左の図はオレンジの地にまん中が白い円です。
白い円をしばらく見ていると、円は薄いオレンジ色になり、縁が青みがかってきます。
薄いオレンジ色になるのは、四角形の周辺も同じで、オレンジ色の部分の周辺が薄いオレンジ色に見えるのです。
しばらくまん中の円を見つめたあと、右側の白い四角の上に視線を移すと、四角形は地がブルーでまん中がオレンジの円に見えます。
地のほうはオレンジの補色のブルーになるのですが、円のほうは補色とはならずオレンジ色に見えます。
残像は背景が白い所を見なくても、眼を閉じても眼に焼きついたように見えます。
そのため記憶イメージと紛らわしいのですが、記憶イメージのほうはそのままの色であるのに、残像は元の色とは変わっています。
たいていの人は、残像は見えるようになるのですが、イメージをそのまま記憶して、再現するのは不得意です。
ものを見て眼を閉じると,瞬間的にはイメージが記憶に残るのですがすぐに消えてしまいます。
たとえば、数字をいくつか並べたものを見て、眼を閉じて思い出そうとするとき、記憶に残っているのはイメージでなく、文字を読んで覚えた意味記憶です。
イメージが記憶されていれば、数字を逆順に言えるのですが、読んだ記憶から逆行しようとするとつかえたり、間違えたりします。
日本人は外国人に比べ、色つきの夢を見る人の割合が多いそうですが、年をとってくるとカラーの夢を見る人は少なくなります。
ものを見てそのイメージを記憶する能力が低下してくるため、眼を閉じたとき記憶を思い出そうとしたとき、イメージがぼやけ、またカラーも失われています。
そうなれば、夢に視角イメージが現れなかったり、色がついていなかったりするようになってきます。
視角イメージの記憶力が低下してくると、本を読んだときでも理解力が低下してきます。
直前に見た単語や文章が、すぐに記憶されなかったり、早く記憶から抜け落ちるので、文章の意味をつかみにくくなるのです。
声を出して読むか、頭の中で音読すれば意味をつかむことはできるのですが、視角からの記憶があるほうが有利です。
年をとればイメージ記憶力が衰えるのはやむをえないから、あきらめるしかないかというと、そうとは限りません。
普通の記憶力のばあいでも、機会あるごとに思い出そうと努力する習慣を身につけると、思い出す能力が向上するそうですから、視角イメージでも習慣的な努力で向上させることは出来ます。
急激に記憶力を向上するというのは無理でしょうが、持続的に努力するかしないかで一年もたてば大きな差が出来てきます。