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方言に振り漢字

2006-01-27 23:30:29 | 言葉と文字
 方言をできるだけ発音どおりに文字に写した場合は、その方言を知らない人には理解しにくくなります。
 日本語の場合は表音文字として「かな」を、表意文字として漢字を使っているので、振り漢字をすればなんとか意味と音声を同時に伝えることができます。
 図の例は昔の社会党委員長の佐々木更三氏の語りの一部ですが、かなだけでは音声で聞くより理解しにくくなっています。
 上に振り漢字をすれば意味が分かり、発音イメージもわいてきます。
 漢字に振り仮名という形にしても同じようですが、そうすると漢字に眼を奪われて発音イメージが後退してしまいます。

 方言は、どの言語にもつきものなのですが、日本人が外国語を学習するときは教科書を通して学習する場合が多いのでほとんど意識しません。
 中国語にしたところで日本よりはるかに広い国なので、当然方言があります。
 大島正二「漢字と中国人」によれば、今から二千年も前に面接調査によって地方ごとの方言を記録が行われているそうです。
 図はその一例で、「知」という言葉が、地方によって「党」とか「暁」とか「哲」といわれていたということです。
 漢字どうしで発音と意味を説明するのはややこしいのですが、これは純然とした表音文字を別に持っていないためです。

 英語の場合ももちろん方言があります。
 図は西部の方言だそうですが、galを除けば辞書にはのっていません。
 このように訛りを発音に忠実に文字化しようとすれば、意味がわかりにくくなりますが、正規の文字にすると訛りの発音はかくれてしまいます。
 中国語や英語は、ルビを振るというような習慣がないので、方言を生かしていくという点では日本語のほうが便利に思えます。

日本風の造字

2006-01-27 00:14:50 | 言葉と文字
 漢字の場合は同音でも偏などによって意味の違いを表すことができます。
 測(はかる)と同音の側、則、厠、惻などは偏によって、どの意味かが中国人には分かるようになっています。
 これに対し、日本語の測ると同音の意味を漢字に置き換えると、計、料、謀、量などがありますが、音読みではケイ、リョウ、ボウ、リョウなどで「はかる」いう読み方は示されていません。
 計は「かぞえる」と読んでもよく、料は「えさ」とか「だいきん(代金)」などと読んでもよい。
 漢字の訓読みは翻訳なので、読み方をひとつに限定できません。
 ひとつの漢字がいくつかの意味を持っていれば訳語もいくつかあり、さらに訳語であれば表現法がいくつかありうるということになります。
 
 漢字の造字法は形声文字が多く、音を示して同音の字があれば偏などを加えて区別しています。
 日本流に造字をするならばカタカナで音を示し、偏を加えて意味の違いを示せば、読みと意味とを同時に示すことができます。
 測は水の深さをハカり、計は数をハカり、料はマスでハカリ、謀はさぐりハカリ、量は重さをハカるといった具合で意味を区別する漢字の偏とカナを組み合わせて作ることができます。
 
 もちろんこういう文字を造っても対応する漢字をなくすわけにはいかないので、文字が増えてしまうことになります。
 代わりに、振り仮名を振って読みを示す方法が生まれたのですが、漢字が主役になっているので、日本語を漢字に置き換えたというより、漢字に日本語の訳語を当てたような形になっています。
 その結果、漢字にいろんな読み方があるというふうな意識ができて、日本語の意味を漢字を使って表現するということが忘れられる危険性があります。