60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

違いを瞬間的に見分ける

2006-01-02 22:02:25 | 眼と脳の働き
 左の写真をよく見てから右の写真を見て、すぐに変化している部分に気がつくでしょうか。
 眼で見たものすべての部分が正確に記憶されていれば、右の写真を見たときすぐに変化に気がつくはずです。
 ところが見たと思っていても、すべての細かい部分にまで注意が向けられ、記憶されるということはないので、変化に気がつかず同じ写真のように思えてしまったりします。
 右の写真を見たとき、左の写真と同じと感じるときは、左の写真の記憶のあいまいな部分を右の写真を見て補ってしまうからです。

 二つの写真が同じかどうかは、細かい部分を一つ一つ見比べていけば発見できるのですが、そうしてもつい同じと思って見落としてしまったりするものです。
 前に見たものと同じかどうかを判断するのは文章の校正と同じで結構難しいのです。
 ところが、細かい部分を一つ一つ比べていくという方法ではなく、ぱっと見てどこが違っているかわかる方法があります。

 第一の方法は、左の図を見て、瞬間的に瞬きをしながら右の図を見ます。
 あるいは右の図を見て瞬きをしながらパッと左の図を見ると、ちょうどアニメーションを見るような感じで、変化している部分が動いて見えます。
 (一回でわかりにくければ二、三度瞬きをしながら左右を交互に見ればわかります)
 真ん中のペンギンが首を振るように見え、左から二番目のペンギンの水に映った影が動くように見えるので、これらの部分が変化しているのだということがわかります。
 アニメの場合は変化した静止画を次々に見せることで動きを感じさせるのですが、2枚の写真が並べられている場合は、瞬きをして隣の写真に目を移すと同じ効果が得られます。
 人間の目は視野の中で動きがあれば、あらかじめそこに注意をしていなくでも反射的に注意が向けられるようになっています。 
 意識して見ていて気がつかない部分も、動けばぱっと気がつくのです。

 第二の方法は、右の目で左の写真を見て、左の目で右の写真を見る感じで、寄り眼で立体視をする方法です。
 二つの写真の間にもうひとつの写真が浮き出てくるように見えます。
 この真ん中の写真の中で、真ん中のペンギンの頭と、左から二番目のペンギンの水に映った影がとび出てくるように見えます。
 ほかの部分は左右が同じなのできれいに重なって見えるのですが、左右が違っている部分は見え方が異なって見えるのです。
 立体視の方法は、平行法というのもあって左の目で左の写真を、右の眼で右の写真を見るようにして、焦点を写真より遠くに当てて見る方法もあります。
 この場合は変化している部分は飛び出してくるのではなく後退して見えます。

 いずれにしても細かく意識的に見て、なかなか違いがわからなかった部分が、全体的な見方で無意識のうちに違った部分に気がついています。
 意識より無意識のほうが気がつくので、右脳の働きだと思う人がいるかもしれません。
 しかし眼は両眼を使っていて右脳にも左脳にも信号がいっているので、右脳を使うか左脳を使うかというような違いではないようです。