金魚cafe

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オオクニヌシ

2013-10-24 00:27:02 | 読んだ本
梅原猛著 文芸春秋

シネマ歌舞伎ヤマトタケルと観てスーパー歌舞伎に興味を持った私です。

セリフは私たちが普段しゃべっている日常会話と変わらず、舞台装置、衣装の素晴らしさ、恋愛あり、友情ありの冒険活劇であり、神話だけれど今の世相も取り入れているので初心者が観てもわかりやすいところが歌舞伎の世界を身近に感じさせてくれました。

図書館でヤマトタケルを書かれた梅原猛さんのオオクニヌシの戯曲を見つけたのでさっそく読んでみました。

今年の夏観に行った「非常の人何ぞ非常に」「兄帰る」の戯曲を読みましたが、それよりページ数が長編で、上演すると4時間近くあるのではないかというスケールの大きい舞台だったのではないかと思います。

オオクニヌシが純粋で人を疑うことをせず、争いを好まず富はみんなに分け与えと30年は非常に幸せに暮らしていたのですが、高天原の神々が天照大御神の孫の瓊瓊杵尊に返せと言って攻め込んできます。

子供たちも戦って亡くなったり自ら死を選んだりで、これ以上人を死なせてはいけないと国を天つ神に返します。

自分は出雲に建ててもらった社に住むことになりますがこれは幽閉されるのと変わりないのです。

自分たちが清く正しく生きているから自分たち以外の他国の人もそうだとは限らない、他国から攻めてくるのに対抗する備えもせず、相手を信じすぎたから負けたと。

それって平和に慣れてしまった私たちにはちょっと考えさせられる話でした。

だからと言って相手が武器をそろえてるからこちらも対抗してというのではないのです。

自然をうやまい、正直に謙虚で質素に生きろとそのほうが武器を持って戦うより強いのだと生き残った孫のコトシロヌシを諭します。

この舞台を観たら世の中がガラッと変わってしまった時代が何度かありましたがそれを思わせるというか何度もこれを繰り返してきてるんだなあと思いました。

私は幕末の江戸城無血開城を思い出してしまいました。

武士が、近代兵器の新政府軍に負けてしまい、江戸を戦場にしないためには大政奉還しかなかったからです。

いつかまた舞台が再演されたときはぜひ観に行きたいと思います。