60歳からの視覚能力

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対称形に注意が行く

2006-01-04 23:39:46 | 言葉と文字
 ①図では線aのほうが線bよりかなり長く見えます。
 心理学での説明は縦の線のほうが横の線より長く見えるということと、線bが真ん中で分割されているためだとしています。
 ところが②図のように線c、あるいは線dを加えてみると、①図では線aとbを比較する手段を持たないで比較していたということがわかります。
 ②図の場合、線cは線aと一端がくっついているので比較しやすく、同じ長さだと感じられます。
 bとcはハの字型のイメージとなっていて、対称的な位置関係にあるため長さが等しく感じられます。
 aとbは長さを比較する手がかりがないのですが、cがaともbとも等しく見えるので同じ長さだということが推測できます。
 直接、比較して同じ長さだとは感じられないのですが、別の線を間に入れることで同じ長さだと理解できます。
 
 線dは線aを水平移動したものなので、aとdは同じ長さであることははっきりわかります。
 bとdは一端がくっついているので比較しやすく、同じ長さだと感じられます。
 くっついている点から見れば対称的に配置された線なので、bとdは同じ長さであると感じられるのです。

 cと比べる場合も、dと比べる場合もbは真ん中で分割されているのですが、そのために短く感じられるということはありません。
 配置が対称的になっている場合は、対称であることに注意が向かうため、他の要素の影響が排除されています。
 ①図の線aと②図の線cとを比較するとやはりaのほうが長く感じられるのですから、配置が違えばおなじ線が短く感じてしまうのです。
 人間はともかく対称的な形に注意をひきつけられるのですが、その原因は対象形が安定感を感じさせることにあるのではないかと思われます。