どんな文字が出てもボタンを押す。
 
 文字が表示されてからボタンを押すまでの時間はCがもっとも短くて、0.2から0.3秒程度です。
 ところでAとBとではどちらがボタンを押すまでの時間が短いでしょうか。
 
 ストループテストというのを知っている人ならBのほうが短いと考えるかもしれません。
 ストループテストというのは、色の名前を色インクで表示して、文字の読みでなく文字の色を答えさせるものです。
 文字が青色で「赤」と表示されたとき、文字の色が青なのですから「あお」とこたえるっべきなのに、「赤」と書いてあるので、つい「あか」と答えようとしたり、答えてしまったりします。
 文字の色を答えるのは簡単なことなのに、文字の色と文字の内容が違うと文字を読みそうになってしまうのは、文字を見ると自動的に読んでしまうため、文字の色が青だと判断する前に「あか」と呼んでしまって、声に出そうとするのだという説明があります。

 この説から考えると、当然Bのほうが短いと予想されます。
 ところが実際に試してみると、わずかではありますが、Aのほうが短いことがわかります。
 Cの場合に比べると、文字の色を判断するのに時間がかかるので、0.1秒程度長くなりますが、Bのほうはさらに0.05秒から0.1秒程度長くなります。
 普通に考えれば色を判断するほうが、文字を判断するより早いという結論になるはずなのですが、ストループ効果を説明しようとして、読みの自動化を強調してしまうようです。
 
 ストループテストでは、判断した後ボタンを押すのではなく、言葉で答えることになっています。
 文字を見てその色は判断できているのですが、答えを言葉で表わそうとしたとき、見ている文字の読みをつい口にしてしまうということで、色の判断の前に読みが入ってしまうということではないのです。
 つまりストループテストでわかるのは、色の判断は言葉を使わなくてもできるけれども、文字の判断は言葉を使わないと難しいということです。
 「青」とか「赤」という文字を読まなくても判断できるようになれば、Bの場合もAと同じ程度の反応時間となり、自動的に音読はしなくなります。
 文字を見て、音読しなくても意味が分かればストループテストの成績が向上するかもしれませんが、たいていの人は音読する癖があるのでミスを起こすのです。