60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

ストループ現象と視覚判断

2007-07-01 22:33:28 | 視角と判断

 文字の色と文字の表している言葉の意味がくいちがっていると、文字の色を口で言おうとしたとき、つまったりウッカリ文字を読んでしまったりします。
 いわゆるストループ効果というものですが、これはアメリカで発見されたもので、文字と言えば当然アルファベットという前提でした。
 日本人の場合は漢字とカナが2種それにローマ字を使っているので、文字といってもどれが当てはまるのか、あるいはすべての文字について当てはまるのか分かりません。

 上の図はローマ字の場合ですが、文字の色を答えていくのは、平仮名や漢字の場合と比べるとすばやく出来、まちがいも少なくなります。
 ローマ字はたいていの人はあまりなじんでいないので、漢字や平仮名の場合のように自動的に素早く読めません。
 そこで文字の色を答えようとしたとき、文字の読みが自動的に出てきてしまうことがないので、つかえたり間違ったりしにくくなると考えられます。
 そうはいっても順々に色の名前を答えていくとき、つい文字を読んでしまうということがローマ字の場合でも起きてきます。

 ところで上の図で、文字の色がたとえば青い単語を順に探し、その色の名前を言うとすると、これは間違いなく非常に速いスピードで出来てしまいます。
 ところがAKAという文字を探して、その言葉を読んでいこうとすると、色を探した場合より時間がかかります。
 つまり色を見て何色か判断するほうが、文字を見て何を表しているかを判断するより早いのです(これは色がはっきり分かれている場合で、たとえば赤、紅、緋色、朱色、丹色など似たような色だと、文字の方は色が似ていてもまったく違うので、文字のほうが探しやすくなります)。
 色の判断のほうがはるかに早く出来ても、口で色の名前を言おうとしたとき、後から判断できた文字のほうの読みが口に出てしまう場合があるのです。

 下のほうの図は、ローマ字の大文字と小文字、カタカナ、漢字を使って混ぜ合わせてあります。
 この場合も、文字の形態がいくつかに分かれていても、同じ色の文字を探し出すのは簡単で、眼を動かさなくても一目で所在が分かります。
 この場合は意味が同じ単語(たとえば、赤、アカ、aka,AKA)を探し出すのはローマ字大文字のみの場合に比べればはるかに時間がかかります。
 文字の種類がとりどりなので、文字を見て自動的に読む傾向がおさえられはするのですが、文字の色を答える前につい文字を読んでしまうということが起こるのです。
 文字と読みの結びつきのほうが、色と言葉の結びつきより強いので、時間的には遅い文字の読みが優先してしまうということでしょうか。