BUONA GIORNATA!

取材や旅、見仏、ヨーガ、読書の日々をつづります

分かりやすさ

2009年01月27日 | Weblog
「ありゃ、子供には分からないわ、違うのを見せたらよかったんじゃないの?」
ある映画を鑑賞後に聞こえてきた声。

ちょっと考えこんでしまいました。
それって、大人が大人の立場で判断していることですよね。
果たして子どもも同じ気持ちなんでしょうか。
となりの席の子は、食い入るように見ていたような気がするけれど…。

分かりにくいと退屈? 分かるものが素晴らしい? 分からないものは不要?

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子どものころ。
女の子の例にもれず、ませていた私は小学校に上がる前、絵本を卒業し世界の偉人伝記シリーズに手を出しました。

知らない国の、知らない時代の、知らない仕事をしていた人。その人の人生の苦労や喜びや偉業は、実感できないけれどすごいんだということは感じていました。

そして精一杯の空想で、どんな顔の人だったのか、どんな家族とどんな暮らしをしていたのか、何をやりたかったのか、それを成し遂げてどんなにうれしかったのかと思い描いていました(今でもそのうちのいくつかは覚えている)。


私が読み終えると両親は「意味は分かった?」じゃなくて「どう思った?」と聞いて、私が得意満面に(可愛げないな~)あらすじや、私が空想した人物像をいつまでも話しているのを(我慢強く)聞いたそうです。


ありがたいことに、両親は私が興味を持ったものはできるだけ見せてくれていたし、自分たちの趣味もあって彫刻展や美術展、城や遺跡を見に連れて行っていました。

そこが一番大切なポイントじゃないんだよ!と両親は何度も思ったかもしれません。だって「この彫刻、変な顔~」とか「この絵の女の人が着てるドレスがきれいだな~」とか言っていたに違いないから。


でもきっと好奇心を育てていたのかな、と。


こうした経験で、どのジャンルも特別に詳しくはないけれど、子どものころからいろんな展示や遺跡や、コンサートに出かけるのが大好きだから。

それに、よく分からないものがこの世界にはたくさんたくさんあるってことは分かっているから。




一番分からないのは人間だと思うんです。
人間と毎日かかわっていかなきゃいけないのに、子供のころから分かりやすいものだけを与えられていたら、その分からないものは何なのか、どう接していいのかパニックになるんじゃないか。


そんないろいろなことを考えた、ある日のひとことでした。




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