蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

心理分析、実存主義、構造主義の三題噺

2020年09月11日 | 小説
(2020年9月11日)
始めに;悲しき熱帯61ページには心理分析、マルクス主義、構造主義の比較が差し挟まります。構造主義の視点からそれらを批判した内容です。
PDF30ページにまとめホームサイトtribesman.netのサブドメイン(mouvie.tribesman.net)に上置uploadしました。その前半部をBlogに投稿します。結論はPDF内の一枚です。それをJpeg(写真形式)に変換して、下に貼っておきます。

全文PDFはホームサイトに入ってからサブドメインをクリックしてください。


synthese objective客観的統合が思考と形態を結ぶ。これが分かればyouは構造主義の大パトロンになれる。

それは>体験し見えているvecu混乱(現実)対 体験を超えた思想reel(真実)の対峙を理解する智である<理解できた方には以下の分列を読む要はない。それ以上を知りたい方、そしてこの文句は世迷いごとでも連ねているのだとモウ信する方は続けてください。

哲学者にして人類学のクロード・レヴィストロース著「Tristes Tropiques悲しき熱帯」第2章Feuilles de route (旅の紙片)の61頁、上から数えて数行目、唐突に弁証法、心理分析、現象論に対する批判が現れる。自身が温めていた「構造主義」の理論を基盤としてこれら学派を批判するのだから、彼の主張とそれら説との差異が読み取れる。そもそも彼は構造主義とはなんたるかを(著作の中で)講釈しない。よってこの一節はレヴィストロース思想の理解への近道である。
1頁の短さならば展開がまとまって、理解に易しい。難文ではないので早速、挑戦せむとす。

書き出し;
<Au niveau different de la realite, la marxisme me semble proceder de la meme facon que la geologie et la psychanalyse entendue au sens que lui avait donne son fondateur : tous trois demonterent que comprendre consiste a reduire un type de realite a un autre ; que la realite vraie n’est jamais la plus manifeste ; et que la nature du vrai transparait deja dans le soin qu’il met a se derober.(61頁)
のっけから変なのが出てきた。la marxismeだってぇ... ismeにla女性定冠詞をつけているぞ。初歩的間違いじゃないの?気になるけど進めよう。

訳;マルクス主義は、地層学や心理分析と同じく、現実から一歩離れた方法をもてあそんでいる。それは心理分析の創始者が定めたやり方の方向性を踏襲している。3の理論が主張する中身とは、一つの現実を別の一つの現実に矮小化させるだけで、真の現実が見えるとは期待できない。真実の「実態」(なるモノ)は(マルクス主義創始者が)開発した「あからさまにする」手順(弁証法)の中に透かし見えているのである。

訳注1:心理分析の創始はフロイト。主張は表層意識に対し無意識が深層に隠れ、無意識の記憶が精神疾患の原因であるとする。無意識側が真(realite vraie)とする説を標榜し、分析手法の開発とあわせ、治療に結びつけた(治療、これがetendue拡大した心理分析の意味)。治療法の中に真実の主体(nature du vrai)が透かして見える、ここは意味不明だが「真実を人の作業に「矮小化」している。だから、そこに見える主体(nature)は真実などではない(人の作業なのだから)」とレヴィストロースは言いたげ。

このままにして置く。
続く文節でレヴィストロースは「表層対真実」の対立はマルクス主義にも見られると指摘する。弁証法を教条とするマルクス主義は、歴史の断片や流れなどは単なる表層の現象で、深層に「共産世界に進む歴史弁証法の必然」のいわゆる「真実」に裏打ちされていると主張する。この弁証法、歴史確定論はレヴィストロースの歴史観とは対立している。
(「野生の思考」最終章「歴史と弁証法」の解説動画で共産主義的歴史観を「歴史必然」が過去、現在を規定するとしている。詳しくはこの動画を御覧ください)


表層と深層に見られる対峙関係を本文では(理解を早めるために)

1「現実」対「真実」

この式を基本とする、
すると先ほど心理分析で意味不明だった案件にも察しがつく。
患者の主訴(父母を憎むとかヒステリーなど)は表層に表れる現象で、これが現実<nature du vrai>と規定できる。そして(フロイトが)開発した心理治療法での真実(=心理の深層こちらはrealite vraie、と彼が主張する)が曝かれる。オイデオウスコンプレックスとか過去の性的トラウマなどが深層に意識の主体として宿る真実とする説である。
心理の範囲では同列だからこれをして表層、深層と区分けする節を「矮小化」としたのだ。

共産主義が教える「歴史必然」は今の世には実現していない、見えていない、これはrealite vraie。歴史の深層に隠れているものの、今の出来事(革命行動とか政府反対とかのマニフェスト)の起動因であるからnature du vrai.

心理分析しかり弁証法しかり、表層(出来事)と真実(必然)の対峙を問答無用の前提として、人間空間に矮小化しつつ論理展開する。地層学は今ではカリウム法など年代を絶対値で確定できるなど、実質証拠ハードエビデンスに基づく正統な科学であるから、矮小化理論はない。1950年代には信頼されていなかったのだろうか。小筆は言及できないから触れない。

(現行の前半部です。後半の投稿は明日以降となります)


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