テルミンとJAZZ
テルミンやマトリョミンの話。私、こちろうこと相田康一郎のプロフィールは左メニューバーのCATEGORYを。
 



 路面電車を降りて面影橋を渡ると、そこは古くからある繁華街。表通りの煙草屋の角からひと一人がやっと通ることのできる路地を抜けると薄暗い裏通り。そぼふる冷たい雨のなか、くたびれた黒いコートを羽織った男が傘もささず、水たまりを避けることもなくふらふらと歩いている。くわえたばこが雨に濡れて消えかかっているのを、男は気にする風もない。生気を失ったかのようにみえる瞳の奥にはしかし、強い灯りが宿していることに、すれ違う人は気づかない。
 20年前のあのときはこの街にも活気があった。ネオンも今より明るく輝いていた。男の脳裏にはあのときの街の活気とともに、暗い闇の思い出が去来する。毎日必死にこの街で生き抜いてきた。危ない橋もわたってきたが、いまは全てが懐かしい思い出だ。くたびれきったかにみえる男だが、怪しくもにぶい光のようなものを男はその体の芯から放っている。
昔の思い出にひたるためにこの街に帰ってきたわけではない。今は男のことを覚えている人もいないこの街の片隅で、男は想いを固めた。今また新たな一歩を踏み出す。あのとき見ていた夢をもう一度つかむために。
 ふと我に返った男の足元のみずたまりには、あの日と同じ蒼い月がまばゆく揺れていた。


という物語をこの曲の題名をつけるにあたり、作りました。
たまたまPCファイルのなかから久しぶりに発見したので、
少し手を加えて発表します(以前にもこのBlogに載せてた
かもしれません)。
こんな感じのイメージを抱きつつ、演奏いたします。
マトリョミンアンサンブル ニチェボー! の衣装もこの曲
のイメージで統一しています。自画自賛ですが、メンバー
のみなさんの衣装、カッコイイです。

11/17(日)13:30-四谷「絵本塾ホール」でのコンサート
で、マトリョミンアンサンブル ニチェボー! が演奏する
オリジナル曲です。作曲者の下田さんのギター伴奏ですが、
この日のために(?!)登場するフランス製プラスチック
ギター(ジプシーswing用?)の音色も聞きどころのひとつ
となるかもしれません。
お楽しみに!。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )